2014年12月25日木曜日

1年を振り返って

 先の選挙は自公の圧勝に終わりました。予想通りとはいえ、ほとんど何も変わらない選挙結果に、何のための選挙だったのかと複雑な思いを抱いたのは、私だけではないでしょう。私たち高齢者にすると年金は大きく減らされる、介護保険料はビックリするくらい増える、医療保険料、消費税、物価も上がるといった状況のなか、一体この先どうなるのだろうといった大きな不安があります。しかもあと10年もすると団塊世代が後期高齢者の仲間入りをすると聞くと、それを支える生産世代は大丈夫か、日本は沈没しないかと本当に心配になります。しかし自公も野党もその辺のロードマップ、対策を全く示さず、安倍首相も「この道しかない」とアベノミクスだけを強調し、「景気回復だ」、「賃金アップだ」と訴えましたが、年寄りばかりの社会ではかつての高度成長は望んでも無理です。国民の多くもアベノミクスに疑問、不安を感じても、ではどうしたらよいのかの回答(入れる政党)が見つからず、「分からん。飲も、飲もう!」と投票場に行かず、飲みに行ってしまったような気がします。
 ところでかつては定年退職を迎えた高齢者は、10年も余生を楽しめば皆亡くなったのです。しかしいまは20年以上も元気に生きるようになり、エンジョイするには余生が長すぎ、第2の人生として高齢者も社会貢献していくことを考えないと、国の経済が持たなくなってしまったのです。いま私の住む田舎で新しく建つ大きなビルといえば、老人ホームか介護施設です。無駄に建てているとは思いませんが、もっと高齢者が社会のために頑張れるような施設も作れないものかと考えたりします。私たちが進める「エコの環」は、生ごみの堆肥づくりから野菜の栽培、その販売、調理加工、いずれをとっても高齢者に大きな負担となるものはなく、むしろ非常に意義のある社会貢献策であり、こうした仕組みがこれからの社会には絶対に必要になると考えます。私たちが「エコの環」づくりを始めてから2年半が経ちます。まだまだ問題が多く試行錯誤を続けていますが、しかし今年の下半期から京都府と協働事業「ちーたび」を始めることができ、私たちの活動を広く知ってもらう足掛かりができました。また、宮津市とやはり下半期から「ピンと活き生き宮津ライフ」という活動で、高齢者の健康維持、事業の創出など、「エコの環」が目指す内容を具現化させる運動を始めることができました。これらは今年の大きな成果であったと考えています。
 私たちは天橋立の内海、阿蘇海の環境を取り戻すのが目的の団体です。しかし阿蘇海のへどろから多用性のあるゼオライトが作れたといっても、それだけでは需要は生まれません。そこで地元での大量消費を狙って、次にゼオライトを使った「生ごみの堆肥化」に挑戦しました。そして生ごみ堆肥のみによる野菜づくりに挑戦し、次にその野菜の販売に挑戦し、気が付けば人工ゼオライトの合成に成功してから、いまの「エコの環」という全く想像もしていなかったシステムにたどり着くまでに、10年という歳月が流れていました。この間、土壌微生物、作物の栽培、健康問題、高齢者問題などについてもいろいろ勉強し、いまでは「エコの環」は成し遂げるべき事業であると、自信を持って言えるようになりました。「エコの環」で高齢者が元気になり、現役世代・年少世代に負担をかけないよう頑張ることが、地域の健康づくり、阿蘇海の環境の自然修復につながっていくようなシステムを、一刻も早く作りたいと願っています。  -それではよいお年をお迎えください。-
おいしい野菜を食べて、美しい阿蘇海を!

2014年12月12日金曜日

アミノ酸(つづき)

 私たちの身体はご存じのように主にタンパク質から作られています。タンパク質は22種類のアミノ酸がさまざまに結合して作られますが、アミノ酸そのものはほとんどが体内で必要に応じて作られます。しかし体内で合成できないものが8種類あり、それらは必須アミノ酸として体外から補ってやる必要があります。ところでいまほとんどの加工食品に添加されている化学調味料(アミノ酸)ですが、これは必須アミノ酸ではありません。したがってあえて摂る必要はないのですが、「うま味」成分として、また、悪く言えば「依存症」にするために添加されます。一度、化学調味料の味に慣れると止められなくなるからです。ラーメン屋の前に行列ができたり、スナック菓子が止められないのも、依存症によるところが大きいのです。

