2016年6月5日日曜日

マイクロプラスチック

 先日のテレビで、東京湾で捕れたカタクチイワシの8割近くの内臓から、微細なプラスチック片が見つかったと報道していました。
マイクロプラスチック

 実はいまペットボトルやレジ袋など海に流れ出たプラスチック製品が、日光の紫外線に当たって劣化し、波と風により5ミリ以下に細かく砕かれて「マイクロプラスチック」となり、世界の海を汚しているのだそうです。特に日本の近海は中国、インドネシア、フィリピンなどの国から流れ出たごみが海流に乗って集まりやすく、マイクロプラスチックの濃度は世界平均の27倍にもなっているのだそうです。だから日本の近海の魚はエサと間違えて飲み込む頻度も多いと考えられますが、それにしても「8割」とは驚きです。東京湾の釣り人も「いつも天ぷらにして食べているのに」とびっくりしていました。
 
 今回、国内で初めて魚の体内からマイクロプラスチックを見つけた東京農工大の教授によると、プラスチックを人が食べても排出されるので直接的な影響はないそうです。しかし微細なプラスチックは有害な化学物質を吸着して最大100万倍にも濃縮する性質があり、実際にマイクロプラスチックを食べた海鳥の脂肪や肝臓から、食べた量に比例してPCBという、かつてカネミ油症事件を引き起こし、その後製造が禁止された有害物質が見つかっており、魚でも有害物質の汚染が心配されるのだそうです。
 
 これまで魚への化学的有害物質の汚染は食物連鎖によって起きるので、マグロのような大型の魚だけに注意すればよいと思っていました。例えば有害物質DDT(1971年に使用禁止)の場合、太平洋表層水の濃度は1キログラム当たり0.00014マイクログラムだそうです。しかしそれを取り込む動物プランクトンではその濃度は1.7マイクログラム(1万倍)になり、プランクトンを食べるイワシでは43マイクログラム(30万倍)、小魚を食べるイルカでは5,200マイクログラム(370万倍)になるといわれ、まあイワシくらいまでの小魚ならよいだろうと思っていました。それに食べ物は植物にしろ動物にしろ、「一物全体」を頂く方が栄養的バランスが取れており、魚は丸ごと食べられる小魚の方が健康的にもよいといわれるからです。しかし今回の東京農工大の調査では、その小魚ですら危ないことが分かってきました。人類は便利さ・快適さを追い求め過ぎた結果、自らの首を絞めつつあるように感じます。

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