2020年8月24日月曜日

へどろから見た持続可能な世界-3

 これまで阿蘇海のへどろの有用性、利用法について再々説明してきました。今回は「阿蘇海のへどろ」と環境改善について少しお話し、なぜ私たちがへどろの利用に挑戦しているのかを理解して頂きたいと思います。

 皆さんは溝掃除をされたとき、黒い土が回収されるのをご存じだと思います。なぜ側溝の土は黒いのでしょう? 
 これは上流から土砂と一緒に流れてきた葉っぱなどの有機物が、土壌微生物によって分解されるとき、土壌微生物は食物繊維(セルロース)を分解できないため、食物繊維の多い葉柄や葉脈が黒く変色して「腐植」となり、土砂中に残るからです。

 阿蘇海でも上流から常に土砂と一緒にもろもろの有機物が流れ込み、海底に沈んだあと土壌微生物によって分解されます。そのとき酸素が消費されるので海底は無酸素状態(嫌気性)となり、有機物の組織破壊も進むため、どろどろした状態になります。これがへどろの成因です。
阿蘇海のへどろ

 有機物が土壌微生物によって分解されるとき、チッソやリンなどの栄養物質が水中に溶け出し、それらは植物プランクトンを大量に発生させます。本来ならそれを魚が食べて大きく成長するのですが、阿蘇海は4メートル以深は貧酸素ないし無酸素状態で魚がいないため、植物プランクトンは単に水を汚すだけのものになっています。周囲に砂浜があればそれが植物プランクトンを吸着して水を浄化してくれるのですが、阿蘇海はほとんどが護岸で囲まれていて、そうした自浄作用も働かないのです。


 ところで海や湖沼に堆積するへどろ中の栄養物質については、下図のようにへどろの表層に濃縮していることが知られています⁂1)。だから浄化対策としてへどろを浚渫(除去)する場合は、一般にへどろの表層を10~20cm除去するだけです。


へどろ中栄養物質の濃度変化
 
一方、へどろの浚渫効果については、日光の湯の湖で行われた実験のシミュレーションがあります⁂2)それによると浚渫によりリンの溶出量はいったん低下するのですが、年を追って上昇し始め、数年後には対策前と同じ状態に戻ってしまうという結果です。

へどろの浚渫とリンの溶出抑制効果
 
 これが意味することは、海や湖沼には常に上流から土砂と有機物が流れ込み、一方、夏に発生した水中の植物プランクトンは冬には枯死沈降するため、へどろの表層には常に新鮮な有機物が堆積し、それが微生物によって分解されるため、へどろ層をどれだけ深く浚渫しても結局は元の木阿弥になってしまうということです
 
 つまり阿蘇海のへどろを除去する場合、決して大量に除去する必要はないのです。そのごく表層の新鮮な有機物を常に取り去ってやるだけで、栄養物質の溶出はかなり抑えられ、阿蘇海の環境は自ずと改善することが期待できるのです。
 これが私たちがへどろの利用に挑戦する大きな理由です。
 
 
 ぜひ私たちの活動を一度見に来てください。
 
 そして次世代のために持続可能な世界について、一緒に考えましょう。

   ☎ 0772-46-4943  📱 090-2061-8479
 



⁂1 琵琶湖河川浄化事業パンフレット(1997)
⁂2 桜井善雄;水辺の環境学④、新日本出版社(2002)

2020年8月11日火曜日

へどろから見た持続可能な世界-2

 豪雨・土石流の梅雨のシーズンが明けたら、いきなり猛暑の夏が待っていました。
 週間予報で太陽のマークが並ぶのを見ると、ぞっとします。異常気象の問題は深刻さを増しつつあるように感じます。

 新聞によるとヨーロッパでも、フランスを始めドイツ、オランダなどが熱波に襲われたようです。パリでは42.6℃、フランス南部では46℃にもなり、死者は1,500人に達したそうです。それでも2003年の死者1万5,000人に比べると大幅に少ないそうです。
熱波に襲われたパリ

 ところでパリ市民は景観上の問題から室外機を取り付けることが難しく、ほとんどの家にはクーラーがないのだそうです。明け方の涼しいうちに窓を開けて室温を下げ、日中はよろい戸やシャッターを下ろし、日光が部屋の中に入らないようにして薄明りの中で過ごしているといいます。石造りの壁の厚い建物なのでこうしたことが可能なのでしょうが、EUの人たちが温暖化対策に非常に熱心な理由が分かる気がします。

 ひるがえって日本の温暖化対策はどうでしょうか? 昨年12月にスペインで行われたCOP25では、日本の温暖化対策にNGOから「化石賞」が2度贈られました。温暖化ガス排出量を2050年までに実質ゼロにしたいとする世界的な動きの中で、排出量の多い石炭火力に固執し、さらなる建設計画や途上国への輸出計画を多く有する日本の姿は、「完全に後ろ向き」ととらえられたのでしょう。
 気候変動は年々激しさを増しています。もはや事態は政府の問題というより、私たち個々人が次世代のために真剣に考え、取り組んでいくべき問題になっているのではないでしょうか? 政府は国民に誘導したり要請はできても命令はできません。私たちが動くより仕方がないのです。


 温暖化を考えるとき、私はいつも江戸時代の生活を思い浮かべます(昭和の初期でも十分でしょうが)。夜は真っ暗で、人工衛星から見ても日本列島がどこにあるか分からなかったでしょう。夏の夜は隣近所と蚊に刺されながら夕涼みをしていたでしょう。冬の日は大きな部屋でもこたつ一つで我慢し、寒いから早く寝たでしょう。
ライトに浮かぶ夜の日本列島 (北朝鮮は見えない)

 こうしたことを思い浮かべると、今の私たちの生活がいかに化石燃料に支えられ、安楽に生きておられるかがよく分かります。 
 だからといって昔に戻れと言っているのではありません。ときどき自分の生活を反省し、次世代のために少しは我慢し、汗を流すことも大切ではないかと思うのです。「プチ我慢」です。

 ちょっとそこへ行くとき歩いていますか? 部屋を離れるとき電気を消していますか? テレビをつけっぱなしにしていませんか? エアコンの設定温度は適切ですか? 夜更かししていませんか? 
 皆が少し意識して行動すれば、ものすごく大きな省エネにつながるのです。


 連日、新型コロナに加え、猛暑と熱中症のニュースが流れています。私たちがまともに生活するには、もはや地球を冷やすことも必要になってきています。
 これまで何度も触れてきた「へどろヒートポンプ」ですが、私は地球を冷やすことに利用できると考えています。

 ぜひ一度、実験を見に来てください。温暖化対策について語り合いましょう。そしてへどろヒートポンプの実用化に力を貸してください。

   ☎ 0772-46-4943  📱 090-2061-8479



  次世代のため、持続可能な世界について一緒に考えませんか ?