2015年8月30日日曜日

世界陸上競技大会

 いまから10年近く前、大阪で世界陸上競技大会がありました。陸上競技にあまり関心は無かったのですが、招待券を頂いたこともあり、家内と長居スタジアムまで出かけたことがあります。しかし思ったよりトラックまでの距離が遠く、走る選手が遠くに感じられ、フィールド競技の砲丸投げや棒高跳びになると、双眼鏡でもないと選手の顔もよく分からず、遠くの方で何かやっているといった感じで迫力が全くなく、いささかガッカリして帰ってきたことを覚えています。ただ、競技を終えた選手達が観戦のため間近の空席に座りに来るため、有名な選手をすぐ隣で見ることができたのはよかったですが。
 ところで先日、何気なくテレビをつけると北京の世界陸上競技大会をやっていました。丁度砲丸投げをやっていましたが、あまりなじみのない競技も選手の真剣な顔がアップされ、投てき距離、順位などがすぐに分かると結構面白く、つい引き込まれて見ていましたが、そのうちに他の競技、とくにトラックの7~8名による真剣勝負が始まると、もうとにかく面白く、毎晩のようにテレビで観戦するようになりました。特に「陸上の華」といわれる100m、200m走には日本選手が男女4人も出場し、ワクワクした思いにさせられました。
 それにしてもボルトを始めとする短距離選手のあの筋肉、スゴイですね。画面にアップされるその筋肉姿は男女ともすごい迫力、美しさで、身体を見ただけで日本選手の劣勢が分かる気がしました。しかし中距離、長距離になるとその筋肉がだんだんと削ぎ落とされ、日本人選手でもあまり見劣りしなくなります。それと短距離選手がほとんど黒人であるのに対し、中距離、長距離になると白色、黄色系が増えてくるのが面白く、筋肉の付き方に人種の違いがあるのかと不思議に感じます。
 私たちの身体の筋肉には「赤筋」と「白筋」の二種類があるそうです。赤筋は血液が運ぶ酸素で脂肪を燃焼させる「有酸素運動」により働く筋肉で、血の赤い色をしています。収縮速度が遅く「遅筋」とも呼ばれます。一方、白筋は酸素がいらない「無酸素運動」で働く筋肉で、グリコーゲンという糖質をエネルギー源にしています。収縮速度が速く「速筋」とも呼ばれます。長距離、マラソンの選手は息をしながら長距離を走り続ける必要があり、赤筋が発達しています。一方、短距離選手は100m、200mをほとんど息をしないで走り、筋肉は超高速で伸び縮みする必要から白筋が発達しています。マグロは大海を長時間泳ぎ続けることから酸素を運ぶ血液が大量に必要で赤く、脂肪を燃焼させることから脂がよくのっています。一方、ヒラメは普段は海底でジッとしていて、エサが来たときだけパッと瞬間的に行動することから血液による酸素はいらず、だから身は白く、脂分も少なくて味が淡白です(見た目はマグロが短距離選手、ヒラメが長距離選手に見えますが)。砲丸投げ、ハンマー投げの選手も瞬発力が求められることから、白筋が発達しています。しかし彼らに短距離が走れるようにも見えないことから、同じ白筋といっても使う筋肉が違うのでしょう。そういえば昔、スピードスケートの橋本聖子選手が夏に筋肉を鍛えるため、自転車競技にチャレンジしたことがあります。しかし自転車とスケートでは使う筋肉が違うということで、あまり効果がなかったようです。日本の短距離選手も筋肉を鍛えるため、いろいろウエイトトレーニングをしているようですが、そうして鍛える筋肉と走る筋肉とはやはり違うのかもしれません。そうでなかったら短距離にもっと白色、黄色の選手が増えてもいいはずです。
ところで筋肉というのは鍛えれば何歳になっても増やすことができるそうです。逆に使わないとどんどん減少し、疲れやすく、怪我をしやすくなると云います。しかも加齢とともに筋力の低下はスピードアップするので、高齢者がちょっとしたことで安静にしたり寝込むと、かえって筋力低下から歩けなくなり、「寝たきり」になりかねないと云います。加齢に伴い大きく萎縮するのは白筋です。瞬発力を必要としないからで、老化対策としては白筋(速筋)を増やすことが重要と云います。白筋を増やすにはグッと瞬間的に力を使うダンベルの上げ下げや、腕立て伏せなどが有効で、短時間でよいので毎日継続して鍛えることが大切です。寝たきりにならないためには赤筋(遅筋)を鍛えることも重要で、こちらはウォーキングなどの有酸素運動が有効です。

南雲吉則;空腹が生き方を教えてくれる、サンマーク出版(2013)
周東 寛;100歳まで寝たきりにならないための健康法、中経出版(2013)

