食糧問題
昨日は全国的に夏日、真夏日となったところが非常に多く、急激な温度変化に体調を崩す人も大勢いたようで、5月というのに熱中症の対策をテレビが訴えています。
国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第1作業部会報告書(2013年9月)によると、温室効果ガスの排出をいまのまま放置した「成りゆきのシナリオ」の場合、世界の平均気温は今世紀末に最大で4.8℃上昇すると云います。昨年の日本の夏は、四万十市を始め最高気温を更新する観測点がアチコチに続出する猛暑でしたが、それでも平均気温でみると、平年よりわずか1℃ほど高かったにすぎないと云われ、それを考えると4.8℃という数値のスゴサと、その計り知れない影響が心配されます。しかもいったん気温が上昇すると、たとえその後に温室効果ガスの排出量をゼロにしても、気温は思うように下がらないと云うから厄介です。
昨夏の猛暑 |
次に横浜市で公表された第2作業部会の報告書(2014年3月)によると、「成りゆきのシナリオ」では海面の上昇は81cmにもなり、今世紀末までにアジアを中心に移住を余儀なくされる人数は、数億人に及ぶと見積もられ、地球温暖化の影響はすでにすべての大陸・海洋の水資源・食糧生産・自然生態系にハッキリ表れていて、水産物は生息域が大きく変わると同時に世界的な減少が見込まれ、農業では小麦・トウモロコシなどの主要穀物に収穫量の減少傾向が表れていると云います。一方で人口増のため食糧の需要は増えるため、4℃以上の大きな気温上昇を許すと、世界の食糧安全保障に大きな影響を与え、武力衝突の危険性も高まり、「2℃シナリオ」なら適応策も立てられるが、4℃以上になると限界を迎えると述べているそうです。
そして第3作業部会の報告書(2014年4月)では、深刻な影響を避けるには2050年までに温室効果ガスの排出量を、2010年比で40~70%と大幅に削減する必要があると述べていて、現在の地球の温室効果ガスの平均濃度は約400ppmであるが、今世紀末の濃度が450ppmであればまだ「2℃シナリオ」実現の可能性はあるものの、ここ10年間の排出量の増加が特に大きいため、このままでは2030年に450ppmを通過してしまう可能性があり、それまでにそれなりの対策を取らないと将来の対策の選択肢が限られてしまう、つまりここ10~20年が勝負になると訴えているそうです。IPCCの報告書に従えば、「成りゆきのシナリオ」か「2℃シナリオ」か、私たちはいま人類の存亡をもかける非常に厳しい岐路に立たされていることになります。
いま日本は食糧の6割以上を海外からの輸入に頼っています。しかしIPCCの報告書は日本の現状は国家安全保障上極めて危うく、これからは自らの食糧は自ら賄うことが自衛隊を持つ以上の意味をもってくることを教えています。高齢者が「エコの環」に取り組み、地域のために食糧の生産、確保に励むことは、これから非常に重要になってくると考えられます。
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