宮津方式
いまから6~7年前になりますが、京都府の委託事業「宮津エコの環構築研究事業」に取り組みました。丁度、ゼオライトを使った生ごみ発酵処理法(宮津方式)を開発したばかりのころで、「たいぞう君」という生ごみ処理機を全部で22台作成し、市内の旅館、料理屋、農家などに置かせてもらい、月に2トン近い生ごみを処理しました。そしてできた発酵肥料を集めてある専業農家で野菜を作ってもらい、その野菜を市内で販売消費する「エコの環」を検討しました。
撹拌機をつけたたいぞう君 |
今年も放置されていた2台を引き上げて改造し、たいぞう君は全部で7台になりました。するとそれを納める小屋の拡張が必要となり、盆明けの暑いさなかに汗でドロドロになりながら、その拡張工事をしました。
小屋の拡張作業 |
ところで私たちの生ごみ発酵処理法(宮津方式)では、発酵に「ゼオライト」を使います。ゼオライトってなに? なぜゼオライトを使うの? と疑問に思われる方も多いので、簡単にゼオライトについて説明させて頂きます。
ゼオライトというのは粘土の一種で、その埋蔵量と質において日本は、世界でも抜群の国といえます。ゼオライトの優れた性質としては表面が強くマイナスに帯電していて、プラスイオンを非常に吸着し易いことと、多孔質で臭気性ガスや水蒸気、空気などを吸着し易いことがあります。福島第一原発事故ではセシウム(Cs+)の吸着除去に利用されました。こうした性質は土壌微生物が繁殖しやすい、肥料成分を吸着しやすいといったことにも威力を発揮するため、発酵材としては最高の資材と考えられ、私たちが生ごみの発酵に利用する理由であります。実際、ゼオライトを畑に入れると、化学肥料や農薬で傷んだ畑の土が土壌微生物が繁殖しやすい生きた土に若返り、肥料成分の雨や風による流失が抑えられることから、政令指定の土壌改良資材にもなっています。しかし生ごみの発酵処理に利用しているのは多分私たちだけであり、「宮津方式」と呼んでいる理由であります。
私たちの「エコの環」野菜は甘くておいしいとよくいわれます。植物は根から栄養分を吸収して成長しますが、実はそのとき根の先にいる土壌微生物の働き(栄養分の橋渡し)が重要で、土壌微生物がいっぱいいる生きた土でこそ、元気で美味しい野菜は育つのです。ゼオライトにより「エコの環」野菜の畑には土壌微生物と生ごみからのミネラル分がいっぱいあり、これが野菜がおいしい理由だと考えています。なお、このゼオライトは阿蘇海のへどろから作ることが可能であり、そもそもはそれが生ごみの発酵にゼオライトを使い始めた第一の理由です。