2021年10月12日火曜日

へどろから見た持続可能な世界ープラスティックごみ

  ある雑誌で下の写真を見たとき、モダンアートの作品の一つかと思いました。しかしそれがプラスティックごみを誤飲した海鳥の開腹写真であると知り、愕然としました。お腹が空いて間違ってプラスティックごみを食べ、しかし消化されないので空腹感は満たされず、また間違ってプラスティックごみを食べる。そうしたことをお腹がいっぱいになるまで繰り返し、苦しみながら餓死したことでしょう。

プラスティックごみを誤飲した海鳥

 私たちはプラスティックごみの再生利用を願い、リサイクルに一生懸命協力しています。しかし食品や油で汚れたプラスティックごみの再利用は難しく、70%は燃料に利用するか、単純に焼却して温暖化ガスを発生させているのが実情です。しかもポイ捨て、不法投棄、処分場からの流出などで海に流れ込む量は世界全体で年間800万トンにもなり、2050年には魚と同じ量のプラスティックごみが海を漂うことになるそうです。海の生き物たちの誤飲被害はますます進むことになるのです。

 さらに厄介なのは、プラスティックごみが太陽の熱や紫外線で脆くなり、波の力などで5mm以下に砕かれ、「マイクロプラスチック」になることです。それは小魚が餌にする動物プランクトンに近い大きさで、マイクロプラスチックを食べた小魚を大型の魚が食べ、最終的に私たちの口に入ることになるからです。

 プラスチック自体は毒ではなく、マイクロプラスチックを摂取して健康被害が出たという報告は、いまのところないそうです。しかし問題なのはマイクロプラスチックが海の汚れを吸着することです。例えば日本で生産、使用が禁止されたDDTやポリ塩化ビフェニル、あるいはダイオキシンや放射性物質などが微量とはいえ海水に溶けています。DDTの場合、太平洋の表層に0.00014㎍/kgほどが含まれるそうです。そして太平洋の動物プランクトンには1.7㎍/kg(1万倍)、イワシには43㎍/kg(30万倍)、スジイルカには5,200㎍/kg(3,700万倍)が含まれ、食物連鎖によって生物濃縮したものを、私たちが体内に取り込む危険性があるのです。実際、胎児のへその緒からはこうした物質が検出されるそうです。

  私たちは「エコの環」野菜の袋を回収し、その再利用を進めてきました。コロナ禍で感染拡大を心配し、一時、回収を控えましたが、コロナ禍は飛沫感染が主体であることが分かったいま、熱を通して食べる野菜に関しては野菜袋の再利用は可能と考え、袋の回収を再開したいと考えています。よろしくご理解、ご協力のほどお願いします。