2016年9月19日月曜日

タネ取り

 この自然界には異なる種の間では生殖できない、「種の壁」というのがあります。しかしいまのバイオテクノロジーは簡単にこの壁を破り、自然界では決して交じり合わない品種同士から、全く新しい品種を作り出すことができます。そして多収穫で成長が早いとか、甘くてやわらかいといった生産者の都合や、消費者の嗜好に合わせた品種がドンドン作られています。
熟成したトマト


 いまの野菜がまるで工業製品のようにサイズが揃い、収穫も一度にできて、早く次の作付けに移ることができるのは、まさにこうした技術に負っています。しかしこうした野菜は自ら次世代のタネを残すことができず、一代限りのタネ(F1)であるため、タネは毎年種子会社から買わなければなりません。つまりいまの農業は完全に種子会社に支配されていて、市場に出回っている野菜もほとんどが採種のできない(生命の継続がない)野菜ばかりで、果たしてこうした野菜を食べ続けて私たちの身体は大丈夫なのだろうか、そんな疑問からここ数年、ナス、トマト、キュウリ、いんげんなどの固定種のタネ(味や形が固定された雑種化してないタネ)を買い求め、その野菜からタネを取り続けることで、「エコの環」野菜固有のタネづくりを目指してきました。しかしいざ野菜が育つと、その出荷・販売に気を取られ、うっかりタネ取り用のよくできた野菜を残すことを忘れ、タネ取りができないまま過ごしてきました。
タネのもみ出し

 そんなときトマトの茎に一つ大きく成長したのを見つけ、それを熟成させてタネを取ることにしました。トマトは熟成しすぎたのか一部腐りかけていましたが、タネの入っていた袋に書いてある採種法にのっとり、早速タネ取りにチャレンジしました。


 まず器にタネをもみ出します。大きな割にタネが少なく少々がっかりでしたが、そのまま放置すると発酵が始まるので、その状態で2~3日保持します。その後に水洗いしてタネを新聞紙に広げ、太陽光で乾燥すると完了ですが、タネ取りの後は曇天や雨の日が続き、太陽光での乾燥は十分に出来ていません。ただ、タネ取りは思っていた以上に簡単で、これなら来年からも継続して出来そうです。いまはこのタネによるトマト作りが楽しみです。
採取したタネ



2016年9月8日木曜日

獣害事件(つづき)

 今年のお盆はおばあさん(家内の母)の初盆ということで、遠方の親戚も集まり、久々ににぎやかなお盆となりました。そのとき家内が「エコの環」野菜を持って行き、それで料理を作って皆に食べてもらったのですが、いつも「玉ねぎは淡路産に限る」といっていた義兄が突然、「この玉ねぎ、うまいナ-」と大きな声でいいます。家内が「私たちが作ったものだ」というと、「ヘー」とびっくりしていました。そこでお盆明けに玉ねぎのほか、数種類の「エコの環」野菜を送ってあげると、「ナスが無茶苦茶おいしかったワー。また送ってほしい」とうれしい返事をしてきてくれました。

 こんな声を聞くと獣害で凹んでいた気持ちもすっかり癒え、また何かを育てようという気持ちになるから不思議です。早速、荒らされた畝をはじめ他の畝に、いんげん、葉大根、レタス、ほうれん草などの種をまきましたが、するとそれら野菜の成長が、新たなわくわくした期待感となって、待ち遠しく感じられました。

 次に獣が通ったと思われる鉄筋防御柵の下の穴の部分には、トタンを内側、外側の両側に置き、それを10mmφの鉄筋を打ち込んで両側からガッチリ固定しました。中央部のわずかに残る凹み部分にも鉄筋を打ち込み、潜れないようにしました。対策にはかなりの執念がこもっており、サル以外は大丈夫ではと思っています。

 ブログをここまで書き終えたとき、家内が野菜の販売から帰ってきました。そして2軒の家から前回売ったキュウリに対し、「ムッチャクチャおいしかった」と全く同じ表現での感想があったと、うれしそうに報告してくれました。特に1軒の家では「一週間置いてもシャキシャキ感が変わらず、本当においしかった」といわれたそうです。家内も最近の私の口癖に倣い、「ミネラルが多いからだと思います」と応えておいたそうですが、実際、長持ちしたりおいしいのは、ミネラル分の影響が大きいと思います。

 今夏もキュウリ、ピーマンのガチンコが多く、販売では正直、随分悩み苦しみましたが、しかしそうしたうれしい便りは、そんな悩み・苦しみを一瞬に吹き飛ばしてくれるから愉快です。