2015年1月31日土曜日

Facebookページの公開

 昨年下半期から京都府のソーシャル・ビジネスプログラムの支援を受け、「エコの環」事業の自立をめざし、その拡大に努めています。その一環として始めた京都府との協働事業「ちーたび」を広く宣伝したり、また、「エコの環」野菜の販路を拡大するのに、やはりフェイスブックの力が必要かとフェイスブックページを公開しました。
 実はフェイスブックは数年前、長男が自分の家族の状況を伝えるのに利用し始めたとき、わが家も個人アカウントを開いたのですが、続々と入ってくる「この人知り合いではありませんか?」というメール案内がうっとうしく、以後フェイスブックからのメールはすべて消去し、フェイスブックも開いたことがなかったのでした。私も友達は多い方が良いとは思いますが、メール案内された人がたとえ知っている人であったとしても、あえてその人と友達関係になり、その人の近況を知りたいとまでは思いませんし、私自身もNPO活動の内容ならともかく、個人の近況を人に伝えたいとは思わなかったからです。しかし多くの店やNPOがその宣伝にフェイスブックを利用しているのを知るにつけ、やはりフェイスブックで「ブルーシー阿蘇」の活動を伝えていくことも大切かと考えるに至りました。
フェイスブックに企業や団体の情報発信用の「ページアカウント」があるのを知り、今年の正月、長男家族が帰ってきたのを幸い、長男とページアカウントの作成にかかりました。しかし作業を進めていくとまず基本情報の入力が求められ、その中にどういったことを入力するのか分からないことがあったり、入力しても受け付けられなかったりして、やはり手引きの本がないとダメかと、正月明け早々に本屋に出かけ、「かんたん・・・・」という本を買ってきました。しかしその本を見ても説明が不十分で、基本情報の入力にはずい分てこずりました。さらに作業を進めていくと本には書いてないことがいろいろ多く発生し、散々苦労させられました。たとえば会社の「大事な出来事」では、タイトルや日時、詳細、写真を入力後「保存する」を押すと、ボタンの横で小さくチカチカ光るものが走るのですが、ときにどういうわけかチカチカしないときがあり、それに気づかずどんどん作業を進め、翌日ページを開くと前日入力したはずの画面が全然保存されておらず、パニックになることが何度もありました。また保存されるときもチカチカ光って入力した画面にすぐ切り替わるときと、チカチカしても旧画面のままのときがあり、そのとき何度「保存する」を押しても切り替わらないときは、どうしてよいか分からず頭に来ることも再々でした(もっともその後、そうしたときは一度フェイスブックの画面を閉じ、新たに開けば新画面に切り替わっていることを知りましたが)。また、一度登録した何枚かの写真の一つを除去しようとしてもそれが不可能であったり、本には記載されていないことで散々苦労し、「何がかんたん・・・・か」と何度も本に当り散らしたりしました。そういえばいまから15~16年前、はじめて電子メールを利用しようとした時もなかなかうまくいかず、娘から「誰もが簡単に利用し始めているのに、何をそんなにモタモタしているの?」と笑われたり、ブログを開設したときも散々苦労したことを思うと、何を始めるにも不器用にできているようです。とはいえ何とかフェイスブックページを公開しましたので、一度覗いてみて下さい。
https://www.facebook.com/bluesea.aso


2015年1月23日金曜日

地方の時代

 前回「里山自然主義」という本の内容に触れました。その本を買ったとき、横に積んであった「地方消滅」というショッキングなタイトルの本も目に留まり、同時に買って正月休みに続けて読んでみました。岩手県知事、総務大臣を歴任され、現在「日本創生会議」の座長である増田寛也氏が書かれた本で、生産年齢人口(つづき)でも触れましたが、昨年5月頃にマスコミで大きく取り上げられた日本創生会議の試算内容を記した本です。
 本によるといま日本では、出生率の高い地方から日本一出生率の低い東京(1.13と際立って低い)への人口の一極集中が進み、それにより人口の再生産を担う「20~39歳の若年女性」の流出が進み、このままではまるで宇宙空間で多くの星がブラックホールに吸い寄せられて消滅していくように、日本の人口も東京に吸い寄せられて人口減少が加速化する恐れがあると云います。日本のこうした「極点社会」化(日本全体の人口が大都市圏に凝集する現象)は、下図からも分かるように先進諸外国の中でも際立っていて、そんな中で直下型地震でも起きたらまさに日本は壊滅してしまう訳で、増田氏は地方の中核都市に「ダム機能」を持たせ、人口の流出をそこで食い止め、その上で大都市から若者を「呼び戻す機能」、「呼び込む機能」の強化を図るべきだと提案されています。
 
