持続可能な世界ー現代型栄養失調
へどろから見た持続可能な世界ー食物繊維、生ごみのたい肥化、ミネラル、ミネラルと酵素では、食物繊維、ビタミン、ミネラルの大切な役割について触れました。
食物繊維は身体に吸収される栄養素ではありませんが、パイプを掃除するブラシのように消化管内(体内)をきれいに掃除してくれ、健康を維持する上で非常に大切なものでした。また、ビタミン、ミネラルは微量栄養素で大量に必要とするものではありませんが、体内の生理・代謝に深く関わっており、私たちの健康を大きく左右するものでした。
ところで現代人はこうしたビタミン、ミネラル、食物繊維が不足した、「現代型栄養失調」に陥っているとよくいわれます。それは生活習慣病に大きく影響するだけでなく、とくにビタミン、ミネラルの不足は脳の栄養失調となり、頭や心が活き活きと働かなくなってしまうのです。脳は人間が必要とする全エネルギーの20%も消費する「大食漢」だからです。豊か過ぎるほどの食生活の中で、なぜこのようなことが起きるのでしょう ?
一つにはお米とかパン、砂糖など、ほとんどの食品を精白して食べることに原因があります。精白するとビタミン、ミネラル、食物繊維が抜けてしまうのです。食塩などはナトリウム以外のすべてのミネラルを取り去り、化学薬品並みになっています。
次にインスタント食品、レトルト食品、スナック菓子といった加工食品が、毎日たくさん食べられることです。こうした加工食品はカロリーは十分にあっても、ビタミン、ミネラル、食物繊維が少ないのです。しかも多くの食品添加物を含んでいます。食品添加物にはリンが多く含まれており、リンはカルシウムと結合しやすいため、過剰なリンがリン酸カルシウムとなって排泄され、ただでさえ不足がちなカルシウムを体内から奪ってしまうのです。
栄養不足の食事 |
また、肉とか乳製品などタンパク質を多く摂っても、清涼飲料水などで砂糖を多く摂っても、それによって身体が酸性に傾くため、骨を溶かすほどのカルシウムが消費されるといいます。実は骨折や骨粗しょう症は西洋人に多く、また、カルシウム入りのペットフードを食べている猫が、ソファーから飛び降りて骨折したという笑えない話もあるほどです。こうしたことからアメリカでは1998年から、日本でも2003年ごろから「骨粗しょう症に牛乳を」というコマーシャルは流されなくなったそうです。
ところで野菜の葉っぱにカルシウムが多いことをご存知でしょうか? 牛乳は100g当たり110mgのカルシウムを含んでいますが、モロヘイヤは100g当たり260mg、大根の葉は220mg、小松菜は150mgも含んでいます。吸収率は牛乳の方が優れているそうですが、牛乳を作る牛にしろ立派な象牙を持つ象にしろ、草や木の葉を食べてカルシウムを蓄えています。また、牛乳や乳製品を知らなかった昔の武将でも、がっしりした骨格を持っていたことを考えると、葉物野菜をよく噛んで食べ、身体を動かして骨への利用を促せば、カルシウムの摂取に問題はないといえそうです。