2026年7月18日土曜日

へどろと生ごみが語る持続可能な世界ーゆでがえる理論

  “ゆでがえる理論”って存じでしょうか? 「蛙を水に入れ、ゆっくり温度を上げてゆくと、蛙は気づかないまま茹で上がり、死んでしまう」と、厳しい経営環境を戒めたビジネス界のたとえ話です。「状況が少しずつ変化すると、人はその変化に気づかず慣れてしまい、最後は取り返しの付かない危機的状況に陥ってしまう」と、会社時代によく聞かされました。


 最近の日本や世界で起きている異常気象のニュースを目にすると、温暖化により私たちは本当に「ゆでがえる」になってしまうのではと、危機感を覚えます。

ゆでがえる

 いま日本では、雨が降れば「線状降水帯」、「がけ崩れ」、「川の氾濫」が、晴れれば今度は「猛暑日」、「熱中症警戒アラート」が、いわばセットになって報じられ、決まって「早めの頑丈な建物への避難」や、「十分な水分補給とエアコンの使用」が呼びかけられます。

 これほど「身の危険」や「命を守る」ための、異常ともいえる呼びかけが増えていても、温暖化対策としての節電や節油などの呼びかけは、全くありません。ホルムズ海峡の封鎖により重油がストップしても、ガソリンの補助金は出ても、節油の呼びかけは一切ありません。このままでは危機的状況に本当に慣れっこになり、そのまま後戻りが難しい状態に、向かっていくだけではないでしょうか?


 温暖化対策として一般的に考えられているのは、太陽光発電、風力発電、原発などで、私たちにできることには限りがあるとでもいうのでしょうか。


 私たちは「生ごみ」が、かなりよい温暖化対策になると考えています。


 若い就農希望者が、市内の一般家庭40軒ほどと「エコの環」(生ごみを肥料用に出してもらう代わりに、育てた野菜を買ってもらう)の関係を結べば、農業で自立は可能と考えられます。この就農希望者を市外から募れば、宮津市の生ごみを処理するのに150200人の若者を呼び込むことができ、いい人口減対策になります。そしてドラム缶にして年に170本分の灯油からのCO2を、地中に埋めることができます。生ごみという無用なものから年に3億円以上の野菜という価値が生まれ、高齢社会の健康対策に役立ちます。こうした仕組みは陸や海の非常に良い環境対策になり、観光資源にもなります。



2026年6月29日月曜日

へどろから見た持続可能な世界ースーパーエルニーニョ

 今年の夏はスーパーエルニーニョ現象が発生し、梅雨明けが平年より早く、猛暑の続く過酷な夏になる恐れがあるといいます。どういうことでしょうか?


 「エルニーニョ」とか「ラニーニャ」という言葉を、聞かれたことがあると思います。赤道付近には常に貿易風と呼ばれる風が東から西に向かって吹いていて、温かい海面水をインドネシア方面に吹き寄せています。それを補うように南米沖では深海から冷たい水が沸き上がるため、太平洋熱帯域の海水温は西部で高く、東部で低い状態になっています。ところが貿易風が弱く、西部の温かい海水が東方に広がり、南米沖の冷水の湧昇も弱まることが、時々発生します。これがエルニーニョ現象で、インドネシアに近い海面水温が相対的に低下するため、積乱雲の発生や、それに伴って発生する太平洋高気圧の位置が平常時より東方に移動し、日本は冷夏や多雨に見舞われます。一方、貿易風が強く、温かい海水がインドネシア近海に押し寄せることも時々発生します。これがラニーニャ現象で、この時は太平洋高気圧が北に大きく張り出して日本を覆うため、日本の気温は高くなります。


貿易風が引き起こす海水温分布

 こうした従来の説明からすると、日本の今夏は冷夏になるはずです。ところが近年は温暖化による地球全体の気温の上昇が著しく、それがエルニーニョの冷夏効果を完全に相殺・凌駕し、局地的にラニーニャ現象に近い海面水温の分布が見られるようになったといいます。その最たる例が2023年で、強力なエルニーニョ現象が発生したにも係わらず、過去最高を更新する記録的な猛暑となり、温室効果ガスの増加がエルニーニョの冷却効果を無力化した、転換点の年になったといいます。


 しかも日本近海の海面水温は異常に高い状態が続いていて、それがヒーターの役割を果たし、そこから発生する大量の水蒸気は、体感温度を著しく押し上げます。加えてチベット高気圧が太平洋高気圧の上に重なり、日本列島をすっぽり覆う「二重高気圧」の形成も予想され、これらが今夏、過酷な猛暑になる理由だといいます。温暖化は後戻りが難しい状況になりつつあるといえます。 


 生ごみは燃やすのではなく、たい肥にして地中に埋めるべき時が来ています。

 


