2018年2月10日土曜日

生ごみ処理箱の改造

 
 私たちはゼオライトを使った生ごみの発酵処理に、「たいぞうくん」という処理箱(宮津方式)を使っています。

 生ごみの水分は90%ほどあり、微生物で発酵分解させると60~70℃に発熱すると同時に、大量の水を放出します。この水は暖かい時期は蒸気となって逃げやすく問題ありませんが、処理箱の周辺が冷え込む時期になると、凝結して処理箱から抜けづらくなります。すると発酵分解した処理物は2~5cmほどの丸い塊(かたまり)を作るようになり、篩(ふるい)で篩えなくなったり、箱の中がべとべとして処理できなくなります。生ごみの発酵処理で一番難しいところは、この水をいかにうまく箱の外へ逃がすかにあります。

 生ごみの発酵処理法にEM菌を使う方法があります。この方法ではまず生ごみをバケツの中で酸素を絶って嫌気発酵させ、この時ある程度の水を抜きます。その後で生ごみを別の容器に移し、今度は空気のある環境で好気発酵させます。水の放出問題を解決する一つの方法と言えますが、生ごみ処理が2段構で作業が煩雑になります。

 私たちの宮津方式は好気発酵だけで水を飛ばす方式ですから、作業は単純です。しかしこの水の放出問題は非常に厄介で、随分と苦しめられてきました。処理箱の中にべとついたところがあると、ムシも発生しやすいからです。

 水を飛ばす一番手っ取り早い方法は米ぬかをたくさん加えてやることです。米ぬかは水分が低く(10%ほど)、油分を含んでいるので、非常に良い燃料(発熱乾燥材)になるからです。その意味では天ぷら廃油も非常に良い燃料といえます。しかしこちらはうまく混ぜてやらないと、分解処理物の表面をべっとり濡らせて嫌気状態(酸素が届きにくい状態)を作り、逆効果になる可能性があります(特に処理物が塊状になり、表面積が小さくなっている場合)。

 米ぬかはサラサラで扱いやすく便利ですが、常に米ぬかを回収して用意しておく必要があります。そこで何か別にいい方法はないか、いろいろ思案する中で行うようになったのが、箱の上に薄い布を掛ける方法です。寒い時期、何もないと外気が箱の内部を冷やし、生ごみの処理温度が下がり蒸気は凝結し、分解反応が進まなくなります。しかし箱の上に布を掛けると蒸気が箱の中にこもるようになり、内部の温度は下がりづらくなって反応が進み、蒸気は布の織り目から逃げていきます。もちろん布の表面で凝結もしますが、内部が温かいと蒸気となって逃げていってくれます。

 この方法により冬場でも結構処理ができるようになったのですが、しかし箱の内部は濡れやすく、寒い時期はどうしても米ぬかに頼ったり、処理量を落としたりせざるを得ませんでした。

 そこでもっと何かいい方法はないかと考える中で、金属の反射板を張ったらどうだろうと考え、実験してみました。

 スーパーの日用品売り場に行くと、よくアルミ箔を張った断熱材を目にします。冬はこたつの下に敷いたり、夏はアイスクリームを入れる袋に利用したりするものです。ここでアルミ箔はこたつの熱、あるいは太陽の熱を反射して断熱材の保温効果や冷却効果を高めてくれるのです。だから金属反射板を張れば処理箱の中の保温効果は高められるはずです。

 早速、接着剤付のステンレス薄板(0.1mm厚)を購入し、箱の内面に張ってみました。まるでマジックにでも使うような鏡面張りの箱が出来上がりました。そこで従来の処理箱と処理温度の比較をしてみたところ、温度は常に20~30℃高く、その分乾きがよく、大きく成長した塊も少しづつ細かくなっていくことが分かってきました。

 ただステンレスの材料費は1万4千円ほどかかるので一気に改造は進められず、少しづつ実施していくことになると思います。