2022年8月16日火曜日

へどろから見た持続可能な世界ーアメリカに学ぶ

 日本の医療費は40兆円を超え、国家予算の半分近くを占めるまでになっています。その半分はがんに関わるもの(抗がん剤、手術、放射線治療、がん検診など)だそうです。40兆円といってもピンときませんが、一万円札を積み上げると富士山の高さの106倍にも達する金額で、こちらも実感を伴いません。

 1970年代のアメリカも心臓病やがんで医療費が増大し、財政危機に陥っていました。そこで国家レベルで原因究明の調査が徹底的に行われ、5,000ページに及ぶ「マクガバーンレポート」が発表されました1977


 その概要は「慢性病は肉食中心の食生活による食源病で、クスリでは治らない。食事の内容を改善する必要がある」というもので、「肉、乳製品、卵といった動物性食品を減らし、できるだけ精製しない穀物、野菜、果物を多く摂る」食事改善の指針が示されました。そして1991年から野菜や果物の摂取量を増やす「5 a Day」プログラム1日に野菜料理を5皿程度、そして2種類の果物を食べる)がアメリカ全土で展開されました。


 これをきっかけにアメリカ人の野菜摂取量はどんどん増え1995年には日本人を追い抜き、増加を続けました。下図は日米の野菜摂取量と全がん死亡率を比較したものですが、野菜摂取量とがん死亡率の間には反比例の関係が見られ、野菜と果物を多く摂ることは慢性病対策になることが分かります。

 野菜と果物を多く食べるだけで病気が予防できれば、こんな有難いことはないですね。



 なお、マクガバーンレポートでは日本食が理想的食事と紹介され、日本食ブームにつながったといわれます。しかしそれは元禄時代以前の和食(玄米を主食に季節の野菜や海藻、小魚・貝類の食事)であって、いまの洋風化した和食とは違うのです







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