加工食品の原材料表示
日本で開発されたこの化学調味料アミノ酸ですが、あるアンケート調査によると、化学調味料を使っている家庭とそうでない家庭を比較すると、前者の家庭の子供たちに「いつもイライラする」、「カーとなりやすい」などの傾向が強く見られるといいます。化学調味料には神経興奮毒性があるためで、脳や神経系に深く静かに影響を与える傾向があり、特に脳を保護する「脳関門」(脳に必要な物質以外は到達しないようにブロックする障壁)が十分に発達していない3歳未満の幼児では、脳に異常を起こす恐れがあると云います。アメリカでは「中華料理店症候群」といって、化学調味料を多用する中華料理レストランで、特に女性や酒の弱い人たちに料理を食べた数十分後に、後頭部や手足のしびれ、顔面の灼熱感、目まい、吐き気、動悸などを訴える人々が続出し、その安全性が疑問視されるようになりました。そしてその後の研究から化学調味料の過剰摂取に警告が出され、ベビーフードには使用禁止令が出されました。また、妊婦が化学調味料を多量摂取すると、母体のグルタミン酸が胎児に移行して死亡率が高くなったり、先天性奇形が発生しやすくなるともいわれ、老人や幼児でショック死を起こした例もあるといいますから、あまり気軽に摂取するべきものとは思われません。
 化学調味料を加熱した実験では「変異原性」といって、細胞に突然変異を起こさせる作用が現れ、特に油などと一緒に加熱するとそうした作用が一層強く現れるといいます。つまり肉に化学調味料入りのタレやソースを塗って焼いたり、化学調味料入りのものを油で炒めたり揚げたりすると、強い発がん性物質が生まれやすくなるというのです。化学調味料入りのスナック菓子には油で揚げたものが多く、だから子どもに多く与えることには注意が必要といえます。
 一方で化学調味料のグルタミン酸ナトリウムは、食塩と同じナトリウム成分を含んでいます。しかし塩辛さを感じさせないので、同時に醤油を使ったりすると知らぬ間に塩分の取り過ぎになるので、その点でも注意が必要です。いずれにしても私たちの身体の元となる料理は、化学調味料によるごまかしの味ではなく、本来の「出汁」を使った味を楽しみながら食べたいものです。


2014年12月3日水曜日

ちーたび(つづき)

 去る11月27日(木)に京都府との協同事業「ちーたび」の第一回目を実施しました。「美味しい野菜を食べて 美しい阿蘇海を! ~「エコの環」を歩く~」というイベント名のもと、ゼオライトを使った生ごみの堆肥化法、生ごみ堆肥で育てた野菜畑、そして阿蘇海を見学後、地産地消の店「すゞ菜」で「エコの環」野菜を使ったランチを食べるという内容です。12名の参加者募集には300枚のチラシをあちこちに置いたり、アースガーデンみやづ2014で配布したり、京都府、宮津市の広報、民間の情報紙などに広告をお願いしました。そして何とか12名(含京都府関係者2名)の参加者を集め実施できました。しかし参加者を見るとそうしたチラシ、広告によるものより、個人的な勧誘による人が多く、しかも舞鶴市、京丹後市など近隣市町からの参加者がほとんどで、肝心の宮津市からはわずか1名の参加でした。なかなか人集めが大変なことを思い知りました。

生ごみ処理の様子
当日は前日までの雨も上がり、日が差す絶好の陽気となりました。まず、集合場所の岩滝口駅近くにあるすゞ菜さんの堆肥小屋に案内し、阿蘇海のへどろから合成可能なゼオライトという粘土を発酵材に使う、私たち独自の生ごみ処理法(宮津方式)を紹介しました。生ごみ堆肥化に関心のある参加者が多く、多くの質問を受けながら熱心に説明を聞いてもらいました。
 次は生ごみ堆肥だけで野菜を育てている畑に案内し、栽培者から苦労話しを聞きました。この畑は生ごみ堆肥を使い始めてから2年ほどしか経っておらず、まだ土作りが十分に出来ているとは言えませんが、害虫対策の質問にネットで対策しているが被害は大きいという回答でした。土作りがもっと進めば害虫被害も治まってくると考えられます。この後は皆さんに大根の引き抜き体験をしてもらい、それを土産として持って歩いてもらいました。しかしそれが案外と重くて負担になったことから、急遽、軽トラで運ぶことになりました。

阿蘇海の環境問題を説明
次に近くの阿蘇海海岸に案内し、海を間近に見ながら阿蘇海の環境について説明をしました。ほんの30数年前まで金樽いわしの良い漁場であった海が、いまは水深8mの海の4m以深は無酸素・無生物状態に有り、漁獲量は貝類以外はほとんどゼロに等しく、また、遊泳は禁止され、渡り鳥も減っているという話しに、皆さん熱心に耳を傾けてくれました。
 この後はすゞ菜に向け約1.5kmをひたすら歩き、腹ごなしの運動をしてもらいました。そしてすゞ菜では16種類の「エコの環」野菜を使ったランチを食べながら、女将から食材・調味料にこだわった料理の説明を受けました。ランチは大好評で、皆さん営業日・営業時間を熱心に聞いておられました(営業:水~土曜日、11:30~14:00)。

「エコの環」野菜を使ったランチ
食後は13時からコーヒー・デザートを頂きながら交流会を行いました。まず、私たちの活動内容・目指すところをスライドで説明した後、多くの質問・提案を受けながら、なぜ美味しい野菜を食べると美しい阿蘇海が取り戻せるのか、環境・少子高齢社会・健康などの諸問題を絡めながら熱心に話し合いました。そして議論の尽きぬなか、予定の14:00を大分回ったところで散会としました。
 今回のちーたびで皆さんには、「エコの環」野菜の良さをよく理解して頂きましたが、「どこで買えるのか?」とズバリ問われても、野菜生産量に限りがある現状では、まだ所定の販売店、販売ルートが十分に確立されておらず、即答できないのが残念でした。
 次回は2015年の1月22日(木)に、天橋立のすばらしい眺望を眼下に収める「玄妙庵」で、「エコの環」野菜の料理を食べながら実施する予定です。参加費:6,000円、募集人員:20名です。ご参加をお待ちしています。