2016年1月22日金曜日

小学生への環境学習

 地元の吉津小学校から5年生(19名)の環境学習として、ブルーシー阿蘇が取り組んでいる「生ごみのたい肥化」について学ばせたい、と相談がありました。打ち合わせをする中で、まず事前に小学校で活動内容について話をし、後日、現場を見てもらうことにしました。
小学校での学習風景

 小学校ではスライドを使って家内がゆっくり、話をかみ砕きながら説明しました。内容としては、この自然界には「サイクル(循環)」という仕組みがしっかりできていて、動物にしろ植物にしろ、死ぬと土壌微生物が食べて分解し、生きた土に変わる。そしてそれを「肥やし」にまた新たな動物・植物が生まれ成長するので、「ごみ」が発生しない。しかし人間社会にはそうした仕組みがないので、電化製品にしろ自転車にしろ古くなるとごみとなり、それが大量に発生して捨て場所に困るようになった。そこで自然界に倣ってサイクルさせようと「リサイクル」が始まったが、例えばペットボトルにしても、人間の力(技術力・経済力)では元のペットボトルに戻すのは非常に難しく、背広や作業服、卵入れパック、風呂敷、バスケットなどに作り直すのが精いっぱいで、結局最後はごみになってしまう。つまりサイクルになっていない。だから人間社会の仕組みにも自然の力をできるだけ取り入れ、サイクルさせるようにするのが好ましい。生ごみにしてもいまは焼却処理しているが、そうすると空気や土を汚す危険なもの(ごみ)が発生する。しかし自然の力(土壌微生物)を使えば元の元気な野菜に生まれ変わり、ごみは発生しない。ブルーシー阿蘇が取り組む「エコの環」とは、「環境にやさしい(エコ)サイクル(環)」という意味です、といったことをお話しました。最初は果たして分かってもらえるか、ざわついた授業にならないか心配しましたが、みなさん真剣に前を向いて話を聞き、熱心にメモを取ってくれたのでホッとしました。
ゆで卵の白身

 見学会では当日の朝、「小学校からもらってきた生ごみ」と、ある料理屋さんからもらってきた「ゆで卵の白身」を見てもらいました。小学校の生ごみを見たときは、「これ昨日食べた献立の皮や」、「これはあの切れ端や」などとワイワイ中身を当てあっていました。ゆで卵の白身を見たときは、「これ食べられるゾ」、「食べたいワ」などと叫んでいました。「これをごみとして燃やした方がいいか、肥料にして野菜を作った方がいいか」と聞くと、もちろん全員「野菜にした方がいい」と答えてくれました。次にできたたい肥を見せると、ごみとは全く違う土の姿にみな「ヘー」とびっくりしていました。そのあとでいろいろ作った野菜を見てもらいました。普段あまり見かけない「金かぶ」とか「黒大根」などに歓声が上がりましたが、その声を聞きながら、生ごみから姿を変えた新鮮な野菜に、「自然の恵み」のような何かを感じてほしいと真剣に思いました。

 4~5日経ったとき、5年生担任の先生が生徒たちの感想文をきれいな表にまとめ、届けてくれました。思いがけない贈り物にびっくりすると同時に感激しました。ひとつひとつの感想文を読むと、思っていた以上にみなさん話の内容をよく理解してくれていて、とてもうれしく、大切に部屋の壁に飾っておこうと思っています。
小学生の感想文集

 

2016年1月14日木曜日

新年を迎えての抱負

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 今年の当地は珍しく正月3が日が好天続きで、気持ちの良い新年を迎えることができました。今年はこの天気のようにすがすがしい1年であってほしいと願っています。


来年度予算案
さて昨年の末、来年度(2016年度)予算案が閣議決定されました(右図)。総額96.7兆円と過去最大規模になるそうです。このなかで気になるのが「社会保障費」(年金・医療・介護・福祉費など)です。高齢化と連動し、いまや財政ひっ迫の大きな原因になっているからです。高齢化の進むなか、今年度より0.4兆円増え32.0兆円と、歳出の実に1/3を占めています。医療費抑制のため、診療報酬の切り下げが断行されましたが、焼け石に水です。国債の利払い・償還に充てられる借金返済用の「国債費」も、今年度より0.2兆円増え23.6兆円となり、社会保障費と国債費だけで55.6兆円と歳出の6割近くを占め、税収の57.6兆円をほとんど使い切っています。消費税を8%に引き上げ、また、円安で好調な企業業績により税収が3兆円余り増えても、国の財政は新たな国債に頼らない限り、何もできない状態にあります。しかもあと10年もすると団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをし、介護の爆発が起きると懸念されています。果たしてこの先、国の財政はいったいどうなるのか心配されます。しかしこうした状況を打破し、次世代への負担を軽減できるのは結局、高齢者自身です。努めて健康に留意し、少しでも社会に貢献すべく努めることは高齢者の責任でもあります。私たちも「エコの環」事業により高齢者、そして地域の健康づくりのため、頑張っていきたいと考えます。

水温の低下実験
やはり昨年末、京都議定書(COP3)に代わる温暖化対策の新たなルールが、フランスのパリで196の国と地域の全会一致により採択されました(COP21;パリ協定)。京都議定書ではアメリカが離脱するなか、先進国にのみ温室効果ガスの削減義務が背負わされましたが、パリ協定では全参加国・地域が削減義務を負うことになりました。当初、果たしてうまくまとまるか心配されましたが、温暖化はもはや世界共通の課題になったと言えます。そして産業革命前からの気温上昇を「2℃よりかなり低く抑える」と共に、「1.5℃未満に抑えるよう努力する」という文言が盛り込まれました。一見、2℃とか1.5℃は小さな数値に見えますが、いまの地球の平均気温は産業革命前に比べ0.85℃上昇したに過ぎず、最近、世界中で起きている温暖化が原因とされる異常気象を考えると、1.5℃なら0.65℃、2℃なら1.15℃、さらに気温上昇を許すことになるわけですから、1.5℃でも決して小さな数値目標とは言えないのです。しかもこれは平均気温ですから、日本の気温に直せば数倍の大きさになるといえます。また、いったん気温の上昇を許すと、後で温暖化ガスの発生をゼロに抑え込んでも、なかなか気温の低下に結びつかなくなると言われるだけに、一刻も早い取り組みが望まれます。
 ところで前回のブログで、へどろヒートポンプを使って「養殖魚生けすの水温低下実験」を始めたとお伝えしました。へどろのすぐれた吸湿/放湿特性を利用すると、電力(化石燃料)に頼らない蒸気吸着式の優れたヒートポンプが造れるのです。何とか今年中に実用化への目途をつけ、それを真夏に高温となる家屋の屋根、壁の温度低下につなげていきたいと考えます。