2013年7月28日日曜日

ジャガイモの栽培(つづき)

従来法
逆さ植え
前回の「ジャガイモの栽培」(5月)では、「逆さ植え」の方が「従来法」よりも発芽が良く、葉の成長も良かったことを紹介しました。その後も葉の成長具合いを観察していたのですが、右の写真からも分かるように、「従来法」には結構虫食いが観察されたのに対し、「逆さ植え」の方には全く虫食いが見当たらず、葉もイキイキと元気よく、本にあったように病害虫に強い、抵抗性の誘導された芽が伸びたせいかも知れません。こうした結果からはジャガイモは、「逆さ植え」の方が良いように判断されました。肝心のジャガイモの出来具合いの方ですが、どちらもビー玉くらいのものから、テニスボール大のものまでが入り混じり、見た目だけでは優劣の判断はできませんでした。ただ、どちらも量的にもサイズ的にも少し出来が悪かったかなと思っていたところ、丁度近所の人が通りかかり、「上出来じゃないですか。今年はどこも不作のようで、我が家もこれに比べたらずっと小粒ばかりで良くなかったですヨ」と云って下さり、ホッと救われる思いでした。早速ビー玉クラスのものを中心に蒸して試食してみましたが、ホッコリとして甘く、味としては上出来のように感じました。
 ところでこの4月から月に1回のペースで開かれる、丹後農業改良普及センター主催の「農業基礎講座」に通っています。野菜づくりに少しでも役立てばと思ってのことです。丁度この7月には根菜類の講義があり、ジャガイモの話しもありました。しかし根菜類と云っても種類が多く、それぞれの特徴についてザッと説明を受けるとそれで時間切れで、特にジャガイモの詳しい話しが聞けた訳でもなく、その点は残念でしたが、ただ、説明図には「従来法」の絵が描いてありました。
 今回、農業を基礎から勉強して感じるのは、最初に数学、化学、物理、生物などの基礎知識を勉強したことからも分かるように、農業には結構理系の、それもかなり高度な知識がいるということです。最近はこれに環境学が加わるかもしれません。第二の人生を送るのに農業を選ぶ人は多いですが、農業はやりようによっては人生を締めくくるにふさわしい、取り組みがいのある選択肢と云えるかもしれません。 



2013年7月23日火曜日

お食事どころ

 いま一緒に「エコの環」づくりに取り組んでいる人が、生ごみ堆肥で作った無農薬・減農薬野菜を食材に、このたびお店で「ランチ」のサービスを始められました(すゞ菜(0772-46-3632)、営業日;水~土のみ、11:30~14:00)。もともと仕出し弁当・お惣菜などを作っておられ、そのときに発生する大量の生ごみ(1日に7~8キログラム)を捨てるのがもったいないと、コンポスターで堆肥作りをされていたのですが、ウジが湧いたり、汚水が出たりして困っておられたとき、私たちが宮津方式の「たいぞう君」を勧めたところ、非常に気に入っていただき、そのとき(2009年)以来のお付き合いです。自家発生の生ごみで奥さんは無農薬野菜、ご主人は減農薬野菜を作っておられ、それらを食材にお弁当、お総菜を作るかたわら、無農薬の「エコの環」野菜の出荷にも協力してもらっています。
 お店が開店のときランチを食べに出かけました。旬の野菜を中心に2種類の献立(1,000円と700円)が用意され、ごはんには無農薬の玄米食もあり、それがとても香ばしく炊けていて、おいしく頂くことができました。塩など調味料にもこだわっておられるようで、まさに地産地消の自然派食堂といった趣です。お店で発生する生ごみを野菜に変え、そっくり献立に利用する仕組みは、私たちがいま地元小学校区で進めつつある「エコの環」を、飲食業という業態でコンパクトに具現化したものであり、環境的には極めて負荷の少ない、また、健康的には身体に非常に優しい循環システムと云えます。私たちもいま野菜の店頭販売だけでなく、仕出し料理屋さんなどと組んで、生ごみを処理する代わりに野菜を引き取ってもらう、バーター関係を築こうとしていますが、その先駆け的な取り組みでもあります。天橋立方面に来られた時にぜひ立ち寄られてはと、紹介させていただきました。


2013年7月10日水曜日

仙人食(つづき)

 前回、青汁一杯で難病の「脊髄小脳変性症」を克服された女性(森美智代氏)の、著書の内容を紹介しました。もう少しその内容を記したいと思います。彼女の青汁からの栄養摂取量は、日本人の摂取基準に照らすと炭水化物と脂質は検出不可、タンパク質は3%で、いわゆる三大栄養素はほとんどゼロ、したがってエネルギーは1%にすぎないと云います。一方、残りの栄養素、ビタミン・ミネラル(食塩)は比較的充足率が高いものの、それでも多くて40~60%に過ぎないと云います。
尿素の再利用(血清タンパク中のN15濃度)

