2015年6月16日火曜日

高校生への初講義

 先日、府立海洋高校に出かけ、海洋工学科海洋技術コースの生徒さん19名に、阿蘇海のへどろからの人工ゼオライトの合成、へどろを使ったヒートポンプの作製について約2時間、講義をしてきました。海洋高校の生徒さんが阿蘇海で、水質浄化に効果のあるアサリの育成やアマモ場の造成に取り組んだり、アサリの外敵であるヒトデを除去し、それで堆肥づくりをされていることは伝え聞いていて、同じ阿蘇海を研究対象にされていることで関心はありましたが、特に接触のないままいました。しかしたまたまある会合で海洋高校のある先生とお近づきになり、それがきっかけで今回の話になった次第です。
 私も人に話をする機会はときどきあり、それこそ青年から老人までいろんな階層の人たちに話をしてきました。しかし高校生というのは初めてで、簡単に引き受けたもののいざその日が近づいてくると、どんな話の内容にしたらよいかいささか不安になってきました。やはり高校生というからには、話のなかに物理や化学で習っていそうなことをできるだけ取り入れ、そうした原理や法則、化学式が実際の応用(人工ゼオライトの合成、ヒートポンプの作製)ではどんなところにどう使われ、どう活かされているかを学んでもらうことが大切ではと考えたからです。かといってあまり力を入れすぎても興味を削ぐことになり、いろいろ悩みながら話の要点を3頁にまとめ、事前に先生に送ってコピーしていただき、当日はそのレジメにそって話を進めました。

講義の様子
装置を使っての説明
最初はへどろの成因やその性質から話を始め、なぜ人工ゼオライトが合成できると考えたか、ゼオライトの特徴やなぜそうした性質をもつのか、その特徴を活かした実際の応用例、また、へどろにすばらしい吸湿/放湿特性のあること、その性質を利用するとヒートポンプが作れ、温暖化対策になることなどを、教科書に載っていそうな法則や化学式などをアチコチに盛り込みながら話しました。こちらとしては生徒さんの反応を見ながらのぶっつけ本番の講義でした。しかしゼオライトの特徴となる元素の結合の話や、モル(分子量)濃度の計算の仕方、エアコンの仕組みの話などでは、眠そうにしていた子までが身を乗り出して話を聞いてくれ、とてもうれしく思いました。そして質問があるか尋ねるとすぐ何人かが質問をしてくれ、また、休憩時にも質問にやってきたり、人工ゼオライト合成時の途中サンプルを何人かが見に来て、濃紫色の廃液や海水による廃液処理時の沈降物をジッと眺めていたり、その真剣な表情がとてもかわいらしく感じられました。ヒートポンプの説明でも「気化熱」とか「凝縮熱」、あるいは「ブラウン運動」といった話にイチイチ合点しながら、一生懸命話を聞いてくれました。
 最後は数人から感謝の言葉をもらい、全員で敬礼され、とても面はゆい、しかしうれしい気持ちで帰ってきました。実験となるといろいろ実験環境的、あるいは時間的制約があると思いますが、へどろの有効利用を学校の学習に加えて頂ければ、阿蘇海を舞台にまさに地域貢献型の総合学習ができるのではと、今後の活躍を期待しています。


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