2020年9月7日月曜日

へどろから見た持続可能な世界ーごみの廃棄

 今年の夏の暑さは尋常でなく、史上最も暑い8月であったそうです。その影響で日本近海の海面水温も高く、台風はかつてないほどに大型・強大化し、最近の天候には空恐ろしさを感じます。そしてコロナ禍を含め、私たちの生活は持続が可能だろうかと大きな不安を感じます。

 そこで今回は「持続可能とは?」について少し考えたいと思います。

 自動車免許を取られたとき、エンジンについて勉強されたと思います。エンジンは①吸入、②圧縮、③燃焼・膨張、④排気という4つの工程を1サイクルとして、同じ運動を繰り返します。つまり燃料のガソリンを空気(酸素)で燃焼させて動力に変え、廃ガスと廃熱を吐き出します。廃熱はラジエーターからも捨てられます。

エンジンの4つの工程
 
 この4つの工程のなかの最後の廃ガスと廃熱(燃焼ごみ)を捨てる工程は、一見当たり前に思われますが、実は自然科学では非常に重要なテーマで、理系の人間は「熱力学」で勉強し、理解するのに苦しめられます。
 
 内容的には、①燃料を燃やすとその一部は必ずごみ(廃ガス+廃熱)になる。燃料のすべてを使いつくすことはできない、②このごみは必ず外に捨てなければならない。捨てないとエンジンは止まってしまう、③エンジンはできるだけゆっくり動かす方が効率はよく、燃料エネルギーをより多くの動力に替えられるといったことを学びます。しかしその概念は難しく、私などはいまだによく理解できていない有様です。
 
 
 ところでこの地球上では私たち人間を含め、あらゆる動物・植物が生命活動を行っています。人間はさらに経済活動なども行っています。こうしたあらゆる活動はエンジンに例えられます⁂1、2、3
 
 私たち動物は食べ物を空気(酸素)・水と一緒に体内に取り込み、仕組みは若干違いますが食べ物を燃焼させて身体と動力に変え、炭酸ガス、水、廃物、廃熱などのごみを呼気、汗、小便、大便、また体温の放熱により体外へ捨てています。こうしたごみは必ず発生し、それを体外に捨てないと便秘・腸閉塞、熱中症などを引き起こし、命を落とすことになりかねません。
 
 こうした自然界に発生するごみの内、まず廃物については自然界にはこれを分解処理する巧みな循環システムが備わっていて、例えば炭酸ガスは植物がそれをでんぷん(食べ物)と酸素に変えてくれます(炭酸同化作用)。小便・大便は土壌微生物が土(植物の栄養源)に変えてくれます。だから地球上には生物が30億年以上もごみを出し続けながら、ごみは存在しないのです。
 
 では廃熱はというと、地球上には毎日太陽から大量の熱が届き、そのエネルギーのもとに生命活動が行われ、大量の廃熱(ごみ)が発生します。こうした熱をため込むと地球は灼熱地獄になってしまいますが、幸い地球はこうした熱を「熱放射」により外部の宇宙に捨てるため、問題は起きないのです。冬のよく晴れた日の翌朝は非常に肌寒く感じますが、これは地球が地上の熱を宇宙に捨てるからです。こうした自然界の仕組みから少なくとも18世紀の中ごろまでは、地球上に温暖化とか、ごみ汚染といった問題は全く存在しなかったのです。
 
 しかし人間が産業革命により石炭から動力を得、また石油を利用して便利で快適な生活を始めると、地球上には膨大なCOと煤煙がごみとして吐き出されるようになり、それが温暖化物質として宇宙への熱放射を妨げるため、廃熱が捨てにくくなり、温暖化の問題が発生するようになりました。また、人間が石炭、石油からいろんな化学物質を合成するようになると、自然界にはこうした物質を分解処理・循環する仕組みがないため、廃物は溜まる一方となり、ごみによる汚染問題が騒がれるようになりました。つまり生活圏からごみを外に捨てることができず、私たちは便秘状態、熱中症状態の生活に追い込まれつつあるのです。
 
 持続可能な世界とは、必ず発生する「ごみ」を外に捨てることができる世界のことです。
 
 
 しかも私たち人間社会では能率(スピード)が重んじられます。つまり少ない時間にどれだけ多くの仕事をするかが問われます。しかしエンジンはできるだけゆっくりゆっくり動かす方が効率は良いのです。速く動かすと必ず摩擦などでエネルギーを無駄に消費し、その分ごみが発生するからです。人間社会の能率とエンジンの効率は相いれない関係にあるのです。
 
 例えば電気は能率を重んじる現代社会には絶対に欠かせないものです。火力発電では石油などを燃やして水蒸気を発生させ、それでタービンを回して電気を作っています。しかしその効率は35%といわれ、65%は廃熱(ごみ)として捨てられているのです。能率を重んじることは大型タンカーで運んでくる石油の大半をごみとして捨てることなのです。
  
 人間社会では常に経済成長が求められます。経済は儲けることで回るからです。しかしいまの経済成長はあまりにも化石燃料に頼りすぎ、能率を求めすぎているように感じます。これからは「ちょっと我慢する」(プチ我慢)、「もったいない精神」で、地球上の資源をできるだけ大切に、ゆっくり使うことが大事になってくるのではないでしょうか。コロナ禍がそのヒントを与えてくれそうな気がしています。
 
 
 私たちは海のへどろを使ってごみの出ない「エコの環」を回し、地上の熱を回収する「ヒートポンプ」の装置を作りたいと考えています。
 
 ぜひ私たちの活動を見に来てください。そして次世代のために持続可能な世界について、一緒に考えましょう。

   ☎ 0772-46-4943  📱 090-2061-8479
  
 
⁂1 槌田 敦;弱者のための「エントロピー経済学」入門、ほたる出版(2007)
⁂2 山口 幸夫;エントロピーと地球環境、七つ森書館(2001)
⁂3 広瀬 立成;物理学者、ゴミと闘う、講談社現代新書(2007)