2024年11月12日火曜日

へどろから見た持続可能な世界ー潰瘍性大腸炎

 西国三十三ヶ所めぐりを行っている会社時代の同僚が、終盤の成相寺、松尾寺を訪ねるついでに遠路会いに来てくれました。久々に旧交を温めることができましたが、旧友とは何十年ぶりに会っても、まるで昨日会っていたかのような雰囲気にすぐなるのが不思議です。「エコの環」野菜の話になったとき、彼が思わぬことを話してくれました。


 彼は退職直前のころ潰瘍性大腸炎を患ったそうです。この病気は故安倍首相が悪化を理由に辞任されたほどの難病の一つで、大腸の粘膜に炎症が起き、血便や下痢、腹痛を引き起こす原因不明の病気です。彼も指定難病患者に認定され、主に飲み薬、座薬などによる治療を行っていたそうです。そんなあるとき、たまたま私の「具たくさんみそ汁」についてのブログを読み、また奥さんの新聞、テレビからの情報もあり、具たくさんみそ汁を飲み始めたそうです。すると下痢、便秘が治まって毎日いい形のお通じがあるようになり、また、内視鏡の検査も経過がよくなり、いまは指定患者から外れたということでした。

具たくさんみそ汁

 潰瘍性大腸炎は国が指定する難病です。もちろんみそ汁だけで治るわけがありません。薬により病がある程度治癒したところで、たまたま具たくさんみそ汁を飲み始め、それが幸いして快方に向かったのではと考えられます。ただ、彼は具たくさんみそ汁のお陰だと信じ切っていると語っていました。


 ところでセルフメディケーションという言葉を最近よく耳にします。「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」ことだそうです。医療費が国の財政を圧迫し、少子高齢化が進み、医療や介護を支える人たちも減少が見込まれるなか、これまでのように「病気になったら医者に行けばいい」といった安易な考えが許されなくなってきているのです。「自分の身体は自分で守る」時代に来ているのです。そのとき、具たくさんみそ汁は非常に手っ取り早い健康食と言えるかもしれません。


 みそ汁などの煮物(ファイトケミカルの摂取)、あるいはサラダなどの生食(酵素の摂取)で、1日350グラム以上の野菜を食べましょう。



2024年10月28日月曜日

へどろから見た持続可能な世界ー温暖化対策

「暑い寒いも彼岸まで」、今年の夏の異常な暑さも、さすがに彼岸を過ぎると少し収まったように感じます。


東京湾のサンゴ礁
 今年の夏は統計を取り始めて以来、昨年と並んで最も暑く、気象庁も「異常気象で温暖化の影響がある」と発表しています。海水温度の上昇によりこれまで九州地域で取れていた魚が、中国、北陸地域で水揚げされるようになったり、東京湾にサンゴが大発生して南方系の色鮮やかな魚が泳ぎまわるなど、温暖化による環境変化が目につくようになってきました。「エコの環」野菜も「大きく育たない」、「歪なものができやすい」、「水が足りないとすぐ枯れたり萎んだりする」など、栽培者の苦労話をよく耳にするようになりました。野菜にも魚と同様に栽培地の北上化が起きるのではと心配しています。 


 ところで農業とは、はびこる雑草の中で人間にとって望ましい作物を育てる営みといえます。その対策として人類は土を耕して雑草の成長を抑え、目的とする作物の成長を促してきました。しかし耕して土の中に空気を入れると、土の中に蓄えられた炭素を空気中に放出することになり、農業がこれまでに放出したCO2の量は、化石燃料が放出した量の2倍にもなるといいます。環境に優しいと思われる農業が、実は温室効果ガスの大きな排出源の一つになっているのです。


 4パーミル(0.4%)イニシアティブという運動があります。有機物(炭素の化合物)を土に埋め、地表の土の炭素量を年に0.4%上昇させれば、現在排出されている化石燃料からの炭素量を相殺できるというものです。私たちは生ごみという有機物をたい肥にして土に還していますが、これがどの程度の炭素量を上昇させることになるのか、プランターを使って実験してみました。たい肥作りの際に発生するふるい上を土に混ぜ、10日に1回土を攪拌しながら3か月後の土を分析してみました。その結果は空気を十分に送り込んだにも関わらず、0.73%も炭素量が増加していました。1回きりの実験で、結果をそのまま鵜吞みにはできませんが、「エコの環」野菜の栽培は、温暖化対策になる可能性があるといえそうです。

 

プランター実験








2024年10月2日水曜日

へどろから見た持続可能な世界ー健康寿命

日本は平均寿命で世界一の長寿国を誇っていますが、介護を受けず自立して元気に生活できる健康寿命は、それより10年ほど短かいことを以前にお伝えしました。

先日のテレビ報道によると、いま世界ではこの健康寿命を延ばそうと、賞金レースを含めて熾烈な戦いが繰り広げられているそうです。その背景には世界的に進む高齢化の問題があるようです。


