2013年7月10日水曜日

仙人食(つづき)

 前回、青汁一杯で難病の「脊髄小脳変性症」を克服された女性(森美智代氏)の、著書の内容を紹介しました。もう少しその内容を記したいと思います。彼女の青汁からの栄養摂取量は、日本人の摂取基準に照らすと炭水化物と脂質は検出不可、タンパク質は3%で、いわゆる三大栄養素はほとんどゼロ、したがってエネルギーは1%にすぎないと云います。一方、残りの栄養素、ビタミン・ミネラル(食塩)は比較的充足率が高いものの、それでも多くて40~60%に過ぎないと云います。
尿素の再利用(血清タンパク中のN15濃度)

 ところで我々の身体はそのエネルギー源に糖質(炭水化物)を使用します。特に頭脳はブドウ糖を大量に使用するため、朝食をしっかり取ることが一日元気に働くための必須条件と云われます。しかし彼女はその炭水化物の摂取量がゼロなのです。それで頭がボーとしているかというと逆で、非常に「クリア」になり、本などは一度読むと情報がきちんと頭に整理格納されると云います。これは彼女だけの話しでなく、甲田医院で療養していた人たちは一様にそれを感じておられ、少食療法をしていた男子三人が東大に入ったという事例もあるそうです。また、我々の身体はタンパク質を分解吸収した後、代謝産物のアンモニアを尿素にして排泄します。つまり尿素は廃棄物と考えられています。ところがこの尿素が、お腹いっぱい食事をした学生では捨てられるのに対し、タンパク質の少ない食事をした学生とか、甲田医院で少食療法をしている人たちでは再利用され、タンパク質に逆戻りするという実験結果があるそうです(上図)。つまり少食により身体がタンパク質の不足を感じると、腸内細菌が尿素を分解してアンモニアをアミノ酸に変え、それを体内吸収してタンパク質が合成されるというのです。栄養学的にはあり得ない話しだと思います。
 彼女はほとんど栄養を摂っていないにも拘らず、内臓や血液、栄養状態などに異常はなく、ただ、尿検査では「ケトン体」が多いと云います。ケトン体とは体内にエネルギー源の糖質がなかったり、飢餓状態や糖尿病のとき現れる物質で、糖質の代わりに脂肪酸やアミノ酸をエネルギー源に使ったことを示すもので、通常だったら神経症状やこん睡などを引き起こしかねない危険な数値であるにも拘らず、彼女は何の不調も感じないのだそうです。また、慢性肝炎などの治療薬として知られるインターフェロン、もともとは体内で作られる免疫物質だそうですが、いくつかあるタイプの中にウィルスやガンなど腫瘍細胞に対する抑制作用が強いインターフェロンαがあり、これの血中濃度が普通の人は5,000単位くらいであるのに対し、彼女は20,277単位と4倍以上もあり、他の生菜食実行者も彼女に劣らず非常に高いのだそうです。普通は免疫力を高めるには「しっかり食べる」ことが勧められますが、少食の方がかえって免疫力は高まるというのです。こうした話しも現代医学には通じないと思います。
 いまの医学にしろ薬学にしろ、神の領域にまで足を踏み入れかねないレベルにあると我々は信じてきました。しかしそれは極めて狭い分野での突出であって、この世の中にはマイノリティではあっても昔から実施され、守り継がれてきたものの中に、まだまだ我々が知らない隠れた真実がいっぱいあって、そうしたものに謙虚に目を向け、そこから新たな分野を導き出すことが、これからの医学、栄養学には必要ではないか、森さんの本を読むとそんな気持ちにさせられます。

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