2014年5月28日水曜日

一週間の戦い

 家内が一週間も家を空けることが起きました。先週の月曜日、急遽病気見舞いに出かけることになり、水曜日に帰ってくる予定で出かけたのが結局土曜日になってしまったのです。これまでも遊びや何かで家内が家を空けることはときどきあったのですが、空けても2~3日どまりで、そのときはその間の私の食事を全部用意して出かけるのが家内の習いでした。これは決して私が「亭主関白」だからと云うことではなく、長い習慣として私自身が台所に立ったことが全くなく、「台所のことは任せられない」という家内の強い思いによるもので、ただ今回は準備の時間がほとんど無かったため、「カレーでいい」と云ってカレーだけを多めに作ってもらいました。
 こんなことで水曜日の昼までは何とか無事に過ごしていたのですが、家内から突然「帰りを土曜日にしたい」と急な連絡が入り、そこから私の苦しい戦いが始まりました。経験のない食事作りもさることながら、実は前日、一日中庭の草取りをしていたのですが、結構身体に負担を感じながらも少し無理をしたのが悪かったのか、朝起きると寝違えたように首から右肩にかけ激痛が走り、全く首が回らなくなっていたのです。ふだん肩こりなどしたことがなく、貼るシップ薬もないままパソコンに向かっていると痛みは増すばかりで、そうこうする内に夕食の準備にかからねばならなくなりました。冷蔵庫といってもビールの置き場所しか知らない身にとって、家内から「冷凍庫にナニ」、「冷蔵庫のどこにナニとナニ」と云われても、「省エネ」意識からか長時間扉を開けておられないのと、首が全く回らないのも手伝ってなかなかナニを見つけることができません。散々苦労してやっとジャガイモ、にんじん、キャベツ、豚肉、ホタテを見つけ、これらをフライパンで炒め醤油で適当に味付けしたのですが、蓋をかけて料理したせいか野菜からの水でちょうど「すきやき」風の炒めものができ上がりました。次にご飯を普段の土鍋ではなく小さな炊飯器で炊こうとしたのですが、お米の量と水の割合が分かりません。家内は「お米2カップに水2カップ」というのですが、それを守るとわが家の小さな炊飯器が溢れそうになります。こんなところで技術屋の厳密な計量に対する家内のいい加減さに腹を立ててもどうしようもなく、やむなく水を減らして「ままよ」とスイッチを入れました。幸いご飯は蓋を持ち上げんばかりに膨らんだものの焦げもなく、なんとかその晩は結構おいしいスキヤキごはんを食べることができました。
 翌朝になっても痛みは引かず、一日ゆっくりしようと午前も午後もゴロゴロ寝て過ごしたのですが、これがよくなかったようで、電話が鳴っても人が訪ねてきても急に起き上がることさえ難しくなってしまいました。その内にまた夕食時になり、しかし肉は前日に使い切ってなく、ホタテも半分冷蔵庫に残しておいたのがいくら探しても見つからず、たまたま見つけた冷凍シャケで昨日同様にスキヤキ風炒めを作り、それと家内から味噌のあり場所と溶かし方を教わり、ジャガイモとキノコ、豆腐で味噌汁を作りました。そしてその晩も肩の痛みと戦いながら、何とか食事を済ますことができました。
 しかし翌朝も痛みは一向に引かず、これは血のめぐりが悪いからだろうと風呂を沸かし、ゆっくり肩、首まで浸かってたっぷり汗をかきました。しかしこれが却って悪かったのか、今度は微熱が出て気分まで悪くなってしまいました。こんな様子を知った家内から、家内に代わっておばあさん(103歳)の面倒を見に帰っていた義兄に連絡が行き、彼が普段使っているシップ薬を持って駆け付けてくれました。「マッサージに連れて行ってやる」と云ってくれたのですが、気分的にまったく動く気になれず、「シップ薬で様子をみてみる」と云って一日椅子に座って本を読んだり、テレビを見たりしてジッとしていました。しかしこれがまた身体を固まらせるというかコリを進めた感じで、まさに肩で息をする状態になってしまいました。そうこうする内に水道のお湯が出ないことに気が付きました。わが家は夜間電力でお湯を沸かしているのですが、不思議に思ってコントロール盤を見ると、エラーメッセージが点灯しています。取説を見ながらコントロール盤を操作してもエラーメッセージは消えず、何故だろうと風呂場を見ると上がり湯の蛇口が開けっ放しで、水が勢いよく出ています。多分5~6時間そんな状態だったろうと思われますが、肩の痛みでそんなことにも注意が届かなくなっている自分が、まったく情けなくなる思いでした。その晩も何とか「お米1カップと水1カップ」でご飯を炊き、あとは豆腐、納豆、焼き海苔などを見つけ、それで食事を済ませましたが、肩の痛みはひどくなるばかりで、その夜は右を向いては「ギャー」、左を向いては「ギャー」と一晩中痛みに苦しめられました。
 翌朝は目が覚めても激痛のため起き上がることもできず、まるで裏返しにされたカメ同然に、手足をバタバタさせながら天井を見ているだけの状態で、やむなく一日中ジッと寝て、家内の帰ってくるのをひたすら待ちました。不思議なもので家内が帰ってくると幾分痛みも和らぎ、その夜は前日よりは少し楽に寝ることができました。
 翌日(日曜日)家内から「緊急診療所へ行ったら」と勧められたのですが、少し楽になったことから結局行かず、月曜日の夕方になってやっと外科に行く決心をしました。そして飲み薬とシップ薬を処方されたのですが、お陰で翌朝(火曜日)になると痛みがすっかり無くなっているのにビックリしました。なぜ一週間近くも痛みと戦っていたのか不思議に思えて仕方ありませんでした。ただ、今回の出来事は共に高齢で支え合って生きていくには、男も台所に立つ必要があることを切実に教えてくれ、「週に1回は料理作りを手伝う」ことを家内と話し合ったところです。



