へどろから見た持続可能な世界ー生ごみのたい肥化
前回は食べ物の消化過程でカスとして残る食物繊維と、その腸に於ける重要な働きについて述べました。
私たちはゼオライトという土を使って生ごみのたい肥作りを行っていますが、たい肥作りやその畑での働きには、身体の仕組みと非常に似通ったところがあり、驚かされます。
たい肥作りではまず、土の入った処理箱に生ごみを投入します。同時に米ぬかとゼオライト粉末も加え、よく攪拌をして翌日まで放置します。するとゼオライトという非常に居心地の良い土の中に棲む土壌微生物が、生ごみをエサとしてパクパク食べ、それをエネルギーに細胞分裂を繰り返し、土壌微生物がいっぱいの土に変えてくれます。米ぬかを加えるのは、米ぬかは分解されやすく、しかも生ごみのすき間に入り込んで分解を速めるからです。
発酵分解物 |
こうした作業を毎日繰り返し、1週間ほどたったところで処理箱の土をふるいにかけると、細かい生ごみの発酵分解物と粗い未分解物に分かれます。未分解物は土壌微生物が苦手とするセルロース(食物繊維)の多い部分です。細かい方はチッソやリン酸など作物の養分供給源となる部分で、「栄養腐植」と呼ばれます。粗い方は分解されにくい安定した部分で、「耐久腐植」と呼ばれます。私たちの身体の消化過程でも、胃や小腸で消化されたものは栄養源となり、消化されないものは食物繊維として大腸に残りますが、それとまったく同じことが起きるのです。
未分解物 |