ガン対策
日本ではガンは一生のうちに2人に1人がかかり、3人に1人が死亡する病気で、1981年以降、死因のトップになっているそうです。2010年に新たにガンにかかった人は推計で80万人を超え、記録が残る1975年の約4倍にもなる急増ぶりだそうです。それにも拘らず国民の関心は低く、正しく理解されていないといった背景から、文部科学省はガン教育のモデル事業を全国の70の小中高校で始めるそうです。京都府では国に先駆け昨年度から「生命のガン教育」事業を始めていて、医師とガンの経験者が講師として学校を訪問し、医師がガンの基本知識を解説し、経験者が闘病を通しての生きる大切さを語る授業を、昨年度は20の小中高校で実施したそうです。生活習慣の大切さを子供のときから教えることは極めて重要であり、非常に前向きな取り組みではないかと思います。

私たちの身体は約60兆個の細胞で作られています。各細胞にはミトコンドリアと云う小器官があり、そこでエネルギーを作っていますが、メタボで内臓脂肪が異常に増えたり、過剰なストレスにさらされたり、酸素の取り込みが不十分であったり、身体を冷やしたりするとミトコンドリアの活動が不活発になり、それが細胞にガン化のきっかけを与えることになると云います。一方でミトコンドリアには細胞に異状が発生したり、それが他の細胞や器官に悪影響を及ぼしそうな場合、アポトーシスといってその細胞を自滅させる機能があると云います。また、身体を温めると免疫機能が高まり、NK細胞によるガン細胞への攻撃力も増すと云います。つまり私たちの身体には食事を腹八分に抑えたり、野菜を多く食べたり、運動をしたり、お風呂で体を温めたりしてミトコンドリアを元気にしたり、免疫システムを活発にするような生活習慣を心がけていれば、ガンがまだ細胞レベルの大きさのときに、確実にガンをやっつける機能が備わっており、進行ガンでも回復できると云います。正しい生活習慣を心がける予防医学にこそ、お金を投入すべきではないかと思います。
ところでアメリカでは自分の遺伝子を調べ、将来ガンになりそうだと分かったら健康な内に乳房や卵巣を切除するガン対策が行われていて、女優のアンジェリーナ・ジョリー(ブラッド・ピットの奥さん)が乳房の予防切除を行ったことから、日本でも広く知られるようになり、遺伝子検査を受ける人が増えつつあると云います。しかし私たちの寿命を決めるのは遺伝的要素が30%で、残りの70%は環境因子、つまり生活習慣だと云います。たとえ遺伝的にガンを発症しやすい素因があっても、その体質にあった正しい生活習慣さえ励行していれば病気の予防だけでなく、却ってそうした素因が寿命の延長に有利に働くのだと云います。いずれにしても私たちの身体は遺伝子ですべてが決まるほど単純ではなく、まだまだ知られていない未知の分野が多いのであり、健康な内から身体の一部を取り除くようなガン対策は、あまりにも拙速な過剰防衛であり、神に対する冒涜行為だと思います。
大谷 肇 ;長生きしたければミトコンドリアの声を聞け、風詠社、2013
斉藤真嗣;体温を上げると健康になる、サンマーク出版、2009
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