2016年6月19日日曜日

昭和のカレーを作ってみよう

 日本の医療費は年々増加の一途にありますが、2014年度にはついに40兆円の大台を突破してしまいました。40兆円と聞いてもピンと来ないかも知れませんが、1万円札で積み上げると400km、富士山を106個積み上げた高さになりますから驚きです。その医療費の36%は75歳以上の後期高齢者によるものといわれ(一人当たり93万円)、2025年には団塊の世代がこの後期高齢者の仲間入りをすることを考えると、日本の社会保障制度の将来が本当に心配になります。

 
 新聞によると自民党の麻生副総理兼財務大臣が、「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。オイいつまで生きてるつもりだよと思いながら見てました」と例によって過激な発言をし、物議をかもしているそうです。麻生さんとしては高齢者層が抱える1,700兆円を超える個人資産をタンス預金として眠らせず、もっと消費にまわしてほしいとの思いからの発言でしょうが、高齢になれば一番の心配は「健康」、アベノミクスに乗って踊れるわけがありません。麻生さんも75歳の後期高齢者、自らの発言がそっくりそのまま自分に返されることを知るべきでしょう。


医療費の推移
日本の医療費は右図から明らかなように、東京オリンピックが開かれたころ(昭和39年)は1兆円にも届かないレベルでした。しかしオリンピックを契機に生活環境、特に食生活が急激に変化し、それと共に医療費が急速に増え始めたといわれます。肉・牛乳など食事の洋風化の他に、インスタントラーメンをはじめとする加工食品の普及が急速に進み、ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取が著しく不足するようになったのです。その挙句はこれらを補うサプリメントの大流行です。本来、楽しい食事から摂るべき栄養を薬で補うようになっているのです。

 「なにか変ですね」と前回のちーたびで講演をしていただいた青木さんにお話したところ、「いま昭和40年頃の食事のレシピを集めてみたいと考えていたところです」とおっしゃいます。「だったらぜひそのレシピを紹介してください」ということで、「昭和40年頃の味探訪シリーズ」のちーたびを計画することにしました。その第一弾として「まずはカレーを作ってみよう」を
  日  時;7月3日(日)、9:30~14:00
  場  所;吉津地区公民館(宮津市須津)
  参加費;1,200円
  定  員;8名
で実施します。昭和の味を思い出すと同時に、一緒に健康について考えてみませんか。奮ってのご参加をお待ちしています。

2016年6月5日日曜日

マイクロプラスチック

 先日のテレビで、東京湾で捕れたカタクチイワシの8割近くの内臓から、微細なプラスチック片が見つかったと報道していました。
マイクロプラスチック

 実はいまペットボトルやレジ袋など海に流れ出たプラスチック製品が、日光の紫外線に当たって劣化し、波と風により5ミリ以下に細かく砕かれて「マイクロプラスチック」となり、世界の海を汚しているのだそうです。特に日本の近海は中国、インドネシア、フィリピンなどの国から流れ出たごみが海流に乗って集まりやすく、マイクロプラスチックの濃度は世界平均の27倍にもなっているのだそうです。だから日本の近海の魚はエサと間違えて飲み込む頻度も多いと考えられますが、それにしても「8割」とは驚きです。東京湾の釣り人も「いつも天ぷらにして食べているのに」とびっくりしていました。
 
 今回、国内で初めて魚の体内からマイクロプラスチックを見つけた東京農工大の教授によると、プラスチックを人が食べても排出されるので直接的な影響はないそうです。しかし微細なプラスチックは有害な化学物質を吸着して最大100万倍にも濃縮する性質があり、実際にマイクロプラスチックを食べた海鳥の脂肪や肝臓から、食べた量に比例してPCBという、かつてカネミ油症事件を引き起こし、その後製造が禁止された有害物質が見つかっており、魚でも有害物質の汚染が心配されるのだそうです。
 
 これまで魚への化学的有害物質の汚染は食物連鎖によって起きるので、マグロのような大型の魚だけに注意すればよいと思っていました。例えば有害物質DDT(1971年に使用禁止)の場合、太平洋表層水の濃度は1キログラム当たり0.00014マイクログラムだそうです。しかしそれを取り込む動物プランクトンではその濃度は1.7マイクログラム(1万倍)になり、プランクトンを食べるイワシでは43マイクログラム(30万倍)、小魚を食べるイルカでは5,200マイクログラム(370万倍)になるといわれ、まあイワシくらいまでの小魚ならよいだろうと思っていました。それに食べ物は植物にしろ動物にしろ、「一物全体」を頂く方が栄養的バランスが取れており、魚は丸ごと食べられる小魚の方が健康的にもよいといわれるからです。しかし今回の東京農工大の調査では、その小魚ですら危ないことが分かってきました。人類は便利さ・快適さを追い求め過ぎた結果、自らの首を絞めつつあるように感じます。