研究には3つの分野があるそうです。その1つは「老化細胞」を取り除くものです。私たちの体内で細胞は常に分裂を繰り返していますが、分裂が止まり活動を停止したのが老化細胞です。年齢と共に体内に蓄積され、それが分泌する炎症性物質はがんや動脈硬化、シワなど、加齢性の疾患や症状の原因になるそうです。

老化細胞

ハダカデバネズミの寿命は40年ほどで、ハツカネズミの23年に比べ異例的に長寿だそうです。これは老化細胞を自動的に消滅させる機能を持っているからで、このハダカデバネズミの機能を老化細胞の除去に応用しようとするのが1つ目の研究です。 


2つ目はビタミンに似た「NMN」という物質を使って老化を遅らせようとする研究です。NMNはもともとあらゆる生物の体内に存在するそうですが、加齢と共にその量が減少し臓器の機能低下につながるため、人為的に補充して臓器の機能を回復させ、老化を抑えようとするものです。マウスに与えると高齢になっても活動が衰えず、アメリカではサプリメントの商品化がすでに進められているそうです。


3つ目は細胞を再活性化させる研究です。6年前に作られたスタートアップ企業が開発した薬を、マウスに移植したヒトの皮膚細胞に投与すると、52歳の皮膚が32歳ほどの皮膚に若返ったそうです。

 

健康寿命を延ばすことは人類の夢です。しかし一方で平均寿命もまた延び、イタチごっこになるような気もします。

健康寿命の長い百寿者を調べると、①認知機能が高い、②心臓・腎臓など循環器系の老化が遅い、③フレイル(歩く機能の衰え)になりにくいという共通点があり、この3つが健康長寿の秘訣だそうです。これらは遺伝というよりほとんど生活習慣に基づくもので、日ごろの食事、運動、そして他人との会話が大切なようです。


1350グラム以上の野菜摂取を生活習慣にしましょう。



2024年9月6日金曜日

へどろから見た持続可能な世界ーこふんマルシェ

野田川町の国道176号線沿いに立派な古墳公園があります。これまであまり気にすることもなく通り過ぎていましたが、ここの資料館で月に1回、「こふんマルシェ」が行われていることを知り、出店してみることにしました(8/24)。

古墳公園

当日は8店舗の出店でしたが資料館の中には食堂もあり、スペース的にはかなり込み合った感じでした。しかし来客数は思ったほどもなく、それが適度の込み具合を保っている感じでした。出店の中には整体師の方や、フェイシャルケア関係の方もおられましたが、そこは常に人がいて、それが目的のお客さんが多いのかなと思いました。


私たちが持ち込んだ野菜はなす、ピーマン、オクラ、じゃがいも、玉ねぎ、かぼちゃなど、あまり人を引き付けるような野菜はなかったのですが、しかし「生ごみ発酵肥料で育てた野菜ですよ」と呼びかけると、遠目に見ていた人も必ず関心を示し、またOさんの出してくれたブルーベリーに引かれるように近寄ってきてくれ、持ち込んだ野菜の89割を売りつくすことができました。「SDGsだ」、「エコだ」と言わなくても、とくに女性の方は生ごみを捨てることに、「勿体なさ」のようなものを感じておられるのかなと思いました。

館内の様子

ところで当日の外はいたたまれないほどの猛暑でした。しかし来客の1割近くは古墳の見学客でした。「こんな暑い中で見学しなくても」とつい思ったりしましたが、老夫婦とか子連れの家族とか、明らかにマルシェが目的でない方がチケットを買い求めに来られ、チケット売り場の横に出店していた我々は、その都度、食堂で働いている担当者を呼びにいくハメになりました。関心・興味があれば暑さなどまったく関係ないのですね!



2024年8月14日水曜日

へどろから見た持続可能な世界ーからだの細菌

 京都府立医大附属北部医療センター(与謝の海病院)主催の府民公開講座「からだの細菌をコントロールする」があり(6/23)、聴講してきました。


 最初の講演は「病院でのお口のケア」でした。最近、地震とか洪水などで多くの人が避難生活を余儀なくされる場合、よく口腔ケアの必要性が叫ばれたりします。しかしなぜ口腔ケアなのかよく知りませんでした。

「口」は食べ物を噛んで飲み込むことで栄養を摂るための重要な器官です。しかし口の中には約1,000億個もの細菌が存在していて、それが体内に入ると病気を引き起こすことがあるため、口の中を清浄にして細菌数を減らすことは非常に大切なのだそうです。とくに老人は口の中が乾きやすく細菌数が増えやすいので、誤嚥性肺炎などを防ぐ意味でも口腔ケアは非常に大切だといいます。病院ではがんなどで化学療法、放射線治療を受ける患者さんとか、手術を受ける患者さんには術前に口腔ケアを行い、合併症の予防、病気の早期回復を図っているそうです。