 

2014年5月14日水曜日

食糧問題

 
 昨日は全国的に夏日、真夏日となったところが非常に多く、急激な温度変化に体調を崩す人も大勢いたようで、5月というのに熱中症の対策をテレビが訴えています。
 国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第1作業部会報告書(2013年9月)によると、温室効果ガスの排出をいまのまま放置した「成りゆきのシナリオ」の場合、世界の平均気温は今世紀末に最大で4.8℃上昇すると云います。昨年の日本の夏は、四万十市を始め最高気温を更新する観測点がアチコチに続出する猛暑でしたが、それでも平均気温でみると、平年よりわずか1℃ほど高かったにすぎないと云われ、それを考えると4.8℃という数値のスゴサと、その計り知れない影響が心配されます。しかもいったん気温が上昇すると、たとえその後に温室効果ガスの排出量をゼロにしても、気温は思うように下がらないと云うから厄介です。

昨夏の猛暑
国際社会が目指すべき選択肢の一つに、産業革命前に比べ気温の上昇を2℃以内に抑える「2℃シナリオ」があります。しかしこれを実現するには、温室効果ガスの排出量を今世紀末までにゼロにする必要があると云われ、人口大国の中国、インドなど新興国の排出量の急増を考えると、その実現には相当厳しいものがあると云えます。
 次に横浜市で公表された第2作業部会の報告書(2014年3月)によると、「成りゆきのシナリオ」では海面の上昇は81cmにもなり、今世紀末までにアジアを中心に移住を余儀なくされる人数は、数億人に及ぶと見積もられ、地球温暖化の影響はすでにすべての大陸・海洋の水資源・食糧生産・自然生態系にハッキリ表れていて、水産物は生息域が大きく変わると同時に世界的な減少が見込まれ、農業では小麦・トウモロコシなどの主要穀物に収穫量の減少傾向が表れていると云います。一方で人口増のため食糧の需要は増えるため、4℃以上の大きな気温上昇を許すと、世界の食糧安全保障に大きな影響を与え、武力衝突の危険性も高まり、「2℃シナリオ」なら適応策も立てられるが、4℃以上になると限界を迎えると述べているそうです。
 そして第3作業部会の報告書(2014年4月)では、深刻な影響を避けるには2050年までに温室効果ガスの排出量を、2010年比で40~70%と大幅に削減する必要があると述べていて、現在の地球の温室効果ガスの平均濃度は約400ppmであるが、今世紀末の濃度が450ppmであればまだ「2℃シナリオ」実現の可能性はあるものの、ここ10年間の排出量の増加が特に大きいため、このままでは2030年に450ppmを通過してしまう可能性があり、それまでにそれなりの対策を取らないと将来の対策の選択肢が限られてしまう、つまりここ10~20年が勝負になると訴えているそうです。IPCCの報告書に従えば、「成りゆきのシナリオ」か「2℃シナリオ」か、私たちはいま人類の存亡をもかける非常に厳しい岐路に立たされていることになります。