2015年8月19日水曜日

ローソクづくり(つづき)

 前回、天ぷら廃油を使ってローソクを作ってみましたが、意に反して暗くてほとんどモノが見えず、キャンドルライフを楽しむどころでないことが分かりました。そして原因として芯に使ったタコ糸が細く、それが灯火を小さくし、ローソクを暗くしたのだろうと考えました。そこで前回より2倍ほど太いタコ糸を使って作り直し、市販の類似のローソクと明るさを比較してみました。タコ糸の太さはほとんど同じです。

天ぷら廃油(左)と市販(右)のローソク
ローソクの傍らに本を置き、まず作り直したローソクに点火してみました。しかしやはり前回と変わらないほど暗く、本を読むことができません(写真には本も写っていません)。次に市販のローソクに同様に点火してみました。するとかなり明るく、本もかろうじて読むことができます。この比較から暗い原因がはっきりしました。ローソクの芯の太さというより、天ぷら廃油のローソクはぐい飲みチョコに流し込んで作ったのですが、流し込むときあふれてはまずいので、チョコの9割程度の高さにまでしか廃油を流し込んでいません。ということはローソクの灯火の周りにチョコの壁ができ、それが灯火をさえぎってローソクの足元を暗くしていたのです。ちなみにローソクを持ち上げると本はますます暗くなり、一方、市販のローソクは持ち上げると本がさらに明るくなりました。

天ぷら廃油のローソク
今回の実験から、ローソクを容器に流し込んで作る場合は、容器は光を通すガラス製のものであること、足元を明るくするにはローソクは細く、背の高いものが良いということが分かりました。一般にローソクは細長いですが、やはりそうした理由があるのです。どんなこともやってみて理解できるものです。

市販のローソク
ところで前回作ったローソクは、お盆で帰ってきた長男家族が花火をするというので、その火種に使っていましたが、花火のなかの一つが燃えたままローソクの上に落ちました。いずれ消えるだろうとそのまま放置していたのですが、そのうちに熱でローソクが溶け液状化してしまいました。しばらくするとまた固まったのですが、廃油凝固剤で固まったように見えても、少し熱が加わると簡単に再溶融するようです。時代劇を見ると昔は行燈の中の火皿に菜種油とか魚油を入れ、そこに灯芯を浸して点火していますが、天ぷら廃油のローソクはこの行燈の油に毛が生えたようなものともいえます。ちなみに江戸時代はロウを使ったローソクは非常に高価で、照明には使えなかったといいます。そこで行燈で油を燃やしたわけですが、その油も菜種油はかなり高価で、一般庶民は臭いやススのでる魚油(イワシ油)を使ったといいます。しかしその魚油すら高価で、油売りは量った量の最後の一滴まで油さしに入れることが求められ、それに時間がかかるため世間話などで間を持たせる必要があり、これが一見仕事を怠けているように見えることから、「油を売る」という言葉が生まれたといいます。


2015年8月12日水曜日

ゴボウ堀り

 家内からゴボウ掘りを手伝って欲しいといわれ、早朝にそろって上の畑へ出かけました。「エコの環」野菜の販売では、ゴボウはなかなかの人気商品で高く売れることから、家内たちもゴボウに初挑戦し、それが出荷の時期を迎えたからです。ゴボウは掘るのが大変といわれ、だから家内たちは30cmほどの短い品種のゴボウを育てたといいます。そこで私はくわとスコップを、家内は手ぐわとカマをもって出かけました。
手ぐわでゴボウの周りの土を取り除く

 ゴボウは里芋のように大きな葉っぱを付けていて、それが掘る作業の邪魔になるので、まず葉っぱをカマで取り除きました。そして手ぐわでゴボウの周りを削ると順調にゴボウが表れ始めたので、私も手ぐわを取ってきて掘り始めたのですが、すぐにカチカチの土にぶち当たり、作業が全然進まなくなりました。まるで石のように固く水も通さない感じの土で、持って行ったくわ、スコップでもなかなか歯が立ちません。家内たちがゴボウの種をまくとき畝の下を掘り起こさず、そのまま畝にまいたため、畝の下の土が固くこのようなことになったと思われます。それにしてもこんな固い所をよく成長したものだとつくづく感心したのですが、それに間引きをしていなかったためかゴボウとゴボウの間隔が狭く、掘りづらい上にエンピツのように細いゴボウが多く、注意しないと折れてしまいます。そこで三つ又という農具を近くの人から借りてきて、ゴボウの横を掘り起こし始めました。しかし三つ又をしても掘り起こすのが大変で、土は細かくならず5~10cm大の塊に崩れるだけで、挙句は掘り起こす際の力で三つ又が柄から抜けてしまい、私の手のひらはまめがつぶれてしまいました。
カチカチの土

