2025年10月23日木曜日

へどろから見た持続可能な世界ーノーベル賞ダブル受賞

 今年のノーベル賞は大阪大学特任教授の坂口志文さんと、京都大学特別教授の北川進さんがダブル受賞されることになりました。おめでとうございます。

         
         坂口教授
北川教授
         

 








坂口さんが発見された「制御性T細胞」については、以前、このブログでも「Tレグ」という名称でお伝えしています

 免疫細胞といえばそれまで、ウイルスや細菌などの外敵を攻撃するものだけが知られていたのに対し、その攻撃にブレーキをかける役目の免疫細胞Tレグ)が新たに発見され、それが不足すると従来の免疫細胞が暴走してアレルギー疾患や、自分自身の細胞を傷つけてしまう自己免疫疾患(関節リウマチや1型糖尿病など)を引き起こすこと、Tレグを増やすには大腸の腸内細菌のバランスを整える(善玉菌を増やす)ことが大切なこと、などをお伝えしました。

 そのときTレグはノーベル賞級の発見と感じ、大阪大の坂口教授が発見されたと書き加えたことを覚えています。ただしそのときは、実際にノーベル賞がこんなにも早く与えられるとは思ってもいませんでしたが。


また、別のブログでは、花粉症対策として政府が行おうとしている花粉発生量の半減対策、すなわち現在のスギ人工林を無花粉、少花粉のスギや他の木に置き換える計画に対し、そんなことに膨大なお金をかけるより、Tレグの研究にお金を使った方が有意義であり、はるかに安上がりになるとお伝えしました。

今回の受賞が決まり、文部科学大臣から祝福の電話があったとき、坂口さんも「自分たちの研究費はドイツの13ほどだ」と、早速、自分たちの窮状を訴えられたそうです。

 

 腸内細菌のバランス改善には食物繊維が大切です。成人では124グラム以上の摂取が必要とされるのに対し、現代人の摂取量は15.0グラムと慢性的に不足しているのが実情で、政府も1350グラム以上の野菜を食べることを奨励しています。



2025年10月1日水曜日

へどろから見た持続可能な世界ー温暖化対策(修正版)

 前回、生ごみの発酵時に得られるふるい上(ガラ)とふるい下を、それぞれ畑の土に10%づつ混ぜると、いずれも土の炭素量を2.02%から2.5%ほどに上昇させ、4パーミルイニシアティブ(土壌中の炭素量を毎年0.4%アップ)を達成できること、すなわち生ごみ量にして20%ほどを土に混ぜると、炭素量を0.4%アップできることをお伝えしました。

 しかしその後、炭素量の0.4%の解釈に誤りのあることが分かり、改めてここに正しい実験の結果についてお伝えしたいと思います。


 今年の実験では炭素量が2.02%の土を使いました。この土の炭素量を0.4%アップさせるということは、2.02+0.4=2.42%にするというのではなく、2.02×1.0042.028%にすればよいということです。つまり2.5%になったということは、2.5/2.02=1.238、すなわち23.8%0.4%の約60倍)も炭素量がアップしたことを意味します。昨年の場合なら、1.30×1.0041.305%になれば十分であるのに対して2.03%に、つまり56.2%0.4%の約140倍)も炭素量がアップしていたことを意味します。しかも土をそのまま放置すると、1年経っても炭素量はほぼ全量が保存していたのに対し、土を頻繁に攪拌して空気を入れると、炭素量は大きく失われてしまうことも分かりました。

生ごみ肥料による土壌中有機炭素量の変化


 土壌にとって有機炭素は非常に大切です。土壌微生物が棲みやすく、肥料成分の宝庫となり、干ばつにも耐えやすくなるからです。昨年・今年と続けて行った実験から、生ごみを肥料に使うことは土壌中の炭素量を大幅にアップし、土を肥沃にし、非常に大きな温暖化対策になることが分かりました。しかしせっせと耕して畑に空気を入れると折角の炭素量を失ってしまうので、出来るだけ耕さない「不耕起栽培」が大切になってきます。国連も温暖化対策、砂漠化対策として不耕起栽培を推奨しており、農業先進国では20%以上導入しているところもあるようです。しかし日本はいまのところ不耕起栽培に関して後進国であり、ほとんど導入されていません。実践を重ねることで独自の農法を見つけていきたいと考えています。