へどろから見た持続可能な世界ー植物の生存戦略
雪が峠を越えたと思ったら、花粉の季節になりました。私たちにとっては大迷惑でも、これは植物にとっては非常に大切な生存戦略の一つなのです。
植物は約4億5千万年前、光合成に必要な光と二酸化炭素を求めて、海から陸上に進出しました。以来、陸上の乾燥や重力、紫外線などと戦いながら様々な変化を遂げ、高度な適応能力を身に着けたといわれます。やがて陸上に動物が現れると、今度は動物から身を守ったり、動物の力を上手く利用する新たな生存戦略を、展開してきたのです。
植物の陸上進出
植物は動物のように身を隠したり、逃げたりすることができません。そこで身を守るため、また繁殖を促すために様々な化学成分を作り出し、その成分の一つ一つに多くの機能を持たせるようにしてきました。
例えばブルーベリーやナス、紫キャベツなどに多く含まれるアントシアニンという色素は、花や果実を赤や紫に発色させて昆虫や鳥をおびき寄せ、受粉をさせたり、鳥や動物に実を食べさせ、糞として種子をばらまくのに使われます。さつまいもが赤いのもアントシアニンによるものですが、この場合は抗菌作用を持たせ、土壌の雑菌から身を守るのに使っています。アントシアニンのとりわけ重要な機能の一つに、紫外線から守る抗酸化作用があります。紫外線は細胞内に活性酸素という強酸化性の物質を発生させ、私たちの体をサビさせ、老化や皮膚がんなどの原因になります。しかし日光を避ける術を持たない植物は、アントシアニン(ポリフェノールの一種)以外にもカロテノイド、クロロフィル、フィコシアニンなど、様々な抗酸化物質(ファイトケミカル)を作り、がんにならないのです。南洋に生育する作物や果実に赤みを帯びたものが多いのは、アントシアニンが多いからです。また長寿の人達の多いのは亜熱帯など紫外線の強い地域に集中しているそうですが、これもアントシアニンのお陰かも知れません。
植物は平均すると一種当たり4.7個のアントシアニンのような化学成分を、作り出しているそうです。植物のこうした様々な成分を動物は作ることができず、植物から摂取するしかないのです。
野菜をしっかり食べ、病気に負けない体を作りましょう。
*一石英一郎;すごい野菜の話、飛鳥新社
