2014年10月30日木曜日

認定NPO法人に認定される

 いま全国には46,000を超えるNPO法人があるそうです。私たちの法人もそうですが、ほとんどのNPO法人は財政上の問題を抱えていて、なかなか思うように活動できない状況にあります。そこで寄付を集めやすくして健全な活動の発展を促すため、平成23年に法改正が行われ、「認定NPO法人」への認定要件が緩和されました。認定NPO法人になると、その法人への寄付には税制上の優遇措置が与えられ、寄付金の半分近くが寄付者の所得税、地方税から還付されるため、寄付者は寄付がしやすくなり、法人は寄付が集めやすくなるというわけです。法改正により認定の所管もそれまでの国税庁から各所轄庁(都道府県、政令市)に変更されました。
 これまで私たちは寄付金を集めるのに、主に公益財団法人京都地域創造基金を通して行ってきました。寄付に対し、認定NPO法人同等の税制上の優遇措置が受けられるからです。しかしそうすると寄付のお願いに行くとき、私たちの活動だけでなく創造基金の説明もする必要があり、非常に面倒な思いをしなければなりませんでした。それに寄付を集めるのに創造基金は何の手助けもしてくれず、集めた寄付金だけが一部ピンはねされます。しかもこの制度を利用するのに毎年、膨大な申請書と報告書を提出する必要があり、これなら自分自身が認定NPO法人になった方が得なのではと考えるようになった次第です。
 認定NPO法人になるには当然大きなハードルがあります。その第一は経理に関するもので、「公認会計士もしくは監査法人の監査を受けていること、または青色申告法人と同等の帳簿書類を備え付けてこれに取引を記録し、当該帳簿書類を保存していること」が求められます。もちろん私たちのような小さな法人に監査を受ける余裕はありません。しかし帳簿書類については平成24年のNPO法の法改正で、会計書類の「収支計算書」が「活動計算書」に移行した際、散々苦労して帳簿書類のパソコン処理化を進め、それが京都府の府民力推進課から青色申告法人の帳簿書類に相当することを認めてもらった経緯があり、これが大きな力になりました。次に問題になるのがパブリック・サポート・テストで、広く市民の支援を受けているかどうかを寄付金の額で判定するものです。①寄付金の収入に占める割合が1/5以上か、②3,000円以上の寄付を年平均して100人以上から受けているか、③条例指定によるもので、年に25人以上から15万円以上の寄付を受けているかなどですが、幸い①をクリアすることが分かりました。次に問題となるのは法人として遵守すべきもろもろの基準です。しかしこれらについては平成24年に、一般財団法人社会的認証開発推進機構のステップ3への第三者認証を取得した際、いろいろ書類の整備を実施しており、その経験が大きな力になりました。
 認定NPO法人の認定申請書は京都府に提出していました(9/19)が、その実地調査が本庁から2名、丹後広域振興局から1名来訪され、実施されました(10/8)。経理書類に問題はないか、会計資料と申請書に整合性が取れているか、組織運営は定款通り実施されているかなどが詳細にチェックされましたが、特に大きな指摘事項もなく、無事審査をパスしたとの連絡を受けました(10/24)。認定書の手交は本庁で行われることになっています(11/6)。ただ、認定NPO法人になったからといって急に寄付が集まるわけでなく、今まで以上に寄付集めには苦労することになりそうです。


書類審査の様子



2014年10月14日火曜日

ちーたび

 京都府には諸団体が取り組む地域の活性化事業に対し、「地域力再生プロジェクト支援制度」というのがあります。私たちNPOでも2007年度にその支援を受け、それまで個人宅向けに生ごみ処理の普及活動を行っていたのを、大型処理機を使った隣組の生ごみの大量処理に挑戦し、いまの「エコの環」事業への基礎を築きました。この制度には自立を目指す活動に対し、ソーシャル・ビジネスプログラムという支援プログラムもあり、私たちNPOもこの10月からその支援を受けるべく、まだ交付決定前ではありますが「事前着手届」を出し、活動に取り組み始めたところです。
 この支援プログラムには京都府のソーシャル・ビジネスセンターと私たちが協同で進める、「ちーたび」という地域力ビジネスがあります。私たちの活動を小さな「旅」にして参加者を案内し、内容を多くの人に知ってもらい、活動の応援隊やファンを作ろうとするものです。最初、ソーシャル・ビジネスセンターの方からその話しを持ちかけられたときは、何のことかよく理解できず、これまでイベント的なことには一切関わりを持たずやってきた私たちには、こんなことがビジネスになり、自立の助けになるのかといった疑いと戸惑いがありました。しかし私たちが進める「エコの環」も、野菜の販売額を順調に伸ばし、昨年度は51万円の売り上げがあったとはいえ、経済的自立には少なくとも130万円ほどの売り上げが必要であるのに対し、現在のボランティアに頼る生ごみ処理だけでは堆肥生産量に限度が有り、これ以上売り上げを大きく伸ばすのは難しく、また、売り上げを伸ばすにも販路の開拓が必要といった悩みを抱え、自立に向けた打開策を模索しているときでした。そこで思いついたのが「ちーたび」で、参加者に「エコの環」野菜を使ったおいしい手作り料理を食べてもらうという企画でした。そうすれば「ちーたび」開催に向け交付金で堆肥と野菜の増産が図れ、また、生ごみ堆肥で育てた野菜、料理の美味しさを分かってもらえば販路の開拓にもつながり、自立への道が開けると考えられます。そこで11月にまず第1回目の「ちーたび」を実施することにしました。そのために作成したチラシが上図で、タイトルは「美味しい野菜を食べて 美しい阿蘇海を!」です。
 「ちーたび」の実施日時は11月27日(木)の10時~14時で、KTR(北近畿タンゴ鉄道)の岩滝口駅前に集合後、近くの生ごみ処理場で反転可能な木箱使い、ゼオライトで発酵・堆肥化を進める独自の「宮津方式」を見学してもらいます。その後1~2km離れたところで3人の高齢者が生ごみ堆肥のみで野菜の栽培をしている畑を見学し、そのとき野菜の収穫も経験してもらいます。そして近くの阿蘇海海岸に移動し、私たちが将来、そこに堆積するへどろで人工ゼオライトを合成し、それによってその環境を修復しようと考えている海(500ヘクタール)を見学してもらいます。その後また岩滝口駅近くに移動し、「すゞ菜」という地産地消の店で「エコの環」野菜を使った美味しいランチを、女将の小西さんから料理法の説明を受けながら食べて頂きます。食後はすゞ菜で私たちの活動内容をスライドを使って説明し、参加者全員で環境や健康について話し合いたいと考えています。参加費用は1人2,000円で、定員は12名、小雨決行です。奮っての参加をお待ちしています。お問い合わせはTel$Fax ;0772-46-4943(松森)、あるいはメールで次までお願いします。toyomi55@beige.ocn.ne.jp
   bluesea.aso@gmail.com
すゞ菜のやさい畑のごちそうランチ

