2019年12月30日月曜日

阿蘇海のへどろの二本柱

 地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」がいよいよ来年からスタートします。すべての国が参加して産業革命以降の気温の上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えようとする、世界的な共同作業です。
 しかしこれまで各国が自主的に決め、国連に提出した削減目標では、達成されたとしても3℃上昇するとされ、先ごろスペインで開催されたCOP25では、削減目標のさらなる引き上げが図られました。しかし排出量の多い国の後ろ向きな姿勢により、期待からは程遠い結果に終わり、国連事務総長をがっかりさせました。特に排出量5位の日本は時流とかけ離れた石炭火力に固執し、環境NGOから「化石賞」を贈られる始末でした。
 とはいえ、いまの経済構造のままでは経済活動と環境問題は相容れないところが多く、どの国も簡単には削減目標の引き上げに同調できない事情があります。

 この地球温暖化という問題を考えるとき、もはや私たちは国に頼るとか任せるという次元でなく、同じ地球に住む人間として、私たち個々人がいまの生活を真剣に考え直すときに来ているのではないか、そのような気がします。
 例えばいまの時代はグローバル化が進み、あらゆるものがすごく便利になっています。しかしこうしたグローバル化とか便利といったことも、実は環境問題と相容れないことが非常に多いのです。
 グローバル化が進むことで誰もが簡単に、しかも非常に安く世界に出かけられるようになりました。しかしそのときに利用する飛行機は膨大な温暖化ガスを発生します。いまヨーロッパでは「飛び恥」、つまり「飛行機に乗るのは恥ずかしい」という言葉が流行り、飛行機の代わりに鉄道を利用する人が増えているといいます。
 また、日本にいても外国産の食料が簡単に口にできるようになりましたが、日本に輸入されるこうした食料の平均輸送距離は15,000kmにもなり、直線距離にして南アのケープタウンから運ばれるものを私たちは食べているそうです。地産地消がいかに大切なテーマかが分かります。
 便利という点ではコンビニが身近な例に挙げられます。最近、休みが取れないということで本部と争いを見せる店主が現れていますが、本当に「365日、24時間」営業を続ける必要があるのかと私などは考えます。そのために費やされる照明エネルギー、温調エネルギー、品物の補充エネルギーなどには、測り知れない無駄があるように思います。
 商品のビニール梱包も非常に便利なものの一つです。しかしこの梱包がいまや海洋プラスティックとして海、魚を汚染し、2050年には魚の量より多くなってしまうといいます。

 私たちはあまりにも「便利」、「快適」、「迅速」、「安価」といったことを追い求めすぎていないか、そろそろそういった考えから脱却し、少しは我慢する、もう少しゆったり構え、もっと身体を動かすといった生活に改めていく必要があるのではないでしょうか。
 以前、地球温暖化対策について質問されたある大学教授が、「何もせず、じっとしていたらいい。」と答えていましたが、本当にそうかもしれません。

 
 「阿蘇海のへどろ」・・・・・・・このまったく用途がなく、汚染物質に過ぎないと思われていたものが、うまく活用すると「エコの環」を回したり、「ヒートポンプ」を作ったりできることをこれまで実践、実証してきました。そして今夏、ヒートポンプのデモ機を作製したことから、いよいよ「阿蘇海のへどろの二本柱」を広く訴えることが可能になりました。

阿蘇海のへどろの二本柱
 
 「エコの環」は地球に優しい持続可能な食料の循環システムであり、地産地消であり、発酵肥料のゼオライト、土壌微生物は土を若返らせ元気にしてくれます。一方の「ヒートポンプ」は夏の暑さ対策として地表の熱を吸収し、それを各家庭で大きな比率を占める給湯エネルギーに変えてくれます。つまり阿蘇海のへどろを使って地球の持続性に役立つ活動ができるのです。来年からはこうしたことを広く訴え、実現に向け行動していきたいと考えています。
 
 それではよい年をお迎えください。