へどろから見た持続可能な世界ートウガラシの知恵
突然ですが、トウガラシがなぜあんなに辛いか、分かりますか?
トウガラシの辛みは、カプサイシンという化学成分によるもので、昆虫を含め多くの生物は、この成分を痛みや熱さと同様に、「体にとって危険なもの」と知覚し、忌避しようとするそうです。「エコの環」野菜の栽培でも、病害虫対策にトウガラシを使っています。 ところが、このカプサイシンの辛みに全く反応しない生物が、一種だけ存在するそうです。鳥類です。鳥類はどういうわけか進化の過程で、知覚センサーを作る遺伝子に突然変異が起き、温度や痛みなどは識別できても、カプサイシンの辛みには全く反応しないのだそうです。
そこでトウガラシは必死に考えたのでしょう。もし動物に食べられたら、実をかみ砕くとき種子を潰してしまいます。しかし鳥なら実を丸呑みするので種子は傷つかず、しかも遠くまで飛んで、種子を糞と一緒にばらまいてくれます。つまり繁殖のためには、鳥類だけに食べて貰った方が好都合です。そこでトウガラシは、カプサイシンを合成する術を身に付けたといいます。
鳥類の知覚センサーの突然変異については、二人のアメリカの大学教授によって発見され、ノーベル賞が授与されたそうです(2021)。それにしてもノーベル賞に匹敵するようなことを、トウガラシはどうやって学んだのでしょう。
植物は海から陸に上がって以来、陸上の過酷な環境に曝されながら懸命に生き、それに耐えるべく自らを作り替え、しかもカプサイシンのような化学成分(人間にとって有用なものが多い)を、一種当たり平均して4.7個も作り出してきたのです。植物の生存戦略は、我々が考えている以上にしたたかで、すごく賢いのです。
ウクライナやガザ、そして最近のイランへの強国による無差別な戦争を目の当たりにすると、人間はその出現以来、何も変わることができていないと、つくづく虚しさを感じます。もっと植物から、忍耐力とか生きるための知恵を、学ぶべきではないでしょうか。