次の講演は「人生100年時代を生きる」でした。日本人の平均寿命(2019年)は男性81.41歳(世界4位)、女性87.45歳(世界1位)で、日本は世界一の長寿国を誇っています。しかし健康寿命(医療・介護に依存することなく自立して生活できる期間)はそれぞれ72.68歳、75.38歳で男性で8.7年間、女性で12.1年間は、日常生活に制限のある不健康な期間を過ごしています。そこでWell-beingな生き方を目指す必要があります。Well-beingとは幸福、健康といった意味ですが、ここでは「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも満たされた状態」で生きることを意味します。

では人生100年時代のWell-beingを目指した対策とはどんなものでしょうか? それにはまず健康に生きることが大切で、おなか(腸)の健康が大事だそうです。ヒトの腸には100兆個もの細菌が棲んでいて、私たちはそれらと生命共同体の関係にあるからです。腸を元気にするには食物繊維の多い植物ベースの日本食がよく、野菜や果物を多く食べることが推奨されるそうです。

私たちの作る「エコの環」野菜はビタミン・ミネラルも豊富であり、Well-beingな生活を目指すには最適といえそうです。


因みに京丹後市には100歳以上の“百寿者”が全国平均の3倍以上も住んでおられるそうです。そこで「第1回世界長寿サミット」が来年の6/156/19にかけて京丹後市で開かれるそうです。



2024年7月12日金曜日

へどろから見た持続可能な世界ー農業体験ツアー

 3回目となる農業体験ツアーを6月30日(日)に実施しました。プログラムには須津地区以外からの参加者向けに大師山登山などによるまち案内、前回のツアー(3/31)で植えたじゃがいもの収穫体験、収穫したじゃがいもを使った料理体験、懇親会での試食などを組み込み、参加者を募集しました。対して5名の参加者と前回参加者から2名の参加がありました。

 ただ、残念ながら前夜から雨がかなり激しく降り始め、当日は晴れ間も現れたりしましたが足元が悪く、山登りの中止、畑作業の大幅削減などを余儀なくされました。

「エコの環」事業の紹介

生ごみ処理法の紹介

畑作業の説明




料理体験で作った料理などでの懇親会


しかし参加者には舞鶴や大阪など遠方から来て下さった方たちもいて、とくに嬉しかったのは地元の高校生2人が、試験期間中にも関わらず来てくれたことです。ツアーの目的に将来を担う若者たちに「エコの環」の意義を伝えたいとの思いがあるからで、高校生にはSDGsに取り組むきっかけにして欲しいと思いました。大阪からの参加者はたまたま工場が宮津にもあるとかで、会社の事業に組み込めないか考えておられるようでした。何か新しい展開があるといいですね!




2024年6月11日火曜日

へどろからの見た持続可能な世界ー「エコの環」

私たちの「エコの環」事業も開始してから12年が経ちました。阿蘇海のへどろから合成が可能なゼオライトの用途として、生ごみの発酵材に利用し、出来た有機肥料で無農薬野菜を育て、それを地域で販売する循環システムを作ろうとする活動です。

始めたころは生ごみで野菜が育てばいいくらいの気持ちで、何も分からないところからの出発でしたが、年数にして小学校、中学校、高校まで通うに匹敵する期間の中で、多くのことを学び、多くのことに気づき、いまは目指すべき全体象もかなり明確となり、そちらに向かって歩みだそうとしている大学受験生の心境です。

「エコの環」事業の最大の特徴は永遠に持続が可能で、「ごみ」が発生しないことですSDGsNo.12。また生ごみ(有機物)を畑に入れることは土に腐植やミネラル分を補給し、陸の豊かさを守りSDGsNo.15、栄養豊富な野菜は健康づくりSDGsNo.3)に寄与します。腐植による炭素の固定化は温暖化対策にもなりますSDGsNo.13。そしてゼオライトをへどろから合成することは海の豊かさを守ることになりますSDGsNo.14。つまり「エコの環」事業はSDGs5つの開発目標達成に大きく貢献できるのです。


 これまで「エコの環」は高齢者事業として進めてきましたが、SDGsは次世代を担う若者たちに大きく関わる課題であり、これからはこの活動を主に若者たちに伝え、彼らの力を育てていきたいと考えています。昨年から始めた「農業体験ツアー」もそうしたことを目指しており、若者による「エコの環」事業を展開していきたいと考えています。

因みに「エコの環」事業のこれまでの実績は、生ごみ処理量;69.4トン(10トンダンプ7台分)、野菜販売額:924万円です。これより生ごみは1キロ当たり133円の価値を有することが分かりますが、生産者が消費したり、販売時のロスなどを考えると、1キロ当たり250円ほどの価値は十分にあると考えます。生ごみを燃やすのは勿体ないです。