2025年12月18日木曜日

へどろから見た持続可能な世界ー精白食品

 日本の病院の7割が赤字経営に陥っているそうです。ある大きな病院の院長さんが、「雨だれを直したいが、お金が無くてできない」とテレビで嘆いておられました。世界に冠たる医療制度を擁する日本の病院が、そんな状態にあるとはビックリです。政府も補正予算で緊急支援を考えているようですが、少子高齢化の進む中、いまの医療体制を維持するのは簡単ではないようです。これからはセルフメディケーション(軽度な体の不調は自分で手当てする)、各自が自らの健康に責任を持つ必要性に迫られそうです。

 

 現代人は洋の東西を問わず、あらゆるものを精白して食べています。すると下表から分かるようにビタミン、ミネラル、食物繊維がそぎ落とされ、糖質の濃縮した食品に変わります。これがいかに危険な食べ物であるかは江戸患い(脚気)からも知ることができます。白米を食べるようになった江戸時代に流行った病で、将軍を始め多くの人が命を落としたのです。

精白で失われる栄養素

脚気については明治になってもその原因が分からず、軍隊では大勢の兵士が脚気になって死亡することから、大問題であったようです。海軍では軍医高木兼寛が主張する「栄養の偏り」(白米中心説)を取り入れ、実験的に食事を麦飯、野菜、肉に切り替えたところ、1884年の遠洋航海において脚気の患者がほとんど発生せず、そこで麦飯を食事に正式採用し、脚気の撲滅に成功したと言います。

 一方の陸軍は軍医森鴎外の「細菌感染症」説を採用し、白米中心の食事を維持しましたが、日清戦争では脚気による死者が、戦死者をはるかに上回る結果になったと言います。精白食がいかに健康に悪いかが分かります。


 野菜にはこの精白によって失われるビタミン、ミネラル、食物繊維が多い上に、抗酸化物質のファイトケミカルが豊富です。前田浩熊本大名誉教授は、「旬の野菜を数種類煮詰めたスープを毎日飲んでおれば、がんもウイルスも怖くない」と言っておられます。政府は生活習慣病対策として、11350グラム以上の野菜の摂取を奨励しています、しかし350グラムというのは結構な量で、現実の日本の成人の摂取量は250グラムほどだそうです。それほど現代人は栄養失調になっているとも言えます。意識して野菜を食べましょう。