2026年5月13日水曜日

へどろから見た持続可能な世界ー二季化

 3月の終わりごろ、東京の知人から「桜が満開で、花見に行ってきた」と連絡がありました。その日、散歩に出かけたとき、KTR岩滝口駅の桜はまったく咲いていなかったので、やはり東京はかなり暖かいのだと思っていました。しかしその翌日、散歩に出かけると、12分の花が一気に咲いていて、その急変さと、まだ3月ということもあり、びっくりしました。昔、といってももう3040年も前になりますか、須津祭り4月の終わりころにある)で、確か桜の咲く下を山車を引っ張って歩いた記憶があります。それを考えると桜の開花が、確実に速まっているように感じました。

岩滝口駅の桜


 三重大学の立花教授は「日本周辺の海水温度は、温暖化により世界的に見ても特に上がっていて、春は気温がすぐに上がり、秋はなかなか下がらない状態が続いている。気象庁の1982年以降のデータを調べると、夏が3週間ほど延びている。冬の期間は変わっておらず、その分春と秋が縮まり、二季化が進んでいる。そのため近年は、桜も一気に咲くようになっている」と述べておられます。


 イラン戦争の影響で、ホルムズ海峡を通過する石油・ガスの流通が止まり、世界経済に大混乱が起きています。政府は備蓄の石油を放出したり、中東以外の産油国から石油を買い求め、必要量は確保していると言っています。しかし石油関連製品の大幅な値上げや、供給の目詰まりが既にあちこちで起きており、私たちの生活がいかに石油にどっぷりつかったものか、改めて思い知らされた感じです。


 立花教授は「温暖化はいまのままでは近いうちに、後戻りできない一線を超えかねません。しかし各国がパリ協定を順守し、2050年までにCO2排出量をゼロにするなら、日本の四季も戻ってくるでしょう」とも述べておられます。


 いま日本では生ごみはほとんど焼却処理されています。しかしたい肥にして利用すれば、1家庭の1ヶ月分の生ごみ量(約14kg)で、少なくとも500mlの灯油が出すCO2をキャンセルできます。「エコの環」は温暖化対策になるのです。



2026年4月10日金曜日

へどろから見た持続可能な世界ートウガラシの知恵

 突然ですが、トウガラシがなぜあんなに辛いか、分かりますか? 

 トウガラシの辛みは、カプサイシンという化学成分によるもので、昆虫を含め多くの生物は、この成分を痛みや熱さと同様に、「体にとって危険なもの」と知覚し、忌避しようとするそうです。「エコの環」野菜の栽培でも、病害虫対策にトウガラシを使っています。


 ところが、このカプサイシンの辛みに全く反応しない生物が、一種だけ存在するそうです。鳥類です。鳥類はどういうわけか進化の過程で、知覚センサーを作る遺伝子に突然変異が起き、温度や痛みなどは識別できても、カプサイシンの辛みには全く反応しないのだそうです。

そこでトウガラシは必死に考えたのでしょう。もし動物に食べられたら、実をかみ砕くとき種子を潰してしまいます。しかし鳥なら実を丸呑みするので種子は傷つかず、しかも遠くまで飛んで、種子を糞と一緒にばらまいてくれます。つまり繁殖のためには、鳥類だけに食べて貰った方が好都合です。そこでトウガラシは、カプサイシンを合成する術を身に付けたといいます。


鳥類の知覚センサーの突然変異については、二人のアメリカの大学教授によって発見され、ノーベル賞が授与されたそうです2021。それにしてもノーベル賞に匹敵するようなことを、トウガラシはどうやって学んだのでしょう。

 植物は海から陸に上がって以来、陸上の過酷な環境に曝されながら懸命に生き、それに耐えるべく自らを作り替え、しかもカプサイシンのような化学成分(人間にとって有用なものが多い)を、一種当たり平均して4.7個も作り出してきたのです。植物の生存戦略は、我々が考えている以上にしたたかで、すごく賢いのです。

 

ウクライナやガザ、そして最近のイランへの強国による無差別な戦争を目の当たりにすると、人間はその出現以来、何も変わることができていないと、つくづく虚しさを感じます。もっと植物から、忍耐力とか生きるための知恵を、学ぶべきではないでしょうか。

 

*一石英一郎;すごい野菜の話、飛鳥新社



2026年3月20日金曜日

へどろから見た持続可能な世界ー花粉症

 花粉が飛ぶ季節になりました。いま日本人の半数近くは花粉症だといわれます。しかしそれが最初に報告されたのは1961年、第1回東京オリンピックのわずか数年前のことだったようです。何がこれほどまでの激増につながったのでしょう?


