2017年6月27日火曜日

楽市楽座(その2)

 以前、宮津市由良で月に一度開かれている「楽市楽座」について書きました。


「ブルーシー阿蘇」と「すゞ菜」のコラボのコーナー
その後も家内と小西さん(すゞ菜の女将)とで何度か出かけていますが、先日の日曜日にも「エコの環」野菜と「韓国海苔巻ききんぱ」(「エコの環」野菜のキュウリ、岡ヒジキ入り)、ごはんのお供に最高の「えのはの天竺煎り」、「青じその佃煮」を持って出かけました。

 きんぱは珍しいこともあり、あっという間に完売したそうです。野菜はこれまでの経験から100円均一にしたのですが、売れ行きが悪くダメかと店じまいを考えていた終了間際になって、ワッと売れたそうです。それも若い人が「エコの環」野菜に関心を示してくれ、とてもうれしかったようです。
店内の様子

 この楽市楽座、草木染めの衣料品を始め、喫茶コーナー、パスタ、ラーメン、スウィーツ、それに整体などがところ狭しと並び、また、ミニコンサートなども行われ、いろんな所から人が集まるようです。野菜に関心を示してくれた若い人は舞鶴から来ておられ、また、一緒にお寿司、おこわを販売しておられた方は大宮町から来ておられたとか。また、あるときは偶然にも私の出身地、岐阜市加納というところから、こちらへ観光に来たお客もいたとかで、思わぬ出会い、会話があるようです。まさに楽市楽座の醍醐味であり、これからもいろんな出会いを期待して、出店を続けていきたいと考えています。
ミニコンサート




2017年6月8日木曜日

トマトの発芽

 2週間ほど前にまいたトマトのタネが見事に発芽しました。タネをまけば発芽するだろうと言われればそれまでですが、実はこのタネは固定種のタネで育てたトマトから私が採取したもので、なんとなくフニャフニャと柔らかい感じのタネで、こんなものが発芽するだろうかと不安視していただけに、感動が大きいのです。これからの成長を楽しみに見守りたいと思っています。
発芽したトマトのタネ


 タネには固定種のタネとF1のタネとがあります。固定種のタネとはある地域で何世代にもわたって育てられ、自家採取を繰り返すことで、その土地の環境に適応した遺伝的に安定したタネをいいます。
 一方、F1のタネとは「一代雑種」、「交配種」と呼ばれる一代限りの雑種(ハイブリッド)で、系統が遠く離れたタネを人工的に掛け合わせると、その雑種の一代目には「雑種強勢」という力が働いて(メンデルの法則)、生育が早まったり収量が増大することから、こうした原理を応用して人工的に作られたものです。ただタネを取っても親と同じ姿かたちの野菜は出来ず、メチャクチャな異品種になるため、タネは毎回種苗会社から買う必要があります。いま世の中に流通している野菜や花のタネはほとんどがこのF1のタネです。

 なぜこうしたタネが出回るようになったかの第一の理由は、野菜にも工業製品のような均質性が求められるようになったからです。大根でも太さ8cm、長さ38cmというように大きさが揃っていると箱に詰めやすく、運搬コストが下がり、売値も1本100円と同一価格に決めやすいのです。つまり農産物にも工業製品と同様、大量生産・大量消費、経済効率最優先の仕組みが必要になってきたからです。
 「三浦大根」という有名な大根も、いまは全部がF1だそうです。固定種なら収穫に4ヶ月かかり、大きさはバラバラ、収穫時期もまちまちなのに対し、F1なら2ヶ月半で大きさの揃った大根が一斉に収穫できるからです。これでは固定種の大根がいかにきめが細かいだとか、煮崩れしない、煮るほど甘みが増すといっても太刀打ちできないのです。また、外食産業も機械調理に適した、味よりも大きさが均一な野菜を求めるようになっているからです。

 F1のタネの作り方は種苗メーカーの秘密(ブラックボックス)で、全く分からないのが現状だそうです。自然界のタネの間には生殖ができない「種の壁」というのがありますが、こうした壁を破ることも当然可能であり、こうした子孫を残せない野菜ばかりを食べていて、はたして私たち人類は大丈夫なのだろうかという疑問が沸いてきます。
 グルテン不耐症でも触れましたが、いまアメリカ、カナダで育てられている小麦は100%遺伝子組み換えのものです。その小麦のグルテンは自然界に存在するグルテンとは構造的に異なり、人によってはこうした小麦に対し身体が苛烈な拒絶反応を示すことがわかっているからです。

 私たちが進める「エコの環」は収益を追い求める農業ではありません。高齢者に生きがいを与え、地域の健康づくりに少しでもお役に立ちたいと願う農業です。そうしたことからできるだけ固定種のタネを買い求め、野菜作りを行っていますが、肝心のタネ取りがおろそかになっています。今回発芽したトマトが無事に果実をつけるように育ってくれれば、自信もつき、この土地に根差した固定種を育てる弾みになります。そうしたことからも成長を楽しみにしています。

野口 勲;”タネが危ない”、日本経済新聞出版社、2013