私の住む宮津市も人口の減少に歯止めがかからず、市といいながら現在は2万人を切る有様です。私の組でも私が引っ越してきたころは13軒あり、組長を引き受けるのは10年に一度くらいの頻度でしたが、それが知らぬ間に歯が抜けるように欠けていき、今では7軒しかありません。しかも組長の定年は70歳なので(私は一昨年71歳で引き受けましたが)、いまは組長になる資格者は3人しかおらず、それもあと数年で1人になってしまいます。そこで今年から隣の組と合併することになりましたが、しかしそれもいつまで持つか分かりません。この間に地元では国鉄が第三セクターのKTR(北近畿タンゴ鉄道)に変わり、診療所が無くなり、日通・信用金庫・農協の支店が無くなり、商店街もほとんどが店を閉めてしまいました。つまり車が運転できれば良いのですが、そうでないと今でも「生活難民」に陥る危険性があり、人口問題は切実といえます。
 一方、宮津市でも「その美しい自然に引かれた」といって、東京や関西圏から移り住んで来られた方々を結構見かけます。また、大学を出て企業に勤めた後、Uターンして帰ってこられた方たちも結構います。あるNPO法人の調査によるとここ数年、どの企業も欲しがるような優秀な人材が平気で会社を辞め、地方に移り住む現象がアチコチで起き始めていると云います。また、起業を考える若者の5人に1人が農業や漁業に挑戦したいと考えていて、物質的豊かさに満足しない若者が増えてきているのだそうです。案外これからは「地方の時代」なのかも知れません。私たち地方に住む者が魅力ある生き方・暮らし方を示せれば、地方に人を「呼び戻す」、「呼び込む」時代になったのかも知れません。「エコの環」づくり、「ピンと活き生き宮津ライフ」にやりがいが出てきました。

地方消滅;増田寛也、中央公論新社、2014




 

2015年1月10日土曜日

里山資本主義

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 正月休みで帰ってきた長男がスマホである写真を見せてくれました。そこには食事をする男性が写っていました。長男によると昨年出張で東京のホテルに泊まったとき、バイキング形式の朝食に行くと中国人観光客で一杯だったそうです。しかし彼らのマナーがあまりにもひどく、頭にきてある男性の食事中の写真をこれ見よがしに正面から撮り、自分はコーヒーだけ持って部屋に引き返したと云います。云われてみれば写真の男性は山盛りの皿に口を付けて食べています。長男が語るマナーの悪さに思わず私たちも顔をしかめましたが、しかし話しを聞きながら私自身は1970年頃のある新聞記事を思い出していました。当時、日本は海外旅行ブームが始まったころで、海外に出かけた多くの女性がフランス、イタリアなどの有名ブランド店に押しかけて買いあさり、ある店でそのマナーの悪さに腹を立てた店員が品物を床に投げると、それに女性たちがワッと群がったという記事です。「衣食足りて礼節を知る」といいますが、当時の日本人はまだみな「ウサギ小屋」に住んでいて、礼節をわきまえるだけのゆとりがなかったのだと思います。そんな私たちにいまの中国人を笑う資格はないわけで、むしろ中国人が礼節をわきまえるようになるころには、地球上のエネルギー、資源が無くなってしまっているのではないか、それが心配されます。いま地球上には70億の人間が住んでいて、みなが大量生産、大量消費のアメリカ型生活を望んでいます。しかし全員がアメリカ人並みの生活をすると「地球が5個必要」と云われ、地球資源の枯渇は決して遠い将来の話しではなく、「キナ臭い」問題の発生が心配されるからです。だから私たち先進国と云われる国ほど持続する社会を率先して模索し、始めていく必要がありますが、昨年の大みそか、たまたま立ち寄った書店で平積みされた書籍の中に、「里山資本主義」という本が目に留まりました。手に取って長文の「はじめに」を読むとなかなか面白く、早速購入して正月休みに読んでみました。
 本のタイトル「里山資本主義」という言葉ですが、いま先進国から後進国まで、世界がドップリ浸かっている「アメリカ型資本主義」(エネルギー、資源をじゃんじゃん使って物を大量に生産し、それを大量に消費するマッチョでやくざな経済)に対し、田舎でいままで価値がないと見捨てられてきた資源に新たな価値を見出いだしたり、あるいは田舎で人間らしい生き方を取り戻そうとしたことで動き始めた、全く新しい「かたぎの経済」を意味しているそうです。そしてこうした経済が日本の過疎地で、そこの高齢者、あるいは都会生活に見切りをつけ移住してきた若者たちにより、じわじわと確実に広がっているというのです。例えば林業で発生する「木くず」、従来は産業廃棄物でしかなかったものをエネルギー源として生かすことで、岡山県真庭市は林業の再生とバイオマスの町として生まれ変わったと云います。同様のことを国家レベルで実施し始めたのがオーストリアで、林業のバイオマスで脱化石燃料、脱原発を強力に進め、EU加盟国最低の失業率、一人当たりの名目GDP世界11位(日本は17位)を実現しているそうです。その他詳しい内容は本に譲りますが、その中で紹介されている広島県庄原市の高齢者福祉施設の取り組み、つまり地域の高齢者が生産する農産物を施設が食材として購入し、そこで出た生ごみは肥料にして高齢農民に還元するという内容は、まさに私たちが行っている「エコの環」そのものであり、その他金銭換算できない価値の増殖として例示されている、高齢者による高齢者の介護、花壇を作る老人会、小学生の通学時の見守り隊、幼稚園・小学校で遊びを教えるおじいさんなどは、まさに”ピンと活き生き”宮津ライフで活発化しようとしている内容です。新年早々、私たちの取り組みが決して間違っていないと励まされた思いで、非常にうれしく感じた次第です。

里山資本主義;藻谷浩介、NHK広島取材班、角川ONEテーマ21、2014