 一つは私たちの体に備わった免疫という仕組みの「誤作動」にあると言われます。私たちの体を病原体などから守る免疫には、二種類あるといわれます。一つはウイルスや細菌に対するもの、もう一つはもっとサイズの大きい寄生虫などに対するものです。前者ではIgGという抗体が作られ、ウイルスや細菌を排除します。後者ではIgEという抗体が作られ、それが「肥満細胞」(丸く膨れた形をした免疫細胞)にくっつきます。寄生虫などが侵入してIgE抗体と結合すると、肥満細胞から「ヒスタミン」などの物質が放出され、くしゃみ、鼻水、涙、皮膚のかゆみなどを引き起こします。かゆみは皮膚をかくことで寄生虫を払い落とし、鼻水や涙は寄生虫の卵を洗い流すためのものだといいます。こうした仕組みが本来無害である花粉に対して誤作動すると、アレルギー反応が起きるといいます。


 誤作動を起こす原因には、衛生環境が良くなったこと、食生活の変化などが挙げられています。生活水準が良くなったことで、土に触れたり、不衛生なものを食べる機会が減り、一方で抗菌剤や抗生物質などが多用され、感染症は減りました。しかし人間は長く土壌微生物と接しながら生きてきました。だから微生物に触れる機会が減ると免疫系の発達が未熟になり、肥満細胞が過敏になるといいます。

 一方の食事では、動物性の食べ物や加工食品が増え、食物繊維や発酵食品が減ったことで腸内細菌の多様性が減り、腸の免疫調節が弱くなったといいます。いずれもノーベル賞受賞の坂口博士が発見された、Tレグの不足を招くことになるのです。

スギ花粉

 スギは1970年以降に大量に植林されたそうです。それが花粉症増加のもう一つの原因です。温暖化による夏の気温の上昇も花粉の飛散量を増加させ、都市部では花粉に付着したディーゼル粉塵や大気汚染物質も、花粉症の症状を悪化させているといいます。


マスクや眼鏡などで花粉を防ぎ、野菜をしっかり食べて「腸活」に努めましょう!


*ニュートン

      

2026年3月19日木曜日

第7回ツアーのご案内

 第7回ツアーの参加申し込み

  「温暖化対策とSDGsな野菜作り」の体験ツアーに参加を希望される方は、下記事項をメールにてお知らせください。

 連絡事項;お名前、住所、電話番号、メールアドレス

 連絡先メールアドレス;toyomi-714@ezweb.ne.jp

*お送りいただいた個人情報は、本イベントの運営のほか、今後のイベント情報などのご案内以外には、利用いたしません。

 

 集合場所

宮津市須津787

KTR(丹後鉄道)岩滝口駅の裏側で、徒歩5分の位置です。

2026年2月22日日曜日

へどろから見た持続可能な世界ー植物の生存戦略

 雪が峠を越えたと思ったら、花粉の季節になりました。私たちにとっては大迷惑でも、これは植物にとっては非常に大切な生存戦略の一つなのです。 

 植物は約45千万年前、光合成に必要な光と二酸化炭素を求めて、海から陸上に進出しました。以来、陸上の乾燥や重力、紫外線などと戦いながら様々な変化を遂げ、高度な適応能力を身に着けたといわれます。やがて陸上に動物が現れると、今度は動物から身を守ったり、動物の力を上手く利用する新たな生存戦略を、展開してきたのです。

植物の陸上進出

 植物は動物のように身を隠したり、逃げたりすることができません。そこで身を守るため、また繁殖を促すために様々な化学成分を作り出し、その成分の一つ一つに多くの機能を持たせるようにしてきました。

 例えばブルーベリーやナス、紫キャベツなどに多く含まれるアントシアニンという色素は、花や果実を赤や紫に発色させて昆虫や鳥をおびき寄せ、受粉をさせたり、鳥や動物に実を食べさせ、糞として種子をばらまくのに使われます。さつまいもが赤いのもアントシアニンによるものですが、この場合は抗菌作用を持たせ、土壌の雑菌から身を守るのに使っています。アントシアニンのとりわけ重要な機能の一つに、紫外線から守る抗酸化作用があります。紫外線は細胞内に活性酸素という強酸化性の物質を発生させ、私たちの体をサビさせ、老化や皮膚がんなどの原因になります。しかし日光を避ける術を持たない植物は、アントシアニン(ポリフェノールの一種)以外にもカロテノイド、クロロフィル、フィコシアニンなど、様々な抗酸化物質(ファイトケミカル)を作り、がんにならないのです。南洋に生育する作物や果実に赤みを帯びたものが多いのは、アントシアニンが多いからです。また長寿の人達の多いのは亜熱帯など紫外線の強い地域に集中しているそうですが、これもアントシアニンのお陰かも知れません。

 植物は平均すると一種当たり4.7個のアントシアニンのような化学成分を、作り出しているそうです。植物のこうした様々な成分を動物は作ることができず、植物から摂取するしかないのです。


 野菜をしっかり食べ、病気に負けない体を作りましょう。

 

*一石英一郎;すごい野菜の話、飛鳥新社