 ところで我々の身体はそのエネルギー源に糖質(炭水化物)を使用します。特に頭脳はブドウ糖を大量に使用するため、朝食をしっかり取ることが一日元気に働くための必須条件と云われます。しかし彼女はその炭水化物の摂取量がゼロなのです。それで頭がボーとしているかというと逆で、非常に「クリア」になり、本などは一度読むと情報がきちんと頭に整理格納されると云います。これは彼女だけの話しでなく、甲田医院で療養していた人たちは一様にそれを感じておられ、少食療法をしていた男子三人が東大に入ったという事例もあるそうです。また、我々の身体はタンパク質を分解吸収した後、代謝産物のアンモニアを尿素にして排泄します。つまり尿素は廃棄物と考えられています。ところがこの尿素が、お腹いっぱい食事をした学生では捨てられるのに対し、タンパク質の少ない食事をした学生とか、甲田医院で少食療法をしている人たちでは再利用され、タンパク質に逆戻りするという実験結果があるそうです(上図)。つまり少食により身体がタンパク質の不足を感じると、腸内細菌が尿素を分解してアンモニアをアミノ酸に変え、それを体内吸収してタンパク質が合成されるというのです。栄養学的にはあり得ない話しだと思います。
 彼女はほとんど栄養を摂っていないにも拘らず、内臓や血液、栄養状態などに異常はなく、ただ、尿検査では「ケトン体」が多いと云います。ケトン体とは体内にエネルギー源の糖質がなかったり、飢餓状態や糖尿病のとき現れる物質で、糖質の代わりに脂肪酸やアミノ酸をエネルギー源に使ったことを示すもので、通常だったら神経症状やこん睡などを引き起こしかねない危険な数値であるにも拘らず、彼女は何の不調も感じないのだそうです。また、慢性肝炎などの治療薬として知られるインターフェロン、もともとは体内で作られる免疫物質だそうですが、いくつかあるタイプの中にウィルスやガンなど腫瘍細胞に対する抑制作用が強いインターフェロンαがあり、これの血中濃度が普通の人は5,000単位くらいであるのに対し、彼女は20,277単位と4倍以上もあり、他の生菜食実行者も彼女に劣らず非常に高いのだそうです。普通は免疫力を高めるには「しっかり食べる」ことが勧められますが、少食の方がかえって免疫力は高まるというのです。こうした話しも現代医学には通じないと思います。
 いまの医学にしろ薬学にしろ、神の領域にまで足を踏み入れかねないレベルにあると我々は信じてきました。しかしそれは極めて狭い分野での突出であって、この世の中にはマイノリティではあっても昔から実施され、守り継がれてきたものの中に、まだまだ我々が知らない隠れた真実がいっぱいあって、そうしたものに謙虚に目を向け、そこから新たな分野を導き出すことが、これからの医学、栄養学には必要ではないか、森さんの本を読むとそんな気持ちにさせられます。

2013年7月1日月曜日

仙人食

森美智代氏
  「食べること、やめました」(森美智代、マキノ出版、2008)という本を読み、非常に強い衝撃を受けました。著者は21歳のとき「脊髄小脳変性症」という過酷な病気にかかった女性で、運動機能をつかさどる小脳や脊髄が委縮する難病を食事療法で見事に克服された方です。医師からは「しだいに歩けなくなり、寝たきりになる。治療法はない」と云われたそうです。余命も5~10年と考えられ、それこそ頭が真っ白になったと云います。しかし彼女は高校生のとき、たまたま甲田光雄という先生から断食や少食糧法が数々の難病を救う話しを聞いていて、ワラにもすがる思いで先生に相談したところ「大丈夫。治る」と云われ、それから彼女の「断食」と「生菜食の超少食療法」が始まったと云います。生菜食とは生野菜や果物、生の玄米粉だけを食べる食事療法です。生菜食を始めたころの1日の摂取エネルギーは約900キロカロリーで、通常の成人女性の1,800~2,000キロカロリーよりかなり低エネルギーであったにも係わらず、体重がどんどん増えるため食事の量を減らし続けるうちに、とうとう1日の食事が青汁一杯(5種類の葉野菜150gをミキサーで粉砕後、ネットで濾したもので60キロカロリー)だけになってしまったそうです。成人女性の基礎代謝量(安静にしていても消費されるエネルギー量で、それを下回る食事は身体を壊し危険と云われる)は1,200キロカロリーほどであり、実にその1/20という信じられないような量で彼女は13年間を生き抜き、しかもまともに歩けず這っていた身体もすっかり良くなり、10kmを走っても大丈夫なほどに回復したと云います。医学検査でも何の異常もなく、握力や骨量はむしろ同年代の女性より勝っているのだそうです。彼女の例は極端にしても、甲田医院の入院患者さん達には1日1,000キロカロリー以下で過ごしている人が多く、それで皆さん難病を克服されていたそうです。
  以上の話しは現代栄養学では全く通じない話しですが、実は彼女の腸内細菌はいつの間にか人間のものから牛のものになっていて、普通は消化できない食物繊維を彼女は分解でき、それをタンパク質や脂肪に合成できるのだそうです。だから青汁一杯でも体重60kgが維持でき、もっとダイエットしたいほどなのだそうです。こういう話しを聞くと現代医学、現代栄養学とは一体何なのだろうかという疑問がわきます。断食を含めた食事が難病を克服するだけの身体を作ってくれるのです。考えてみれば現代医学はまさに対処療法そのものであり、昔のコレラとかチフスといった病原菌退治の頃の思考回路をそのまま引きずっており、もっと自然治癒力というか、本来我々に具わった力を引き出すような医学であるべきではないかと思います。マクガバーンレポートもこの辺りを問題視し、生活習慣病は「食源病」であり、薬では治らないと明言しているのだと思います。