2015年4月19日日曜日

少エネ対策

 京都議定書(1997年)に代わる新たな国際的枠組みが、国連で作られようとしています。京都議定書では温暖化ガスの90年比5%削減を目標に、37の国・地域が参加して目標を大きく上回る22.6%の削減を達成しました(08~12年)。しかし最大排出国のアメリカが離脱したり、中国やインドが義務を負わなかったため、温暖化ガスは逆に50%も増えてしまい、いまのままでは平均気温の上昇を、世界が目指す2℃以内(産業革命前比)に抑え込むことが難しく、大胆な削減目標を設定する必要に迫られているからです。日本もかつては「20年に90年比25%削減」と世界をリードする数値を掲げたこともありましたが、原発を根拠にしていたため東日本大震災後はすっかり迷走し、国連へ提出する削減目標も、期限が過ぎても未だできない状況にあります。
 温暖化対策というといつも再生エネルギーへの転換のみが、議論の的になります。確かに火力発電は温暖化ガス発生の元凶であり、原発は温暖化ガスは発生しないものの危険極まりなく、再生エネルギーの導入が必須なことは分かります。しかし再生エネルギーだけが温暖化対策で、それを増やせば火力発電や原発が本当に減らせるのでしょうか。いま太陽光発電で原発1基分(100万キロワット)の電力を賄おうとすると、東京の山手線が囲う範囲の4倍の面積にパネルを敷き詰める必要があるそうです。これでは日本にある50基の原発の1基を減らすのも大変です。それと太陽光による発電はタダのように考えられがちですが、その売電価格は1キロワット時当り40円弱で、電力会社の発電コスト14.8円(2013)よりはるかに高く、その差額は「再エネ促進賦課金」という電気料金となって、ソックリ私たちの負担になっています。しかもこの5月からそれが、使用電力1キロワット時当り0.75円から1.58円に値上げになるといいます。何故そんなに発電コストがかかるかというと、発電用のシリコン半導体や付属設備を作るのに膨大なエネルギーを使うためで、その元を取るのに10年近くかかってしまうからです。だから発電がタダになるのは10年近くたってからの話で、その間は火力発電の方が使う化石燃料はむしろ少ないという、何とも変なことが起きてしまうのです。
ところでいまテレビを見る時間を、毎日1時間減らすとしたら、どれくらいの節電になるでしょう? わが家のテレビは53Wですから、0.053キロワット時/日の節電ということになります。一方、わが家には太陽光発電の設備はありませんが、もし3キロワットのパネルで発電していたとしたら、どれほどの発電量が得られるでしょう? 太陽光発電の稼働率は10%ほどらしいので、7.2キロワット時/日となります。7.2/0.053=136、つまりいま136軒の家がテレビを毎日1時間消すことに協力すれば、太陽光発電1軒分の発電量を減らすのと同じ効果が得られます。宮津市全戸が協力すれば、約60軒分の太陽光発電の電気を使わないのと同じ効果が得られるのです。
 いま太陽光パネルの設置があちこちで実施され、その発電量の急増に一部の電力会社では買い取り拒否の動きもあります。太陽光発電は不安定なため、電力会社にとってはシステムかく乱の原因になるからです。太陽光パネルを少々設置したくらいでは原発や火力発電を減らせないこと、また、現段階では太陽光発電は火力発電よりかなり割高で、温暖化対策の切り札になりがたいことは前述の通りです。むしろ再生エネルギーを増やすことは、電気の無駄使いにつながりかねません。ならば残された方法は節電しかなく、それが本当の意味での温暖化ガス削減対策ではないでしょうか。テレビや電灯、あるいは車、一つ一つの使用エネルギー量はわずかでも、その無駄をなくし、賢い使い方を皆で考え協力し合えば、再生エネルギーの設置よりはるかに効果的な結果につながると考えられます。再生エネルギーとか省エネ家電というのは、所詮「他力本願」というか逃げの方法です。次世代のことを本当に考えてやるのであれば、私たちはもっと真剣にエネルギーの削減に努力する必要があるのではないでしょうか。”ピンと活き生き”宮津ライフで、こうした自力本願の活動にも取り組んでいきたいと考えています。

槌田敦;エコロジー神話の功罪、ほたる出版、2006

2015年4月7日火曜日

2014年度のまとめ

 昨年度下期より京都府のソーシャル・ビジネスプログラムの支援を受け、生ごみ処理機「たいぞう君」を2台増やして全部で6台にし、堆肥不足の緩和を進めると同時に「ちーたび」を実施して、多くの方々に「エコの環」事業を知ってもらう努力をしてきました。
 まず生ごみ処理ですが、仕出し料理屋、旅館など3か所から生ごみを頂いて処理しました。しかし非常に多いときやほとんど無いときなど量の変動が激しく、それを吸収するのに苦労しました。そんなことから想定した処理量には届きませんでしたが、それでも1.1トンほどを処理し、野菜にして27万円ほどの価値を生むことが出来ました。次にちーたびですが、その内容についてはちーたび(つづき)料理教室で触れました。私たちが「エコの環」を進める上でいつも難しく感じるのは、それが阿蘇海の環境改善につながることを分かってもらう点です。ゼオライトを少量でもへどろから生産しておれば理解してもらえ易いのでしょうが、しかしそれはある程度の生産量がないと採算的に無理です。しかも阿蘇海の環境悪化を持ち出しても宮津湾側で泳げたり、魚を買うのに困らない限り、誰も阿蘇海の環境などに関心を示してくれません。そこで私たちは「エコの環」を、いま日本が直面する高齢者問題・社会保障問題の切り札と捉え、その対策としての仕組みづくりに頑張ればゼオライトの需要が拡大し、結果として阿蘇海の環境修復につながるという考えで活動していますが、これには長い説明が必要となり、それが理解を難しくしている点は否めません。そこでちーたびではチラシに「おいしい野菜を食べて 美しい阿蘇海を!」とうたって、参加者にはその意味を「なぞ」にして、見学会、食事会、交流会をするなかで、だんだんとその「なぞ解き」ができるようにしてきました。その意味ではちーたびはよいイベントであり、「エコの環」の周知と野菜の販路拡大につながっていくことを願っています。因みに2014年度の野菜販売額の推移は下図の通りです。栽培者の休業や獣害もありましたが、何とか66万円の売り上げを得ることが出来ました。
 一方、へどろ吸湿材を使ったヒートポンプの実験では、ヒートポンプによる吸熱を発電にも利用できないか、ペルチェ素子を使って実験してみました。そして微弱ながら発電も可能なことを確認しました(右下図)。今後は何かのイベント時に、そんな実験で人々を驚かせてみたいと考えています。

冷却効果と発電効果
また、昨年は当ブルーシー阿蘇が認定NPO法人に認定されました(11/6)。いま京都府下には1,150ほどのNPO法人があるそうですが、認定NPO法人となるとまだ7法人しかありません。これに認定されると税制面で寄付者、法人に大きなメリットがありますが、それ以上に公益性が高い団体ということでの信用が高まります。だからといって寄付が集まるわけでもなく、これからは寄付集めにも努力していきたいと考えています。