2022年10月26日水曜日

へどろから見た持続可能な世界ー温暖化に及ぼす農業の影響

 パキスタンでは今夏、例年の8倍強もの雨が降り、国土の1/3が水没したといわれます。海抜が低く平地が広がっているため、排水したくても排水する場所がなく、未だに雨水が溜まったままの状態が続いているそうです。こうした大規模な浸水被害は他の東南アジア、南米諸国でも起きています。日本も例外ではなく、最近は「線状降水帯」という聞きなれない現象が頻発するようになり、浸水、土砂崩れなどがあちこちで起きるようになっています。


こうした異常気象には温暖化の影響が大きいとされ、化石燃料の削減、再生可能エネルギーへの転換が官民挙げて進められていますが、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、なかなか思うようにことは進まず、原子力依存にまた拍車がかかりそうです。

 

ところで温暖化ガスの発生に、農業が大きく関わっていることをご存じでしょうか? 実は人類が農業を始める前は、土壌中に2兆トンもの炭素が貯蔵されていたそうです。草木が生え、成長し、枯死することを繰り返すなかで、空気中の炭素が土壌中に蓄えられていったのです。つまり温暖化の逆の現象です。しかし人類が農業を始め、土地を耕すようになると、土壌中の炭素は酸化され、大気中に放出されるようになり、これまでに5,000億トンもの炭素が土壌中から失われてしまったそうです。この量は人類がこれまでに燃やした化石燃料(温暖化ガスの主要発生源)の炭素量2,500億トンの2倍、はるかに多い量なのです。


ゼオライトによる生ごみの発酵分解では、写真(上)に示すような細かく分解した部分と、(下)に示すような分解されづらい食物繊維(セルロースという炭水化物)の多い部分に分かれます。私たちはこの食物繊維の多い部分を元肥として大切に使っていますが、これは実は前述の炭素を土壌中に戻す、温暖化対策につながる行為でもあります。ただし作物を育てるごとに耕したのでは、いずれこの食物繊維も酸化され、炭素を大気中に放出することになります。いま世界では不耕起栽培が注目されていますが、私たちも畑を耕さず、炭素を土壌中に留めるようにすることで、温暖化対策に貢献する農業を志向せざるを得ないところにきているといえます。

細かく分解した部分


分解しづらい部分


2022年10月7日金曜日

へどろから見た持続可能な世界ーライオンに学ぶ

 アフリカの大草原に棲む野生のライオンは、獲物を捕らえて食べ終えると、8日間ほど絶食するそうです。日本のある動物園では飼っているライオンが短命で困っていたとき、野生のライオンの習性に倣い、餌を与えたら8日間ほど絶食させることを繰り返してみたそうです。するとライオンの寿命が大変延びたといいます。

 私たちは毎日三度、空腹を感じなくても決まったように食事をします。しかしいまの高カロリーな食事では、それは特に中高年にとって食べすぎになるのだそうです。過食はメタボにつながるだけでなく、腸の消化活動がうまくいかず、腸内で腐敗が起き、悪玉細菌を増やしてしまうのだそうです。近年、腸は単なる消化器官だけでなく、私たちの免疫の80%をつかさどる強力な免疫器官であることがわかってきました。腸の不調は免疫機能の不活性化を招き、慢性病の引き金になるのです。ライオンに倣う必要はありませんが、食事を控えることは非常に大切なようです


 野生のライオンはまた、肉食動物を襲わないし、万一けんかをして殺しても肉食動物は絶対に食べないそうです。ヒョウ、チータ、トラといった他の肉食動物も、草食動物しか襲わないし食べないそうです。そして食べるときはまず内臓の中の消化しかかった草から食べ、その後に肉を食べるそうです。腸内で消化された草は発酵していておいしく、しかも酵素や食物繊維が多いからで、肉食動物といっても実は草食にきわめて近いのだそうです。

獲物を襲うライオン

 ライオンが獲物から摂取する酵素とは、私たちが生きていくうえで必要な体内の様々な化学反応(消化、組織の再生、解毒、排せつ、エネルギーの産生、免疫、運動、睡眠、思考など)(代謝と呼ぶ)を効率よく進めてくれるたんぱく質で、体内で作られます。しかしその一日の生産量は決まっていて、消化に酵素を使いすぎると他の代謝にまわす酵素が不足し、身体に負担がかかって病気を招きます。だから食事を控えることは健康で長生きする上で極めて大切なのです。また、酵素を食べ物から補給することも大切で、その一例はエリザベス女王も行っていた野菜、果物から摂取するヴィーガン食で、欧米のセレブは多くが行っているようです


*鶴見隆史;3days 断食、評言社(2021)