へどろから見た持続可能な世界ーチェルノーゼム
いま出口の見えない不毛な戦争を続けるロシアとウクライナは、ともに世界の穀倉地帯として有名です。真っ黒な肥沃な土壌に恵まれているのです。
雨が少なく乾季の長いステップ気候では短い草しか育たないのですが、それが気の遠くなるような長年月、成長・枯死を繰り返すことで大気中のCO2や窒素を吸収し、地球からミネラル分を吸収して「チェルノーゼム」という肥沃な土を作ったのです。雨が多いと微生物分解が進む中で栄養分が流されやすいのですが、幸いにも雨の少ないステップ気候によりそれを免れたのです。とくにウクライナの土壌は「土の皇帝」と呼ばれるほど肥沃で、第二次大戦でナチスが侵攻したとき、貨車で運び出そうとしたほどです。
土の皇帝;チェルノーゼム |
昔から黒い土が肥沃なことはよく知られていました。しかしなぜ肥沃なのか、その解明が進んだのは比較的近年になってのことです。
動植物の遺骸(有機物)が土壌微生物により分解されるとき、最後に残る部分を「腐植」といいます。暗黒色で土を黒くする物質ですが、そこには土壌微生物が棲息しやすく、植物養分の貯蔵庫となり(雨に流されにくくなる)、団粒構造
植物の根の周りの根圏 |
このように農業にとり腐植は欠くべからざるものですが、現代の化学肥料を多用する大型農業では有機物の投入がおろそかになり、世界中で砂漠化が進んでいるのです。ウクライナでも腐植の喪失が進んでいるそうです。
腐植の喪失 |
私たちは生ごみという有機物を使って野菜を育てていますが、そのとき元肥に使用している「ふるい上」は食物繊維の多い腐植の元になるものです。土壌微生物によるさらなる分解が進む中で、栄養分が雨に流される恐れがありますが、私たちが使うゼオライトには肥料成分を保持する優れた性質があり、雨による流出を防いでくれます。つまりゼオライトを使った生ごみのたい肥化では、チェルノーゼムを作ることが期待できるのです。腐植を増やすことは温暖化を阻止することでもあります。
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