2021年7月18日日曜日

へどろから見た持続可能な世界ーミネラル

  子どものころ、聖書の話としてアダムが神様により「土」から作られたという話を読んだことがあります。読んだ当時は私たちの身体とは異質の土というのが不可解で、違和感を覚えたことを覚えています。

 しかし生ごみ発酵肥料を使って「エコの環」野菜を作るようになったいまは、この話の正しさを実感できると感じています。

 私たちはいろんな種類の岩石からできた「地球」という星に生まれ、その上で暮らしています。一見、私たちの身体と岩石とは似ても似つかぬ間柄ですが、しかし私たちは地球の岩石と無関係ではいられないのです。

 私たちは生きるために食料を食べます。その食料はすべて地上に育つ植物か、それを食べた動物か、あるいは海で育つ魚か海藻から作られています。

 まず地上に育つ植物は岩石が風化した土に根を張り、その根から酵素を出して岩石の構成元素である「ミネラル」を溶かし、吸収します。一方、海には地上の岩石のミネラル成分が雨によって洗い流され、「塩」という形で溶けており、そこから魚、海藻がミネラルを吸収します。つまり私たちは食料を口にすることで常に地球の岩石を食べており、だから私たちの身体は土でできているといっても過言ではないのです。

 因みに私たちの身体を作っている元素の割合は海や大地(土壌)のそれと非常に似ているといわれます。とくにそっくりなのが血液(厳密には赤血球など血球を除いた液体部分;血清)と海水で、そのミネラル組成はほとんど同じであることが知られています。

 身体が必要とするミネラル量は実際のところ顕微鏡的な微量に過ぎません。しかしそれが欠乏したりバランスを崩したりすると、私たちはたちまち病気になり命を縮めます。明らかにタンパク質や糖質、脂質、ビタミンなどよりも、私たちの健康はより直接的にミネラルによって左右されているのです。

 ところがこの地上の土も、チッソ、リン酸、カリが主成分の化学肥料を多用し続けると、土中のミネラル成分は植物によって収奪される一方で、不足することになります。そして「最近の野菜は昔に比べミネラルが不足している」という結果になります。つまり土に含まれるべきミネラル自体が欠乏しているのです。だから植物が土から奪ったミネラル成分は植物の収穫後、可食部以外を土に戻すことで補ってやる必要があるのです。

 私たちは「生ごみ」という野菜の調理くず、残飯を発酵処理して土に戻しています。これは土のミネラル成分を補給する意味において非常に大切なことであり、まさに「エコの環」野菜はSDGs(持続可能)な野菜と言うことができます。