へどろから見た持続可能な世界ー人工肉
マクドナルドが植物から作った「人工肉」のハンバーガーをアメリカで販売し始めたことが、昨年、大きなニュースになりました。実はいま世界では植物由来の代替肉に大きな関心が集まっています。その理由には気候変動などの環境問題や健康志向があるようです。
スーパーなどで売られている肉を作るには、家畜の放牧用にいま地球の陸地の26%が使われ、その飼料を生産するのに世界中の農地の75~80%が使われているといいます。そしてその放牧地や農地を確保するため、いまも大規模な森林伐採が世界的に進んでいるのです。
この大規模な森林破壊や家畜の排せつ物などが原因で、いまや畜産業が排出する温室効果ガスは全体の14%を占め、それは地球上のすべての交通手段(車、トラック、飛行機、船舶、列車)が排出する量に匹敵するほどなのです。
一方、身体づくりをおろそかにできないスポーツの世界でも、肉や魚をあえて取らない「菜食」が注目されています。代表的な菜食アスリートにテニスのジョコビッチやかつての陸上のスター、カール・ルイスなどがいます。菜食の方が疲労回復が早く、余力をもって試合に臨めるからなのだそうです。
こんな話があります。明治政府の招へいでドイツ医学を伝授するため日本に来たベルツ氏が、あるとき二人の人力車夫に3週間、毎日40キロを走らせたそうです。車夫の食事はコメ、麦、粟、ジャガイモなど低たんぱく、低脂肪の粗食だったので、ベルツ氏は肉を食べさせたそうです。すると二人とも疲労がはなはだしく、走破が不能になったといいます。そこで食事をもとの粗食に戻したところ元通りに走れるようになり、一見、粗食に見える日本食の威力にベルツ氏は脱帽したそうです。
「肉を食べる人は長生きする」(柴田博)という本が出版される一方で「長生きしたけりゃ肉は食べるな」(若杉友子)という本が出版され、一体、どちらを信じるべきか迷いますが、世界保健機関(WHO)は「ベーコンやソーセージなどの加工肉にはタバコと同じ発がんリスクがあり、牛や豚、鶏などの肉もおそらく発がん性がある」と指摘しており(2015)、世界的にいま、若者を中心に菜食主義者が増えつつあるといいます。
私たちは「エコの環」事業を通して「野菜の力」をお伝えしていますが、大地に根を張り、地球の岩石成分を直接吸収する植物こそが、健康に生きる上での一番のクスリだと思います。