2016年3月19日土曜日

「エコの環」の発表

 ここ1ヵ月弱の間に京都府庁(2/27)、大阪合同庁舎(3/14)、野田川町の知遊館(3/16)の3か所で、「エコの環」について発表する機会がありました。
 京都府庁での発表は、「公共人材」の応募で選ばれた13団体の発表会に参加したものです。大阪合同庁舎の方は、「関西元気な地域づくり発表会」に選ばれた20団体の一つとして参加したものです。後者は最初、全く応募する気持ちはなかったのですが、国交省近畿地方整備局から誘いがあり、参加した次第です。この辺の事情を説明すると昨年11月、国交省近畿地方整備局が募集する「ゆめづくりまちづくり賞」に「エコの環」を応募しました。すると係官2名が運転手付きの車でやって来て、非常に詳しく内容を聞いていきました。そこでかなり期待していたのですが、結果は落選でした。その後、整備局から前述の発表会がある旨の連絡を受けていたのですが、放置しておいたところ前述の係官の一人から、「できたら参加してほしい」との電話があり、やむなく重い腰を上げて大阪まで出かけて行ったというワケです。
知遊館での発表
両発表会では改めて「エコの環」の説明の難しさを感じました。まず、阿蘇海のへどろ→人工ゼオライト→生ごみの発酵→野菜の栽培→野菜の販売・加工というストーリーは、説明するには長すぎます。しかもゼオライトや生ごみを利用するのも、高齢者が関わり健康づくりに役立てようとするのも、それぞれ絶対に欠かせない理由があります。ゼオライトは発酵を促進しやすいからであり、しかも畑に入れると雨・風による肥料の流失を防ぎ、土壌微生物いっぱいの生きた土を作り、無農薬栽培を可能にするからです。生ごみを利用するのは環境にやさしいからだけでなく、生ごみにはカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、亜鉛といったミネラルがいっぱい詰まっており、それが甘くておいしい栄養たっぷりの野菜を作るからです。高齢者が活動に関わるのも、あと数年もすると日本経済は高齢者問題で破たんしかねないからです。どこかの中学校の校長先生が、「女性は2人以上の子供を産むことが何よりも大切」と生徒に話しバッシングされていますが、校長先生も高齢者問題を別の面から深刻に考えているからだと思います。健康問題にしても医療費増大の現状は危機的状況にあり、その根本原因に現代人のミネラル不足が考えられるからです。しかしただでさえ長い話にこうした理由を加え、それを「へどろ」も「ゼオライト」も分からない聴講者に、5分とか8分といった限られた時間で説明しようとすると、頭を混乱させかねないのです。そこで極力、高齢者による野菜づくり・健康づくりという単純な話にして発表したのですが、それでも審査委員長から、「ゼオライトと高齢者とどういう関係があるのですか」といった的外れの質問を受ける有様で、やはりこうした不特定多数の人の前の発表では、「子供を相手にこうした活動をやっています」とか、「自治会の活性化にこうした行事を始めました」といった単純明快な活動で、あとは人の集まった写真を次から次へと見せる方が理解されやすいことを痛感しました。つまりイベントで盛り上がる活動は評価されやすいが、イベント性のない活動はどんなに内容に意味があっても評価されないのです。
京都新聞の記事
最後の知遊館での地域力再生事業に関わる10団体の発表会では、こうした反省を踏まえスライドにちーたびの写真を加えました。そうすると活動が積極的に行われている雰囲気がよく出て、なるほどと納得した次第です。意見交換会では聴講者から、「助成金が切れた後の活動をどうするのか」という厳しい質問が出ました。司会者からブルーシー阿蘇が指名され、「助成金を活用して自立を目指している」と答えましたが、他の2団体は「助成金が無いと活動は厳しい」と答えていました。最後に主催者の講評があり、そこでいきなりブルーシー阿蘇が取り上げられ、「目指すべき画がしっかりできていて、それに向かって着実に活動されている」と高く評価してもらいました。講評者は「へどろ」も「ゼオライト」もある程度分かる地元の方なので、その分こちらの説明が理解しやすかったのかも知れません。いずれにしても褒められたのは初めてのことなので、とてもうれしく思いました。翌日の京都新聞の記事でも、ブルーシー阿蘇の活動が大きく取り上げてもらえました。



 



2016年3月6日日曜日

共生

 先日テレビで、山梨かどこかのある町にイノシシの大群が住み着き、コメをはじめあらゆる農作物を食い荒らすため、全く農業ができないと報道していました。そうかと思うと昨日はまた、神奈川県のある街にサルが出没し、農作物を全部食い荒らすため、市がエアガンを貸し出してサルの追い払い作戦に乗り出したという報道がありました。
私も数年前、生ごみ発酵肥料でコメを育てようと、ある人に栽培をお願いしていたところ、見事にイノシシに襲われ全滅した苦い経験があります。畑でもこれまで何度かシカに襲われ、その都度トタンやネットをかさ上げして対応してきましたが、昨年秋にまたシカに見事なまでに食い荒らされ、無力感を感じるほどのくやしさを味わっただけに、農家の方たちの苦しみがよく理解できます。
 ところで環境問題を論じるとき、よく「共生」という言葉が使われます。つまり自然界では生物の多様性が重要で、多くの生物が共生することで豊かで美しい自然が守られるという考えです。たとえば海の場合、海には山からの土砂や人間社会からの生活排水などが流れ込み、海を汚します。しかしその汚れは海に生息する微生物(プランクトン)が食べて分解し、そのプランクトンを小魚や浜辺の貝やカニなどが食べ、その小魚を大きな魚が食べ、その大きな魚や貝を人間が食べることで海の汚れは除去され、その美しさが保たれています。だから阿蘇海のように護岸を作って砂浜を無くしてしまうと、貝やカニの生息場所が無くなり、生物の多様性が損なわれ、食物連鎖が断ち切られるため海は汚れ、魚も住めなくなってしまうのです。つまり自然の美しさを守るには多くの生き物が共生する必要があるのですが、ただそこにはお互いに「食うか食われるか」のすさまじい戦い(拮抗)があって、ギリギリ共生しているのであって、決して仲良く共生しているわけではないのです。
 私の近所では散歩でちょっと山道に入るとシカやイノシシに遭遇することがあります。もちろんすぐに引き返しますが、このようにイノシシ、サル、シカなどが私たちの住むすぐ近くまで増えてきた理由には、やはり人口の減少が大きいと考えられます。神奈川県の場合でも兼業農家が多く、日中は人、特に男性の姿がないため、そこをサルに狙われたようです。だからサルを徹底的に駆除するのは間違ってはいないと思うのですが、ただ、エアガンによる威嚇だけで果たして賢いサルを駆除できるのか、テレビでは高齢の婦人たちが市役所の人に教えられ、エアガンの試射をしていましたが、それではかえってサルになめられ、逆に襲われたりすることはないのか、非常に心配に思われました。人間の数が減り、そこを自然界の動物に攻め込まれた感じですが、そうした拮抗のない、一方的な状況下での共生の難しさをつくづく思い知らされた感じです。