 散々苦労してそれでもなんとか大小20本ほどのゴボウを掘り出しました。そしてその中の比較的見栄えの良いものを持って家内は売りに出かけました。後で聞くと2~3cm径のもの6本を300円で売ったといいます。「エー、1本たったの50円か」と絶句し、見栄えは悪くてもあんな土の中で育ったゴボウは、生命力いっぱいに違いないと思ったのですが、買う人にすれば私たちの苦労やゴボウの素性は分かりません。ましてスーパーではもっと長く立派なものが、2本100円で売られていると聞くと、改めて農業経営の難しさを思い知った感じです。
 いずれにしても次にゴボウを育てるときは、畝下の土を20~30cmは掘り起こし、間引きをしっかりしようと、家内と話し合った次第です。
掘り出したゴボウ

2015年8月2日日曜日

ローソクづくり

 今年の夏は例年になく身体が重く感じられ、特に昼過ぎは何もする気にならず、先月74歳になったこともあり、「やはり年なのか」と少し寂しく感じていましたが、会う人会う人がみな一様に、「最近のこの暑さ、どうなっているの? たまらないヨ」というのを聞くにつけ、年齢だけでなく猛暑の所為でもあることが分かり、気を取り直しています。
 いま国連では、気温の上昇を産業革命前に比べ2℃未満に抑えようと、今年の年末にパリで開かれるCOP21に向け準備が進められています。そのためにはCO2の累積排出量を3兆トンに抑える必要があるそうですが、いまのままでは30年以内にこの枠を突破しかねず、2℃未満といっても達成することがきわめて厳しいことが分かります。いま暑い暑いといっても、産業革命前に比べ0.85℃高くなったにすぎず、これがさらに1.15℃上昇して2℃ですから、いかに交渉が難航しようと2℃未満達成にむけ頑張らないと、私たちは30年を待たずして「酷暑」でゆで上がり、異常気象で水没しかねない状態に追い込まれかねないのです。私自身は「停電」を導入するくらいの荒療治をしないと間に合わないのではと思っていますが、いきなり停電といっても難しいので、これからは「便利な生活を求める」のでなく、「不便な生活をエンジョイ」するようなことを、みなでいろいろ考えていく必要があるのではと思っています。”ピンと活き生き”宮津ライフの第3回抽選会(対象期間;7~9月)では、「家でライトダウン(照明オフ)デーを設け、キャンドル(ろうそく)生活を楽しんでいる」といった、いささか先走った項目を敢えて設け、廃食油を使った「エコキャンドル」の作り方を添付しましたが、実際にそうした生活がどのようなものであるか体験するため、我が家の廃食油を使ってエコキャンドルを作ってみました。
廃食油のろ過

 まず①廃食油を乾燥したコーヒーの出し殻でろ過します。これはススや臭いを抑えるためで、約80mlの油を濾すのに1時間ほどかかりました。次に②この80mlの油を85℃ほどに加熱し、そこにロ-ソクのロウ8g、廃油凝固剤4g(指定量の1.5倍)を投入し、ゆっくり混ぜながら溶かします。そして③サラサラになったら空き容器に注ぎ、そこにタコ糸を垂らします。容器に注ぐとき細かく削ったクレヨンを混ぜると色が付けられ、少し冷めた時点でアロマオイルを数滴たらすと香りが楽しめるそうですが、今回はどちらも実施しませんでした。ところで今回の実験は、以前に新聞に載っていた記事を参考に実施しましたが、実験をする前、なぜロ-ソクのロウが必要なのかがよく分かりませんでした。多分無くてもロ-ソクはできると思います。しかし凝固剤だけでは十分な固さが得られないため、固さを得るのに融点の高いロウを加えるのだと思います。

廃食油と溶かしたローソク、凝固剤

 作ったロ-ソクで夜、実際にライトダウンを実施してみました。しかし正直なところ暗くて字は読めず、食事も何がどこにあるのか手さぐり状態で、キャンドルディナーどころではありませんでした。また、顔を写してもらおうとしたのですが、私のカメラでは暗くて焦点が合わせられず、写真も撮ることが出来ませんでした。これでは「不便な生活をエンジョイする」といっても不便すぎて、エンジョイどころではないとガックリきたのですが、しかしそのときタコ糸の細いのに気が付きました。タコ糸をもっと太くすれば油の燃焼量が増え、きっともっと明るくなるはずです。そう考えるとまた急に元気が出て、再チャレンジしてみようと考えています。

暗すぎるキャンドルライト