先日テレビで、「セルフメディケーション(自己治療)を知っていますか」という番組をやっていました。健康には強い関心があり、期待して見たのですが、今年の1/1から始まった買薬に対する新たな税制を紹介したものでした。軽い病気やケガをしたときに病院で医師の治療を受けるのでなく、自ら買薬などで治療をした場合、指定された医薬品の購入額が12,000円を超えると、その超過分が所得控除できるようになったというのです。従来の医療費控除(100,000円を超える分が所得控除)だけに比べれば、あまり病院に行かず市販薬だけで済ませている人たちには新たな恩恵といえますが、年々上昇し続ける医療費を少しでも削減したい国の意図が見て取れます。
ところでいまは新聞、テレビ、ダイレクトメールなどによる薬やサプリメントの宣伝が凄まじく、どれも病気がすっかり治るように訴えています。しかし薬はいってみれば道路に穴が開いたとき、車や人が通れるように応急的に穴を塞ぐ鉄板のようなもので、薬が穴を埋めるわけではありません。穴を埋めるのは身体に備わった治癒力であり、それを高めるように病気の原因となる環境とか生活習慣(生き様)を改め、摂生、養生することこそが「自己治療」ではないかと思うのですが。
免疫学の世界的権威である阿保先生によると、「すべての病気は激しいストレスによる交感神経の緊張で血流が悪くなり、身体が低体温、低酸素になった結果」だそうです。したがって「原因となるストレスを排除し、身体をよく温め、リラックスして副交感神経を優位にして血流をよくすれば、すべての病気は治る」といっておられます。薬(化学物質)は身体にとって異物であり、却って交感神経を緊張させて血流を悪くし、病気の治りを遅らせたり、副作用で他の病気の原因になったりするそうです。
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食事療法の効果 |
つい2~3週間前、麻生財務大臣が国会の委員会で、「喫煙者は減っているが肺がんの患者数は間違いなく増えている。喫煙と肺がん、そんなの関係あんの?」といっていましたが、阿保先生によると肺がんが増えているのは薬害によるものだそうです。こうした薬害は非常に多く、例えばコレステロール降下剤(スタチン系)には筋肉を損傷する副作用があり、筋肉量の少ないお年寄りはゆっくりその副作用が進行するため、10~15年経ったところで歩けなくなるのを年のせいと思い勝ちだが、スタチン系の薬の6~7割は日本で消費されており、日本に寝たきり老人が多いのは、コレステロール降下剤の影響が大きいと述べておられます。
右の図はがんの三大療法(手術・抗がん剤・放射線)を受け、余命数ヶ月といわれた晩期/末期がんの患者さん110人に、食事療法を行った結果です。食事は①低塩分で動物性の脂肪とタンパク質を避ける、②全粒穀物、野菜、果物、海藻を多くとるといったものだったそうです。これは食事という生活習慣を改めることで身体の治癒力を高めた例ですが、その効果は非常に大きいことが分かります。
病気を治すのは結局は「自らの身体の治癒力」であり、私もよほどのことでない限り、薬は飲まないようにしています。
阿保 徹;阿保徹のやさしい解体新書、実業之日本社、2014
済陽高穂;けんこう296、全日本健康自然食品協会(NPO全健協)