2022年4月29日金曜日

へどろから見た持続可能な世界ー水の枯渇

  「森のバター」とも「食べる美容液」とも呼ばれるアボカドという果物があります。いまこれが「最も栄養価の高い果物」として世界的なブームになっているそうです。テレビの報道によれば、生産国では耕作面積を増やさんと森林伐採による環境破壊が進み、また、強奪を企てるギャングからアボカドを守るため、武装自警団まで作られているそうです。何とも浅ましい話ですが、一方でアボカドを育てるには大量の水が必要なため、飲み水の枯渇問題も発生しているそうです。


 農業はもともと大量に水を消費する産業です。1トンの農産物を生産するのに、

 トウモロコシ;1,000トン、大豆;2,400トン、小麦;2,900トン、コメ;6,000トン

もの水が必要だそうです(アボカドは2,000トン)。また、肉1トンを供給するために必要な飼料の生産には、

 鶏肉;4,000トン、豚肉;6,100トン、牛肉;22,000~25,000トン

もの水が使われているそうです。


 日本の食料自給率は40%に届かず、ほとんどの食料を輸入に頼っていますが、このことは輸入に伴って大量の水(ヴァーチャル ウォーター)も輸入していることを意味します。さらにいえば生産国から貴重な大量の水を奪っているということになります。この輸入食料に伴ってわが国に流入する水の量は、琵琶湖貯水量の約2.7倍にもなるというから驚きです(東大生産技術研究所)。農業大国オーストラリアでも飲み水の枯渇から、農産物の輸出に反対する住民運動が起きたりしているそうです。気候変動に伴っていま世界的に干ばつ、水不足が問題になっていますが、日本はこうした問題に無縁ではなく、むしろ大きな責任を負っているともいえます。

             

 農業のグローバル化、石油に頼った大量生産方式は環境に多大な負荷を与え、決して持続可能ではないのです。食料自給率を高めたり、農業の地産地消を考え直すところに来ているようです。