2025年7月28日月曜日

へどろから見た持続可能な世界ー小学校での環境授業

 阿蘇海の環境について、吉津小学校で授業を行ってきました(6/27。これまで5年生とか4年生が相手であったのが、今回は3年生と聞き、最初はビビりました。3年生に環境の話なんて分かるだろうかと思ったのです。

 しかし先生からクラスには阿蘇海の生き物を調べる班と環境を考える班とがあり、調査で揃って阿蘇海に出かけたとき、いないと思っていた魚を見つけ大騒ぎになった話や、私の話をみなが楽しみにしていると聞き、決心がつきました。


教室に行くと、これまで67人が当たり前だったクラスに児童が15人もいて、揃って待ち構えている姿にまず圧倒されました。そして先生が「これまで調べたことで分からないことを聞いてみましょう」というと、堰を切ったように次々と手が上がり、一生懸命に質問してくるのです。その迫力には本当に圧倒されました。

                   授業風景

もちろん質問の内容は幼稚なものが多いのですが、なぜそうしたことを聞くのか、どう説明したら理解してもらえるかなどを考えながら答えていると、声はかすれ頭はふらつき、本当に疲れました。

質問に「へどろをやっつける土壌微生物を元気にするにはどうしたらいいか?」というのがあり、これにはびっくりしました。どうやって土壌微生物というものを知ったのか、そもそも土壌微生物をイメージできるのかなど、考えさせられたからです。そこで土壌微生物はどこにでもいること、我々の手、足、顔や体の中にもいっぱいいること、我々が生きている間は好意的に働き、死ぬと我々の体を分解して土に還してくれること、土壌微生物も生き物なので元気にするには水や空気が必要なことなどを説明しました。

授業後、私の話を分かってくれたか心配でしたが、先生からは「説明内容はおおよそ理解していると思う」と言って頂き、ホッとしました。


今回の授業で驚いたのは、児童が手に持つタブレットの内容が黒板横のスクリーンに映しだされることです。こちらが見せたいものも、先生がタブレットを近づけるとスクリーンに大写しされ、子供たちは席にいながら観察できるのです。授業風景もすっかり近代化しているのですね!



2025年7月7日月曜日

へどろから見た持続可能な世界ー精白した食べ物

 今回の「令和の米騒動」では、小泉農水大臣による思い切った備蓄米の放出が行われました。しかしお米の流通にはかなりの時間がかかり、値段もなかなか下がらず、コメ不足の問題はかなり深刻なようです。背景には政府の減反政策があるようですが、温暖化による影響もかなり大きいといわれます。


この騒動で「エッ!」と思ったのは、お米の流通に「精米作業」が非常に大きなネックになっていることでした。家に精米機があったり、アチコチに精米所があるなか、なぜ玄米のまま放出しないのだろうと思ったりしましたが、今はそれほど「コメ=精白」が当たり前になっているのでしょう。しかし精白するとお米が有する栄養素(ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカルなど)はほとんどが失われてしまいます。食物繊維は血糖値の急上昇を抑えてくれる大切な栄養素です。それを取り除いておいて、一方で糖質制限をするのも可笑しな話です。


ところで豊臣秀吉の死因は「脚気」だったというのが、最近の新説だそうです。脚気はビタミンB1の不足から発症する病気で、「江戸患い」としても有名です。第14代将軍徳川家茂は脚気が原因で21歳という若さで亡くなっています。白米中心の食生活が引き起した病気です。秀吉といえば足軽から身を立てた人物で、前半生は玄米や雑穀を食べていたはずです。しかし天下を統一して地位と名声を手に入れると、生活がすっかり貴族化し、当時としては非常に贅沢な白米ばかりを食べるようになり、それが原因で脚気になったというのです。


晩年の秀吉といえば下痢や失禁に悩まされていたようですが、これらはビタミンB1の欠乏から起こりえる症状だそうです。また、ビタミンB1の欠乏状態が長く続くと脳が委縮する脳症にかかる場合があり、それが原因で精神が錯乱状態になり、突如、身内の秀次や千利休に切腹を命じたり、朝鮮出兵といった暴挙に出たりしたというのも、可能性として十分にあり得る話だそうです*


いずれにしても精白した食べ物はあまり身体に良くなく、とくに育ち盛りの子供の場合は学業にも影響します。しっかり野菜を食べて栄養を補うようにしましょう。


*  一石英一郎;すごい野菜の話、飛鳥新社、2024