2016年7月18日月曜日

酸性体質

 私たちの体温は常に36度~37度、わずか1度の幅の中に維持されています。この温度幅をはずれると病気になります。血液のpH(ぺーハー)も弱アルカリ性の7.35~7.45という非常に狭い範囲に維持され、この範囲を外れると命の危険にさらされると言います。これは大きく変動する外部環境にさらされて生きるなか、私たちの身体が内部環境を常に生存に適した状態に保持しようとする働きによるもので、生体恒常性(ホメオスタシス)と呼ばれます。体液も7.2~7.3という弱アルカリ性に保持されていますが、生活習慣によりかなり酸性側に傾くといわれ、最近はこうした酸性体質の人が増えているそうです。

生体恒常性
食べ物は消化吸収される過程で、未消化のものや新陳代謝によってできる老廃物は糞尿や汗となって排せつされ、また、炭酸ガスとなって呼気として排せつされます。このとき体内にP(りん)、S(硫黄)、Cl(塩素)が多く残れば、これらは酸性イオンですから体液を酸性にします。特にP(りん)の影響が大きいそうです。一方、Ca(カルシウム)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、K(カリウム)が多いと、体液を弱アルカリ性にします。食品では肉、牛乳、魚、卵はP(りん)、S(硫黄)が多いので体液を酸性にしやすく、野菜、果物、海藻はK(カリウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)が多いので、体液を弱アルカリにしやすいといわれます。
 体液は食べ物だけでなく、例えば肉体労働によってもエネルギーを消費するときに乳酸(疲労素)が作られ、これが体液を酸性にします。頭脳労働や騒音、悪臭といったストレス、不安とか心配事のストレスによっても、ATPという生体エネルギーが非常に多く消費され、それが体液を酸性化するといいます。たばこやアルコール、それにチョコレートやケーキなど砂糖の多い食べ物も体液を酸性化しますが、同時にビタミンBやCの異常消費、またCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Na(ナトリウム)などミネラルの溶脱を引き起こすことが知られています。

 体液がこのように酸性化して陰性になると、考え方が消極的で引っ込み思案となり、行動も鈍く、物事を悪いように悪いように考えるようになるといいます。逆に弱アルカリ性で陽性になると何事も積極的となり、行動も早く、物事の判断も良い方に、また善意に解釈するようになるそうです。病気に対する抵抗性も酸性になると体内にウィルスやバクテリアが増殖しやすくなり、糖尿病、肥満、がん、アレルギーなどの慢性病にかかりやすくなるといいます。
 こうした傾向を知ると極力アルカリ食品だけを食べ、あるいはそれを補うサプリメントを飲んだらよいと考えがちですが、身体は生体恒常性を保つため必死に体内バランスをとっているのであり、偏った食事、サプリメントの摂取はかえって身体に負担をかけ、歪を作ることが考えられます。やはり食事はバランスよく、できるだけ農薬、食品添加物などのないものを摂取し、その上で常にストレス解消を図ることが大切と言えそうです。

中嶋常允;土といのち、地湧社、1997

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム