2019年9月30日月曜日

レシピ

 9月に入ると、「エコの環」の栽培者から「芋づる」とか「むかご」が出てくるようになりました。そして近所の方からその芋づるで作った佃煮を頂き、それがとても美味しく、2日間で食べきってしまいました。

 そんなことから女性の方なら芋づる、むかごの調理法は当然ご存じだろうと、定期購入者の袋に入れたり、販売に回したりしていました。ところがその後2~3の方から、「芋づるの利用法が分からない」とか、「むかごはどうやって食べたらよいの」といった声が寄せられました。しかし私自身、調理にまったく疎く、たまたま一人の人に「先日、近所の方から芋づるの佃煮を頂き、それがすごく美味しかった」と話すと、「ぜひそのレシピを教えて欲しい」と言われました。

 そこで佃煮を作ってくれた人に恐る恐るレシピを書いてくれるようにお願いしました。すると早速、調理手順を書いた紙を渡してくれたのですが、「芋づるの量は計っておらず、また、調味料のしょう油とかみりん、さとうなどの量もこれまで計ったことがなく、ここに書いた量は大雑把で多すぎるかも知れない」と言いつつ、大さじ何倍といった量を教えてくれました。そして誰かに確認して欲しいと頼まれました。

 そこでそのレシピをすゞ菜の女将に見せ、意見を聞いてみました。すると女将も「調味料は味見しながら入れるので自分も計ったことがなく分からない。ただ、調味料が少ないと傷みやすいのでそれくらいの量でよいのでは」との返事でした。

 そういえば私の家内も生前、私が何かのことでレシピのようなものを尋ねたとき、「量なんて計ったことがないので分からない」との返答で、そのときはずいぶんズボラだなと思っていましたが、しかし考えてみれば毎日毎日、同じような調理をするのに、いちいち材料;何グラム、調味料;スプーン何杯なんてやってはおれない、自分の舌とかこれまでの経験といった勘に頼るのが当たり前で、その方がむしろその人独自の味が作り出されるのであって、逆にレシピというのは全く経験・知識のない人が手引きとして使うもので個性がなく、自分の好みの味が得られるかどうかはわからないということを、今回のことで知りました。

 とはいっても私のような初心者にはやはりレシピは必要であり、むかごについてもインターネットで調理法を調べてみました。すると普通はご飯に混ぜて炊いたりするようですが、「むかごの甘辛煮」というのがあり、実際、自分でもレシピに倣って作ってみるとまあまあのものができ、早速、両者のレシピをパソコンで作り、レシピが欲しいといった人に渡すと同時に、「エコの環」野菜を買ってくれる人たちにも渡してみました。するとほとんどの人がたいそう喜んでくださり、これからはこういったレシピづくりも必要なのだと痛感させられました。自分には少々重荷ですが。



2019年9月11日水曜日

生ごみ処理法(宮津方式)

 先日、生ごみのたい肥化について教えてほしいと、あるご夫婦が訪ねて来られました。”すゞ菜”で食事をしたとき、女将から畑の土つくりに生ごみたい肥がよいことを聞き、詳しい話は私から聞くように言われたとのことでした。

 女将からたい肥作りには発泡スチロールの箱で作った処理箱、土代わりの腐葉土、発酵材のゼオライト、それに虫よけ用の布が必要なことを聞いたといって、発泡スチロールの箱をつなぎ合わせて作った大きな処理箱、14リットル袋入りの腐葉土、20キログラム袋(セメント袋)入りのゼオライト、そして処理箱にかける布として畑で虫よけに使う不織布を携えての訪問でした。私もこれまで多くの人にたい肥作りを教えてきましたが、最初から準備万端で話を聞きに来られたのは今回が初めてで、びっくりしました。

 私たちのたい肥作り(宮津方式)では、上下に蓋のある処理箱を用います。内容物を上方から撹拌するだけでなく、箱を反転させて底方向からも撹拌して、内容物が均質になるようにするためです。そのため発泡スチロール箱を利用して処理箱を作る場合は、二つの箱の底の部分をカットし、その部分をボンドで張り合わせます。そうすると上下に蓋のある処理箱ができ、反転・撹拌が可能になります。しかし今回持って来られた箱は、二つの箱のそれぞれ上部と底部をカットして張り合わせた単なる箱で、反転ができない処理箱になっていました。事務所にある木製の処理箱で反転・撹拌の意味を説明すると、「そーか、なるほど。」と納得されていました。
発泡スチロール箱で作った処理箱

 ゼオライトもコメリなどには見つからなかったためインターネットで探し、送料のことを考えて20キログラム購入したということでした(2年分ぐらいの量)。私たちが1キログラム200円で売っていることを話すと、「なんだ、そーか。」と残念がっておられました。ゼオライトは腐食を促進する化学薬品の様に考えておられたようで、土壌微生物が生息しやすい土(粘土)の一種で、阿蘇海のへどろから合成できることをお話しすると、単なる土であることに驚いておられました。
木製の処理箱

 また、処理箱にかける布も単に虫よけというより、特に冬場は生ごみから出る蒸気が外気にさらされると、内容物の表面、処理箱の側面に凝結してベタベタした状態になりやすいため、布をかけ、蒸気を箱の中にこもらせることで内部温度を高く保ち、乾いた状態を維持しようとするもので、かつては毛布を掛けたりしていたが、いまは使い古したシーツやTシャツなどを使用していると説明すると、大きくうなずいておられました。

 私たちが宮津方式と呼ぶたい肥作りを始めたのは2004年、いまから15年も前のことです。今回、訪ねてこられた人には、準備して持ってこられたものそれぞれに対し、なぜ上下に蓋をもつ処理箱を用いるのか、なぜ土代わりに腐葉土を使うのか、なぜ発酵材にゼオライトを使い、どうやってへどろから作るのか、なぜ箱に布をかけるのか、それぞれの役割、意味をお話ししましたが、今に至るまでにはそれぞれにかなりの変遷、苦労があり、そうしたことが説明する中で一つ一つ思い出され、私にとっても感慨深い機会となりました。