 いま日本は食糧の6割以上を海外からの輸入に頼っています。しかしIPCCの報告書は日本の現状は国家安全保障上極めて危うく、これからは自らの食糧は自ら賄うことが自衛隊を持つ以上の意味をもってくることを教えています。高齢者が「エコの環」に取り組み、地域のために食糧の生産、確保に励むことは、これから非常に重要になってくると考えられます。




2014年5月6日火曜日

生産年齢人口

 総務省の発表によると昨年10月時点の日本の総人口は、定住外国人を含めて1億2,730万人で、その内65歳以上の高齢者が初めて25%を超えたと云います。一方で生産年齢(15~64歳)の人口は8,000万人を割り込んで62.1%となり、しかも15歳未満の子供は33年連続の減少で12.8%となり、高齢者の約半数と云います。

この人口構成、特に生産年齢人口の減少は極めて深刻な問題で、全国的に飲食店では人手不足による休業が相次ぎ、製造業の現場でも折角の注文に生産が追い付かなかったり、建設業界では東日本大震災被災地の復興事業や大型ビル・店舗の建築にも影響が出ていて、東京オリンピックにも影響の及ぶことが心配されています。一見、高度成長期のころの人手不足に似た状況ですが、成長ラッシュに沸いた時代とは全く違う環境下での人手不足だけに、その影響が心配されます。しかも高齢者が増えると云うことは介護問題が発生することでもあり、それがまた生産世代の足を引っ張っているようです。新聞報道によると働きながら家族の介護をしている人はいま291万人もいて、しかも介護のため離職する人が年に10万人に達し、このままいくと10年後には30万人を超える可能性さえあると云います。人手不足と云い介護問題と云い、人口構成の変化が経済活動に重大な影響を及ぼしつつあるのです。
 一方、生産世代の減少は社会保障制度(年金・医療・介護)にも深刻な影響を及ぼしつつあります。そのためこの4月には消費税が8%に引き上げられました。しかも高齢者は医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げられ(70~74歳)、年金の支給額も減らされました。一方で現役世代も保険料の負担増を強いられました。しかしこれでも社会保障制度の維持には全くの「焼け石に水」で、来年の10月には消費税をさらに10%に引き上げることが検討されています。しかしそれでも制度維持にはさらなる負担増が必要だと云われています。それほど日本の人口問題は深刻であり、待ったなしの状況にあるわけです。

高齢者を支える生産世代
生産世代の増加にはもはや女性と外国人に頼るしか方法は無いかも知れません。しかし一方で高齢者にも生産世代に負担をかけない生き方が求められていると思います。一つは自らも生産活動に加わって経済成長に協力することであり、いま一つは健康管理・維持に努め、医療・介護費の負担軽減に努めることだと思います。その意味で私たちが進める「エコの環」は、高齢者にとって健康的で負担も軽く、非常によい葉っぱビジネスになると考えています。生ごみを燃やせばキロ当たり24円の経費(宮津市の場合)が掛かりますが、野菜にすれば240円の価値が生まれるのです。しかも6次産業化への展開を図ればさらに価値を増大でき、高齢者にとって非常によい社会貢献策になると信じています。