2017年4月26日水曜日

へどろヒートポンプ

 火事などで消火が必要なとき、私たちは水を使います。当たり前すぎてなぜ水が有効なのか深く考えませんが、理屈としては次のように考えられます。
 
 水1リットルを1℃加熱するには1キロカロリーの熱量が必要です。しかしこの水を蒸気として気化するには、約600倍の580キロカロリーものエネルギーが必要です。つまり燃えているものに水をかけると、水は気化するときに膨大なエネルギーを奪うため、燃焼物はエネルギーを失って燃焼反応を継続できなくなるのです。

 ところで真夏の屋根の温度って、どれくらいになるかご存知でしょうか。晴れていると簡単に60~70℃になります。壁の温度も50~60℃にはなるでしょう。当然、建物の中は蒸し風呂状態になり、エアコンがなければとても生活できません。しかしこの屋根に水を流してやったらどうなるでしょう。水は気化して屋根の大量の熱を奪い、簡単に40~50℃に下げてくれます。いまこうした散水装置によりエアコンが不要になったという話をよく聞きます。

 さて、これまで何度か「へどろヒートポンプ」について触れてきましたが、これを屋根に設置することで、屋根に水を流すのと同じことができます。屋根で気化した蒸気をへどろにドンドン吸着させることで、屋根の温度を大きく下げることができるのです。しかも蒸気はへどろに吸着するとき屋根の熱を吐き出すため、へどろを冷却すれば「温水」が回収できるのです。また、蒸気を吸着したへどろは太陽熱で簡単に水を放出しますので、その水を再度屋根の冷却に利用できるのです。

へどろヒートポンプの原理
へどろヒートポンプによる屋根冷却の利点は、まず、エアコンのエネルギーが削減できることです。次に屋根の熱を温水として回収できることです。夏でも給湯用エネルギーの使用量は大きいので、この効果はバカにできません。いま一つは屋根の温度を下げることで夜間の放熱が抑えられ、熱帯夜から解放されることです。前述の屋根に水を流す方式では温水は回収できませんし、気化した蒸気は大気中に放出されるので、下手をするとゲリラ豪雨の原因になりかねません。

 このへどろヒートポンプですが、いくら説明をしても実際に現物を見てその効果を確認できないと、なかなか理解してもらえません。かといって私が実験用に作った装置は重くて移動しづらく、簡単には皆さんに実験を見てもらうわけにいきません。どうしたらよいか悶々と過ごしていましたが、あるときふとシンプルな装置を思いつき、平和堂財団の夏原グラントに申請していたところ、少額ですが助成金がもらえることになりました。この夏ごろまでに装置を作り、デモ機として活用したいと考えています。
私の作った装置

  

2017年4月10日月曜日

2016年度のまとめ

 気が付けば2016年度もあっという間に過ぎ去ってしまいました。

「エコの環」野菜の販売額推移
2016年度は生ごみ処理機(たいぞう君)の台数を増やし、肥料不足の問題を解消してのスタートでした。お蔭で「エコの環」野菜の販売額は6、7、8月と目標の10万円/月を大きく超え、「よし、いいぞと思っていたのが、8月後半あたりから急に野菜の集荷量が落ち始め、「あれ、少ないな」と思っている内に、ズルズルそのまま過ぎ去った1年でした。全国的に昨年の夏ごろから異常気象による野菜の高騰が続き、そうした天候の影響がまずは大きかったと思います。しかし発酵肥料による土つくりとか、あるいは高齢者ゆえの入院とか療養といった問題、また度重なる獣被害といった隠れた要因も大きかったように思います。結局、終わってみれば野菜販売額は89万円(目標達成率;74%)と目標を大きく下回り、自立の難しさを実感した1年でした。

ゲストの青木さんのお話
「エコの環」野菜の普及活動としては、”昭和40年頃の味探訪シリーズ”として、料理教室のちーたびを3回実施しました。
 いま日本の医療費は40兆円を超え破たんしかかっていますが、東京オリンピック(昭和39年)のころは1兆円にも届かない状況でした。医療費の急増にはオリンピック後の生活の激変による食の洋風化、体温の1度ほどの低下が指摘され、そこで「昭和40年頃の味」を探ってみようということにしました。

小西さんの料理指導
実際に当時の「カレー」を作って感じたことは、今のカレーに比べ脂分が非常に少ないということでした。「一汁三菜」を作ったときは、日本料理は脂分が少なくてお腹にもたれないこと、食物繊維が多いことを実感しました。また、「なべ料理」では身体が芯から温まることを実感し、改めて自然を活かし、自然に調和した日本料理の奥深さのようなものを知り、だから健康にいいのだと素直に思いました。
 料理教室には毎回、丹後アレルギーを考える会の代表青木伸代さんをゲストにお招きし、また、料理の指導には地産地消の店、”すゞ菜”の女将小西美鈴さんをお招きしました。青木さんはアレルギー問題を通して食の問題に造詣が深く、小西さんはダシを使っての食材を活かした料理づくりにこだわりを持っておられ、参加者からは毎回、「新発見が多く、参加してよかった。野菜も甘くておいしかった」という嬉しい声を聞くことが出来ました。

 その他にもふるさと産品に協力したり、地元で月に1回ほど開かれている「楽市楽座」で、”すゞ菜”の女将小西さんのお力を借りながら、「エコの環」野菜を使った巻き寿司とかコロッケなどを販売するようにしました。いずれも地道な活動ではありますが、そうしたことでじっくり知名度を上げていければと考えています。
楽市楽座での食品の販売