自民 圧勝?
今回の衆議院選ほど混迷する選挙はなかったのではないでしょうか。日本の命運がかかる多くの難題に、12もの政党が乱立してテンデンバラバラの政策を主張し、訳のわからぬ混戦の中で自民党が勝ち残った、そんな消去法による圧勝だったような気がします。
自民党は長期政権を担った党であり安心感はあります。しかし安部総裁がデフレ脱却のため、日銀に輪転機でお札をドンドン刷らせるとか、大型公共事業を復活させるとか云っておられるのを聞くと、大丈夫かなと心配になります。お札を刷ってインフレに導くというのは、理屈として通るかも知れません。しかし経済は生き物であり、物価だけが上昇し所得が伴わなかったらどうなるのでしょう。また、公共事業を積極的に進めるという裏には、消費税増税前に景気を良くしておきたい狙いもあるのでしょうが、借金をして公共投資を行う場合、税収弾性値という数値(公共投資によるGDP伸び率に対する税収伸び率の比)が12以上ないと元が取れないと云います。インフラが不十分であった高度成長期に比べ、いまはこれがせいぜい1~2と云われる中、財政赤字を増やすだけになりかねません。我々が風邪をひくと高熱が出ます。これは身体が細菌やウイルスへの免疫力を高めるための発熱なので、解熱剤などで熱を下げるのは間違っていると云います。いま我々が経験するデフレスパイラルも、実はいまの経済構造の歪みに対し免疫力が働いているのかも知れません。そして全国のアチコチに新たな経済的仕組み、アイディアが生まれようとしているのかも知れません。そうした自然治癒的発想こそがデフレ脱却の救済策であり、それを新たな経済的基盤に育てていくのが政治の役割りではないかと思います。ただ、小泉進次郎議員は「財政赤字、原発、社会保障等の問題は自民党の責任である」とはっきり云っておられ、彼ら若手に大いに期待したいところです。
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