2017年5月15日月曜日

高齢者のがん治療

 先日の新聞に高齢者のがん治療について、抗がん剤治療が延命にどれほど有効か、集団検診についてもどの年齢まで受診を推奨するか、厚労省が新たな判断基準を作り、検討を始めるという記事が出ていました。
 この背景には国立がんセンターが公表した、抗がん剤を使用した場合としなかった場合の延命効果に、75歳以上では大きな差が出なかったという調査結果もあるようです。
 
 がん患者のうち65歳以上の高齢者が占める割合は、7割にもなるそうです。高齢者の人口が2025年には3割を超すと推計されるなか、厚労省もパンク寸前の医療費問題を抱え、その削減に真剣に取り組まざるを得ない状態になったといえます。

 しかし多くの医師、それも大学などで長年にわたってがん患者を診てきたベテランの医師などがその著書で、がん治療のムダ、がん検診のボイコットを盛んに訴えているなか、また、最近は週刊誌などもそうした記事を大きく扱うなか、適切な判断ではないかと思います。

 がんというのは私たちの身体が新陳代謝(細胞分裂)で新たな細胞を作るとき、本来はDNAのコピーにより正しい細胞が作られるべきところ、ときどきコピーミスにより間違った細胞が発生し、あるいは正常な細胞が活性酸素などによりDNAに損傷を受けると、そうした細胞ががん化の引き金になるといわれます。幸い私たちの身体にはこうした細胞をやっつける酵素があり、通常はがん化への芽を摘んでくれますが、年を取るとだんだん酵素の生産量が少なくなり、がん化へのチャンスが増えるといわれます。

 しかし「年を取る」ことにも良い面があります。身体のエネルギーを作る仕組みが、「解糖系」から「ミトコンドリア系」に変わるのです。
 私は若いころ少し動くとすぐ「腹へった」と叫ぶことから、先輩・同僚からよく「お前は効率の悪い奴だなー」といわれました。若いころは新陳代謝が盛んでエネルギーの消費が激しく、いくらご飯を食べて「解糖系」でエネルギーを作っても、足りなくなってしまうのです。お腹もペチャンコなのです。しかし40~50代になると新陳代謝はグッと少なくなり、エネルギーの生産も非常にゆっくりした高効率の「ミトコンドリア系」に移ります。したがってご飯を「腹八分」に抑えないと、逆にメタボになってしまうのです。

 「ミトコンドリア系」の良い点は細胞分裂が起きにくく、がん細胞の分裂・増殖も非常にゆっくりになることです。しかしミトコンドリア(細胞内の小器官)は高温で、酸素が無いと働きが悪くなるため、体温を常に高く保ち、酸素を十分に取り込んでやる必要があります。つまり食事を腹八分に抑え、身体を十分に温めて酸素をしっかり取り込んでやれば、ミトコンドリアが喜ぶ条件が整い、がん細胞の成長も抑えられるというのです。
身体を温める
実際、がん細胞は35度くらいの低温度で最も増殖しやすいことが知られています。

 多くの良心的な医師たちはすべて、がんは治療(手術・抗がん剤・放射線)するのでなく、放置するのが一番良い、その方が楽に長生きできるといっています。そしてがん検診で早期にがんを発見しても、ムダながん治療を早く始めることになるだけだといっています。
 厚労省の早期の結論が待たれます。
 
 私自身についていえばいま75歳ですが、がん検診はここ5~6年行っていません。上記の善良な医師たちの意見に従ってのことです。年齢的にがんは当然あると思っていますが、あえて見つけようとせず、食事が一番のクスリだと信じ、毎日のストレッチと散歩を欠かさず、お風呂でゆっくり身体を温め、日ごろの体調に気を使っています。ご飯は決して「腹八分」でなく、つい腹いっぱい食べてしまいますが、ただよく噛みます。1口50回は噛んでいると思います。もしがんが見つかっても治療はせず、自然に任せたいと考えています。
 

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