2024年10月28日月曜日

へどろから見た持続可能な世界ー温暖化対策

「暑い寒いも彼岸まで」、今年の夏の異常な暑さも、さすがに彼岸を過ぎると少し収まったように感じます。


東京湾のサンゴ礁
 今年の夏は統計を取り始めて以来、昨年と並んで最も暑く、気象庁も「異常気象で温暖化の影響がある」と発表しています。海水温度の上昇によりこれまで九州地域で取れていた魚が、中国、北陸地域で水揚げされるようになったり、東京湾にサンゴが大発生して南方系の色鮮やかな魚が泳ぎまわるなど、温暖化による環境変化が目につくようになってきました。「エコの環」野菜も「大きく育たない」、「歪なものができやすい」、「水が足りないとすぐ枯れたり萎んだりする」など、栽培者の苦労話をよく耳にするようになりました。野菜にも魚と同様に栽培地の北上化が起きるのではと心配しています。 


 ところで農業とは、はびこる雑草の中で人間にとって望ましい作物を育てる営みといえます。その対策として人類は土を耕して雑草の成長を抑え、目的とする作物の成長を促してきました。しかし耕して土の中に空気を入れると、土の中に蓄えられた炭素を空気中に放出することになり、農業がこれまでに放出したCO2の量は、化石燃料が放出した量の2倍にもなるといいます。環境に優しいと思われる農業が、実は温室効果ガスの大きな排出源の一つになっているのです。


 4パーミル(0.4%)イニシアティブという運動があります。有機物(炭素の化合物)を土に埋め、地表の土の炭素量を年に0.4%上昇させれば、現在排出されている化石燃料からの炭素量を相殺できるというものです。私たちは生ごみという有機物をたい肥にして土に還していますが、これがどの程度の炭素量を上昇させることになるのか、プランターを使って実験してみました。たい肥作りの際に発生するふるい上を土に混ぜ、10日に1回土を攪拌しながら3か月後の土を分析してみました。その結果は空気を十分に送り込んだにも関わらず、0.73%も炭素量が増加していました。1回きりの実験で、結果をそのまま鵜吞みにはできませんが、「エコの環」野菜の栽培は、温暖化対策になる可能性があるといえそうです。

 

プランター実験








2024年10月2日水曜日

へどろから見た持続可能な世界ー健康寿命

日本は平均寿命で世界一の長寿国を誇っていますが、介護を受けず自立して元気に生活できる健康寿命は、それより10年ほど短かいことを以前にお伝えしました。

先日のテレビ報道によると、いま世界ではこの健康寿命を延ばそうと、賞金レースを含めて熾烈な戦いが繰り広げられているそうです。その背景には世界的に進む高齢化の問題があるようです。


研究には3つの分野があるそうです。その1つは「老化細胞」を取り除くものです。私たちの体内で細胞は常に分裂を繰り返していますが、分裂が止まり活動を停止したのが老化細胞です。年齢と共に体内に蓄積され、それが分泌する炎症性物質はがんや動脈硬化、シワなど、加齢性の疾患や症状の原因になるそうです。

老化細胞

ハダカデバネズミの寿命は40年ほどで、ハツカネズミの23年に比べ異例的に長寿だそうです。これは老化細胞を自動的に消滅させる機能を持っているからで、このハダカデバネズミの機能を老化細胞の除去に応用しようとするのが1つ目の研究です。 


2つ目はビタミンに似た「NMN」という物質を使って老化を遅らせようとする研究です。NMNはもともとあらゆる生物の体内に存在するそうですが、加齢と共にその量が減少し臓器の機能低下につながるため、人為的に補充して臓器の機能を回復させ、老化を抑えようとするものです。マウスに与えると高齢になっても活動が衰えず、アメリカではサプリメントの商品化がすでに進められているそうです。


3つ目は細胞を再活性化させる研究です。6年前に作られたスタートアップ企業が開発した薬を、マウスに移植したヒトの皮膚細胞に投与すると、52歳の皮膚が32歳ほどの皮膚に若返ったそうです。

 

健康寿命を延ばすことは人類の夢です。しかし一方で平均寿命もまた延び、イタチごっこになるような気もします。

健康寿命の長い百寿者を調べると、①認知機能が高い、②心臓・腎臓など循環器系の老化が遅い、③フレイル(歩く機能の衰え)になりにくいという共通点があり、この3つが健康長寿の秘訣だそうです。これらは遺伝というよりほとんど生活習慣に基づくもので、日ごろの食事、運動、そして他人との会話が大切なようです。


1350グラム以上の野菜摂取を生活習慣にしましょう。