2016年5月9日月曜日

加湿器事件

 韓国で加湿器の水に殺菌剤を混ぜて使用し、それが原因で妊産婦や新生児・その母親らが肺に損傷を受け、100人以上が死亡、1,500人以上の犠牲者が出ているとテレビが報道しています。韓国は湿度が低く加湿器が広く使用されているようですが、わが国でもエアコンを使うため加湿器はいまや決して珍しいものではなく、私たちも昨年亡くなった家内の母親のために加湿器を買い、枕元に置いてやっていただけに他人ごとには思えません。韓国の殺菌剤メーカーは「加湿器は掃除をしないと細菌が繁殖しやすく、細菌を吸う危険がある」といって殺菌剤を販売していたようですが、私たちも加湿器を買ったとき、「使用時はこれを水に混ぜるとよいです」と殺菌剤を勧められていたら、なんの疑問も抱かず殺菌剤を使っていたかもしれません。
殺菌剤メーカーの謝罪会見

 それにしてもいまの私たちの暮らしの中には、殺菌剤・抗菌剤といったものが溢れ、私たちも安易にそうした化学薬品に頼る生活をしているように感じます。「菌」というと一般的に悪いもの、汚いものといったイメージがあります。しかし私たちは莫大な数の菌と共生し、その力を借りて生きていることを知らねばなりません。最も多いのは腸内で100兆個以上もの細菌が存在し、他にも口腔内、皮膚表面などに棲息していて、皮膚には1兆個以上の菌が存在するといわれます。これら膨大な数の常在菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌などに分類されますが、それらが常にバランスよく存在することが、健康的に生きていく上でとても大切なのです。今回の韓国の例は異常ですが、いくら殺菌剤・抗菌剤の使用量が安全な許容範囲内であったとしても、それらを使うことは常在菌の棲息バランスを乱すことは間違いなく、安易にそうした化学薬品を用いることには注意が必要といえます。生ごみの発酵処理をしていると、抗菌剤・防腐剤などが多く入った食品は明らかに分解が遅く、微生物に大きな影響を及ぼしていることがよく分かります。

 こうした化学薬品に接すると、私たちの体内には「活性酸素」が発生することも知っておく必要があります。過剰な活性酸素は身体を体内からサビつかせ、ガン・生活習慣病・認知症などの誘因になるといわれるからです。私たちはよく布団を消毒を兼ねて太陽に当て乾燥させますが、これは布団の中の悪玉菌が太陽の紫外線を浴びると、体内に活性酸素が発生し自滅するからです。活性酸素の威力はこれほどに大きいのです。安易に殺菌剤・抗菌剤に頼ることは自らを滅ぼすことにもつながりかねません。

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