へどろから見た持続可能な世界ー栄養学
新型コロナもそうですが、人類はこれまでなんども得体のしれない「はやり病」に苦しめられ、絶滅の危機に瀕してきました。しかしそうした疫病は目に見えない病原菌(微生物)が原因であり、クスリで退治できることをパスツールやコッホが発見し、世の人々に大きな驚きと安心感を与えました。しかしあまりにも衝撃的大発見であったため、その後の西洋医学を「病原菌退治の医学」に向かわせたといいます。
それを痛切に批判したのが、1977年にアメリカで発刊されたマクガバーン・レポートです。当時のアメリカはがんや心臓病、糖尿病、肥満などの生活習慣病を患う人が急増し、いまの日本と同じで膨れ上がる医療費に困っていました。「アメリカは医学が進歩し、その発展に多大なお金もかけているのに、なぜ医療費が減らないのか」と疑問に感じたフォード大統領が、マクガバーン上院議員に命じて作らせた有名なレポートです。
マクガバーン氏らが調査を進めると、“アメリカやヨーロッパなど先進国では、昔は伝染病で亡くなる人は多くいたが生活習慣病は皆無だった”、一方、“アフリカ、アジア、中近東など低開発国では、過去はもとより現在も生活習慣病は少ない”ことが分かりました。そこでこの差は「食生活の差」に違いないと、全世界の人々の食生活と病気・健康についての調査が、詳細かつ徹底的に行われました。そして2年の歳月を費やし、5,000ページにも及ぶ膨大なレポートが作られたのです。
その概要は以下のようなものでした。
・現在のわれわれの食事はかつてのものと異なり、不自然でビタミン、ミネラルの不足が目立つ。
・生活習慣病はこうした食生活が原因の「食原病」で、現代医学(西洋医学)では治らない。
・現代医学は病原菌退治のクスリに偏った医学で、栄養学を軽視している。
・病気を治すのはクスリではなく、身体が本来持つ「修復能力」で、大切なのはそれを高める食べ物の栄養素である。
つまり生活習慣病は腸チフスや結核のような「菌」が原因の病気ではなく、栄養の偏った食生活が原因の病気だと指摘したのです。
以来、アメリカでは栄養学が重視され、特にがん患者の減少に大きな効果を上げたといわれます。マクガバーンレポートが指摘する不自然な食事とは、精白された食品、肉・脂肪過多の食事などです。それを補完するのは野菜・果物であり、アメリカの「がん予防14ヵ条」には「野菜・果物を1日に合計400~800g摂る」と記載されているそうです。
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