50℃洗い
最近、新聞やテレビで「酵素」に関する話題や広告をよく目にします。酵素というと私たちはすぐに「消化酵素」を思い浮かべます。しかし酵素には「代謝酵素」というものもあり、吸収した栄養を細胞内で有効活用したり、毒素を排出したり、身体の悪い部分を修復したり、免疫力を高めたり、まるで身体の中の小人のように、あらゆる生命維持活動に関わっています。しかしこの酵素も病気になったり歳を取ると、体内で作る力が弱まり、身体の活動に対し酵素を作るのが追いつかなくなります。病気になると少食になったり、消化しやすいものしか食べられないのは、体内で作る酵素を免疫力や自然治癒力の方に回そうとして、消化酵素が不足するからなのだそうです。だから体外から酵素が補給できれば、その分体内で作る仕事が軽減され、元気に活動できるというわけです。
では酵素は何に含まれているかというと、生野菜や果物、生の肉や魚など、「新鮮な生の食べもの」と「発酵食品」です。これらには動・植物が生きるのに必要な酵素がいっぱい詰まっているのです。しかし酵素はタンパク質からできており、タンパク質は熱に弱く変質しやすいので、加熱した食べ物ばかりでは酵素は補給できません。だから毎朝の野菜・果物のジュースなどが、酵素を摂るのに非常に効果的と言えるのです。
ある酵素の活性変化 |
また、健康のためには身体は冷やさないように、常に温めるようにと言いますが、この図を見れば高体温の方が酵素の活性が高まり、病気に対する自然治癒力が増すことが分かります。特に「がん細胞」は低温を好むそうですから、運動、食事、お風呂などで体温を上げることは、がんを防ぐのに非常に効果的だと言えます。
根菜を中心とした野菜のうまみを引き出すには、やはりこの酵素の働きをうまく利用するのがコツだそうです。野菜を水から煮立てると、お湯の温度が37~40℃の間に酵素が働き、野菜のでんぷん質を糖に変化させるので甘みがすごく出るそうです。こうした調理法は味噌汁を始め、多くの料理に利用できそうです。
滝野清;酵素と熱の関係、奈良からの便りNo.181、2016
南雲吉則;空腹が生き方を教えてくれる、サンマーク出版、2013
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