へどろから見た持続可能な世界ー食物繊維
現代人はビタミン・ミネラル・食物繊維が不足した、「現代型栄養失調」に陥っているといわれます。食事の洋風化や加工食品の増加が原因とされ、国は一日350グラム以上の野菜と、200グラム以上の果物を食べることを推奨しています。しかし男女とも未達の状態が続いています。
私が栄養について学んだのは60数年も前の中学生の時でした。当時は5大栄養素といって炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルが身体にとって必要な栄養素で、食物繊維は栄養素に入っていませんでした。身体が消化できなかった食べ物のカスで、腸の活動を活発にしてオナラの原因になるぐらいの認識で、若い女の先生が恥ずかしそうに教えてくれたことを覚えています。
しかしその後、食物繊維には水に溶ける水溶性と解けない不溶性のものがあり、水溶性の食物繊維はゼリー状になり、食後の血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールやナトリウムを吸着して体外に排出したりして、余計な栄養素の吸収を抑え、しかも膨らんで胃腸内をゆっくり移動するので腹持ちがよく、肥満予防にもなり、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、いわゆる生活習慣病の予防に非常に効果のあることが分かってきました。
一方、水に不溶性の食物繊維は水を吸収して便のカサを増やし、大腸を刺激して排便をスムーズにし、有害物質を体外に排出して腸内をきれいにするので、大腸がんのリスクが減ることも分かってきました。
しかも食物繊維は大腸内のビフィズス菌など善玉細菌のエサになるので、善玉細菌が増えて腸内環境がよくなります。
それまでの栄養素と異なり食物繊維は身体に吸収されることはありませんが、以上の効果が認められ、いまでは「第6の栄養素」に数えられるまでになっています。
生活習慣病の発症予防の観点からは、成人では一日24グラム以上の食物繊維を摂る必要があるそうです。しかし実際の摂取量は平均15.0グラムと慢性的に不足しており、政府は両者の中間的な値、成人男子一日20グラム以上、成人女子一日18グラム以上を当面の目標量に定めています。
食物繊維は野菜、穀類、豆、キノコ、果物、海藻に多く含まれますが、効率よく摂るには一日350グラム以上の摂取量が推奨される野菜を食べるのがよいでしょう。ご飯などと一緒に350グラム以上の野菜を食べると、おおむね一日分の食物繊維が摂れるからです。煮たり茹でたりするとカサが減り、食べやすくなります。
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