2025年3月27日木曜日

へどろから見た持続可能な世界ー土

 私たちが花や野菜を育てる「土」は、あらゆる所に当たり前に存在しますが、土って何かご存じでしょうか?

 土は岩石や石ころ、砂とは違います。土には植物が生えますが岩や砂の上に植物は育ちません。土は岩石が単に細かくなっただけのものではなく、一度雨水に溶け、化学変化をして新たに生まれた「粘土」を主成分にできています。肥料成分を保持し、土壌微生物が棲みやすい性質をもっています。しかし粘土だけでも土とは呼びません。土の最大の特徴は生き物の「死がい」でできた腐植(黒い物質)を含んでいることなのです。だから土は黒っぽい色をしており、生物が存在するこの地球上にしか存在しないものなのです。

粘土の生成

地球上のあらゆる生き物はこの土を介して命の循環をしています。腐植には窒素やリンなどの栄養素が含まれており、その養分を吸収して植物が成長します。やがて植物は枯れ、枯死した植物や落ち葉、植物を食べた動物のフンや死がいが土の上に積み重なり、それを土の中の土壌微生物が分解して腐植を作ります。それを養分にしてまた植物が成長します。

生物が海から陸に上陸したのは5億年前です。以来、上記循環が脈々と繰り返され、土は作られてきたのです。このようにして作られた土は、地球の表層にわずか1メートル厚ほどしか存在せず、その厚みの比率は私たちの体を覆う皮膚の比率の1万分の1ほどで、極めて薄く、貴重なものなのです。

腐植の多い肥沃な土に恵まれたメソポタミア、エジプト、インダス、黄河地域では、地域を流れる大河から水を引いて豊かな古代文明が栄えました。しかしいずれも乾燥地域にあり、塩類の集積などで土を失い、文明は滅びました。現代は化学肥料、重機を使った大規模農業により土を酷使し、腐植を失って砂漠化が起きています。地下水の過剰汲み上げによって塩類の集積も起きており、土を守らないと人類は滅亡を迎えることになります。

私達が発酵材に使っているゼオライトは非常に優れた粘土です。生ごみは植物・動物の死がいです。両者を組み合わせた「エコの環」は、理想的な持続が可能な農法と言えます。

* ニュートン、3月号(2025)