2014年10月5日日曜日

アミノ酸

 前回、調味料のアミノ酸について少し触れました。いま私たちが買う食品には生鮮食品以外、ほとんどのものに食品添加物が入っていて、なかでも「調味料(アミノ酸)」とか「調味料(アミノ酸等)」は非常によく見かける化学物質です。これらは食品が持つ本来の味を活かすというより、化学物質により濃厚な味付けをする為に入っています。その方が生産者にとって生産コストが格段に安く抑えられ、しかも消費者を中毒にしてその商品のリピーターを作ることができるからです。中学生の時、放課後に学級行事で残っていると、担任で理科の先生が数種類の化学薬品を持ってきて、目の前で黄色いオレンジジュースを作ってくれたことがあります。薬品だけでおいしいジュースが作れることにビックりしたことを覚えていますが、いま販売されている加工食品、行列のできるレストランなどのほとんどでは、こうした化学薬品調合による味付けが行われているわけです。
化学調味料のそもそもは、1907年に池田菊苗が昆布のうまみはグルタミン酸であることを発見したことに始まります。私たちの舌には味蕾という味覚器があり、甘味、酸味、塩味、苦味などの味を感じ分けることができますが、グルタミン酸の発見以来、それらに第五の味として「旨味」が加わりました。化学調味料の生産・販売を始めた味の素㈱も、当初は昆布を煮出して結晶化させ、それを販売していたようですが、しかしそれでは40キログラムの昆布からわずか30グラム程度の調味料しか得られないため、グルタミン酸ナトリウムを工業的に大量生産する方式に切り替えたようです。グルタミン酸は20種類ほどあるアミノ酸の一種で、タンパク質を加水分解すれば簡単に作れるからです。実際に高校の理科の授業でも、タンパク質である髪の毛からアミノ酸を作る実験が行われたりしますが、中国では髪の毛から作ったアミノ酸を原料に、醤油の製造販売も行なわれているようです。また、グルタミン酸ナトリウムを石油から合成することも可能であり、味の素㈱でも石油からの合成も行なっていたようです。しかし工業的に生産を行う場合は何を原料にするか、どういった工程で生産するかが大きな問題になります。どんな製品も生産過程で不純物の混入は避けられず、不純物の毒性などをよく調べる必要があるのですが、不純物が微量になればなるほどそうしたことへの注意が、無視されがちになるからです。髪の毛といえば気分的にもよくありませんが、それ以上に髪の毛には体内に入った有害物質(水銀など)が排泄物として含まれており、アミノ酸の入った安い食品には特に注意が必要です。調味料(アミノ酸)と記載されている場合は、グルタミン酸ナトリウムだけが添加され、調味料(アミノ酸等)と記載されている場合は、核酸とかコハク酸などアミノ酸以外の旨み成分がさらに配合され、カツオ味とかシジミ味、ウニ味などが思いのままに作られます。こうした濃厚な味のもとでは塩味を出すのに、塩分もかなり高め入っているといいます。私の舌はかなり鈍感ですが家内の舌は敏感で、アミノ酸が入っていると「ウッ」と吐き出したりします。味がしつこくて飲み込めず後に残るのだそうです。化学調味料の有害性についてはいろいろ取りざたされており、なんとかこうしたものに頼らない暮らしができないものかと考えますが、それには時代に逆行して「不便を楽しむ」ような風潮でも広まらないと、なかなか難しいのかも知れません。