2013年1月17日木曜日

奇跡

生命のかけら
昨年は大津の中学校でのいじめによる自殺が大きな問題となり、今度は大阪の高校での体罰が原因の自殺が大きな問題となっています。これからという若者が自らの生命を絶つことほど痛ましいことはありません。
  大津の事件の後新聞では、「いじめはよくない」と10数名の著名人による訴えが連日行なわれ、今回も「体罰はよくない」との訴えが行われています。しかしどれも何かが欠けているように思われて仕方がありません。私にはこうした問題が起きるといつも心に浮かぶ絵があります。数十年も前、小学生の子供に買い与えた手塚治虫の「ブッダ」という本の中の数コマの絵です。それはこの地上のありとあらゆる生命は、死ぬとかけらとなって宇宙という大きな球体に吸い寄せられ、渾然一体となった後そこから再び無数の生命のかけらが生まれ、それが世界のありとあらゆるものに新たな生命を吹き込むという絵です。つまり我々の生命はゾウ、ネズミ、虫けら、雑草、あらゆるものの生命と根源は同じであり、生まれ変わるときはどんな生き物になるか分らず、だから「人間に生まれたことは奇跡に近く、とても有り難いことなのだ」ということを教えているように思います。本には「人間も自然の中ではあらゆるものとつながりを持ち、意味があって生きており、もしお前がいなかったら何かが狂うだろう。お前は大事な役目をしているのだから」といったセリフもあり、この本を読むと我々の生命がいかに大切なものであるかを教えられる気がします。そして生命が失われるとなぜ人は悲しみ、いかに悪人であっても鞭打つことをしないかが分かる気がします。いじめや体罰がなぜダメなのか、それを避けるにはどうしたらよいかという話しの前に、我々に与えられた生命がいかに尊いものであるか、だから決して粗末に扱ってはならないことを大人自体がもっと考え、若い人に教える必要があるのではないでしょうか。

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